OECD対日経済審査報告書 7/20付 「どうすれば不平等や貧困の拡大を反転できるか?」
税制改革においては、近年、生産年齢人口においてより拡大している所得格差への影響も考慮すべきである。実際に、ジニ係数は、1980 年代半ば以降大幅に上昇し、OECD 平均をやや上回るまでに上昇し、日本の相対的貧困率は今やOECD 諸国で最も高い部類に属する。人口高齢化は、賃金のばらつきが比較的大きい50~65 歳の労働力の割合を高めるため、格差拡大の一因となっている。しかし、主な要因は労働市場における二極化の拡大にあると考えられる。10 年前には全労働者の19%だった
非正規労働者の割合は、30%以上に増加した。パートタイム労働者の時間当たり賃金は平均してフルタイム労働者の40%にすぎない。この格差は、生産性の差で説明するには大きすぎると考えられる。
非正規労働者の増加は部分的には景気循環要因で説明されるが、非正規労働者から正規労働者になった者の割合が低いことを考慮すれば、労働市場の二極化が固定化するリスクがある。所得格差や貧困の拡大を反転させる重要なひとつの鍵は、労働市場の二極化の緩和である。これには、正規労働者に対する雇用保護を緩和するなど、企業の非正規労働者雇用のインセンティブを低下させる包括的なアプローチが必要とされる。また、臨時雇用者に対する社会保障の対象範囲を拡大し、非正規労働者の雇用見通しを改善することが重要である
日本は、OECD加盟国中、相対性貧困率で第二位になってしまったそうです
ここで言う相対性貧困率とは、日本という国が貧しいか否かという貧困率ではなく、国民を所得順に並べて、真ん中の順位(中位数)の人の半分以下しか所得がない人(貧困層)の比率を意味する。つまり、中位の人の年収が500万円だとしたら、250万円以下の所得層がどれだけいるかという、つまり標準偏差のような指標とのこと
なんと、一昔前まで国民みな中流といわれていた時代からは考えられない状況です
しかしながら、ここまで貧富の格差が拡大したのに、にあまり実感がわかないのは俺だけではないでしょう
すごく安直なイメージなのですが、OECDに加盟している他の国(メキシコ、アメリカ)のように、貧しい人達がスラムなどを形成し、金を稼ぐ手立てとして不法行為に手を染めざるをえないような状況をみると、貧富の格差を感じますが現代の日本においてスラムが形成されるというのはまず現実味がなく、本当にそんなに格差が存在するかと疑わざるおえません
(どうやら、高年齢者層の拡大に伴い、年金需給生活者の人が多くなり、そのような人たちも低所得者層を形成することになっているようです)
でも俺と同様に貧富の格差に実感がわかない人が多いからこそ、このOECDの報告書についてあまりマスコミ等では取り上げられていないんでしょう
そのような中で『年収300万円時代を生き抜く経済学』の著者である森永卓郎氏は警鐘を鳴らしています。
その著書ではもちろん以前から述べていますし、また今回のOECDの報告書の内容を踏まえ、連載のなかで現状の貧富の格差の拡大に対して政府はなんら対策を講じていないどころか、むしろその格差を拡大する政策をとっているといってます。
そのひとつが消費税率のアップでしょう。10%は必要だとの発言をした谷垣氏。下記は氏のHOMEPAGE上の政策からの引用です。
我々は、互いに支え合う「社会」の中で生きている。支え合うということは、弱者を支えるために、国民皆で負担するということであり、これがまさに社会保障の役割である。私は、国民の安心を確保し、信頼と活力ある経済社会の基礎を築いていくためには、将来的にも充実した社会保障制度を維持・堅持していくことが不可欠であると考えている。そして、多くの国民も社会保障制度の安心を維持するための負担であることを明確にするならば、相応の負担を受け入れてくれるのではないか。
私は、政治家として、消費税を社会保障のための財源と位置づけ、2010年代半ばまでのできるだけ早い時期に、少なくとも10%の税率とする必要があると考える。消費税は、少子化が進む中で勤労世代に負担が集中せず、国民全体で広く公平に負担するという税金であり、社会保障の財源として最も適していると考えるからである
なんかもうすでに破綻しているような社会保険制度 破綻国の財政自体が破綻すると恐怖心をあおって国民に納得させようとしている気がしますがいかがなもんでしょ。確かに社会保険制度も国の施策のひとつには違いないのですが、いまさらながらに社会保障制度の維持・堅持とかいう建前を(まぁ実際なのかもしれませんが)もってくるのは、過去に消費税を福祉等の目的税化するような議論もあったなかでは、ただ単に社会保険制度の失敗を覆い隠すためとしか思えません
今の時点で社会保険制度をまっさらに戻して、年金納めなくてもいいからその代わりに自分自身に対して年金は支給されないのはもちろんのこと、自分の親においても年金が支給されないとなったとしても(実質3人分負担)、俺は支払わないほうをとるでしょう。少なくとも年金に関しはですけど。医療保険について、この考え方じゃ厳しいですね、自己負担恐ろしくなるな