ここで少し自己紹介したいと思います。

 

名前はT.S(イニシャル)

 

181cm 77kg 体は大柄。けっこうマッチョです。

 

両親の顔は知りません。天涯孤独で親族の顔も知りません。

 

施設育ちです。

 

現在は妻、長男、三人の家族で暮らしています。

 

 

 

 

 

俺が、あの人に出会ったのが13歳のときでした。

 

当時、荒れた生活をし施設を飛び出していました。

 

食べて行くため万引きに恐喝、犯罪に手を染めていました。

 

そして暴力団の事務所の電話番をしていました。

 

学校には行っていません。

 

振り返ってみると、とんでもない13歳の少年だったと思います。

 

恐い人たちに囲まれ、その事務所で寝泊まり。もう、どうでもよくなって自暴自棄になっていま

 

した。

 

なんで、そうなったのか?

 

自分でもよく分かってない・・・

 

両親がいる家庭が羨ましくて寂しかったのかもしれません。

 

そして世の中を恨んでいたのかもしれません。

 

そんな、ある日・・・

 

一人の若い兄ちゃんが事務所に連れてこられました。

 

顔は殴られてボッコボコ。口や鼻や耳からは血を流していました。

 

20代前半から半ばくらいかな?

 

そのとき、そう思いました。

 

話を聞いていると、どうやら美人局に引っ掛かり200万のお金を請求されているようでした。

 

それでも払う気など一切ないようで、事務所でも更にリンチが始まりました・・・

 

この兄ちゃん死ぬな・・・そう思いましたね。

 

この兄ちゃんこそ、俺の恩人であるハル(仮名)さん。

 

 そこに帰ってきた組長と若頭。

 

「素人さん相手だほどほどしとけよ」と言い、奥の部屋へ消えていった。

 

しばらくしてリンチが止んだ。

 

ハルさんは、血反吐はいて呼吸が荒い。

 

そんなハルさんと俺の目が合った・・・

 

ハルさんが俺に話しかけてきた。

 

「おまえ・・・まだガキじゃねぇか・・・こんなところで何やってんだ?」

 

俺はハルさんに見つめられ、なぜか目を反らすことができなかった。

 

そして話しかけたハルさんに言い返した。

 

「あんたには関係ない」

 

長い沈黙が続いた・・・その間ハルさんも俺もお互い目を反らすことはなかった。

 

そしてリンチがまた始まろうとしていた。

 

・・・なにか空気が変わったのが分かった。

 

ハルさんが放つ異様な空気と眼力は、周りの人を遠ざけた・・・

 

心の底から震えが来て止まらない!

 

事務所の人も俺と同じように感じたみたいだ。

 

さっきまで殴られ続けてた弱っちい男とは、まるで別人のようだった。

 

ハルさんは165cmくらいしかなく、決して大きいとは言えない。

 

むしろ小さいお兄さんって感じだ。

 

そのハルさんの目をまともに見ることができない。

 

とてつもなく恐ろしい目をしている・・・

 

そしてハルさんが叫んだ!

 

「200万、払ってやんよ!」

 

「その代わり、そのガキ(俺のこと)俺にくれ!」

 

リンチしていた人が「何を言ってるんだ?てめぇ」と言うと、ハルさんは叫びだした!

「組長!組長!」

 

奥から組長と若頭が出てきた。

 

すかさず組長が言う。

 

「うるせぇぞ!なんなんだ」

 

そして組長が・・・「おい、なんなんだこいつ?!」「てめぇ・・・」

 

ハルさんの眼力と気圧されるような空気を組長も感じ取ったようだ。

 

ハルさんが組長に話しかける・・・その口調は穏やかで静かだ。

 

「組長さん・・・頼みがあります。このガキ俺にくれないですか?」

 

組長がハルさんに近寄り言う。

 

「はぁ?このガキはやれねぇ!将来有望な若い力になるからな!」

 

「それに、おめぇが・・・このガキの将来背負えるのか?」

 

ハルさんは答える。

 

「俺が背負いきれなくなったら、命を取りにこればいい・・・」

 

組長がしばらくハルさんを目で威嚇するように見つめる・・・

 

ハルさんも目を反らさない。

 

そして組長が俺に話しかける・・・

 

「おいT.S!正直に言ってみろ!」

 

「おめぇ、この兄ちゃんと一緒に行くか?それとも、この事務所に残るか?」

 

俺は頭で考える前に「この人と一緒に行きます!事務所には残りません・・・」

 

口が勝手に、そう答えてました。

 

なぜ、そう答えたのか未だに自分でも分かっていません・・・

 

そして組長が、しばらく沈黙した後に言った。

 

「兄ちゃん!T.Sはやるよ」

 

「その代わり、T.Sが今後ここに戻ってくることがあったら、その時は分かってるな?」

 

「金のことは、もういい!チャラにしてやる」

 

そして事務所で組長が叫ぶ。

 

「いいか、おめぇら!今後この兄ちゃんに、ちょっかいかけるんじゃねぇぞ!」

 

ハルさんは辛そうにヨタヨタと起き上がり、深々と頭を下げ「組長ありがとうございました!」

 

と声を張り上げた。

 

組長が奥の部屋へ戻ろうとする・・・

 

そして振り返り「兄ちゃん!ええ目しとるな・・・気質にしとくのは、もったいねぇな」

 

と言いニンヤリして奥の部屋へ消えていった。

 

そしてハルさんが俺に話しかける・・・

 

「おい!ガキンチョ!帰るぞ!」

 

「一人で歩けねぇ・・・肩貸してくれ・・・」

 

俺は肩を貸してヨレヨレになって歩くハルさんと一緒に事務所を出た。

 

これがハルさんと俺との出会い。

 

その後、ハルさんと公園で語り合いながら一晩過ごすことになる・・・

 

その話は次回話たいと思います。