えーと・・・
昨日のブログで書きましたが、真美さんの現在。
一応、体調は安定しています。元気でした。
明日の検査結果が、何事もないことを祈りたいと思います。
もし・・・真美さんに何かあれば、俺がハルさん一家を全面的に支援しようと思ってます。
俺の妻も快く了承してくれました。
もちろん、真美さんのこともハルさんのことも二人の子供達も、全て全面的に支援するつもりです。
では、今日は昔話を語りたいと思います。
ハルさんの息子Tは高校に入学します。
息子は文武とも優秀で、中三の成績は通知表で言えば、
国、数、社、理、英、が五段階評価で「4」
体育「5」、その他が「3」
なかなか優秀です!
そして、ある公立高校に入学します。
そして父であるハルさんに、空手の試合の挑戦状を表明しました!
息子Tは空手でも優秀で、170cm、53kg
大きな大会で入賞多数(三位までの入賞)!もちろん優勝も何度かあります。
動きが素早く、相手の周りをグルグル回り、右に左に何度も切り返しながら、
相手の正面から飛び込まず、相手の側面や斜め後ろ気味に飛び込み、
攻撃するスタイルです。
飛び込み踏み込んで攻撃している最中でも、相手が正面を向けば、
右に左にステップし、相手を翻弄しながら闘うのです。
ちなみにハルさんは空手を現役引退してから、十年以上が経ちますが、
息子の挑戦を受けます。
そしてハルさんのトレーニングが始まる。
体重も10kg以上絞り、60kgまで絞ります。走り込みに重点を置いたトレーニングでした。
ここで息子Tについて少し紹介します・・・
Tは大学進学はしないと言います・・・
俺はこのことでTと話したことがあります。
大学進学が十分できる学力がありながら、進学を視野に入れてないからです。
俺 「大学進学なんでしないんだ?」
T 「大学行く目的がないから」
俺 「でも大学出ておけば選択肢増えるぞ?」「父さんの仕事、継ぐのか?」
T 「いや、継がない。父さんは好きな仕事に就けって言ってくれるし」
俺 「公務員とか目指したら?安定してるぞ?」
T 「安定してるから公務員って変じゃない?俺がやりたいことは公務員じゃないし・・・」
Tが続ける・・・
「公務員って優秀かもしれないけど、頭脳だけの話でしょ?」
「官僚だってそうだけど・・・」
「ホントに優秀なら、もっと日本って住みやすくなってるはずじゃん?」
「本当に優秀な人って心技体を兼ね揃えてる人だよ?」
「頭脳が優秀なだけで、何かが欠けてるはずだよ」
「生産性もないのに勘違いして・・・税金に寄生する・・・」
「それに生産性がない職に就く人が増えて、生産性がある職に就く人が減ったら・・・」
「日本は潰れる。今の割合でも公務員多いくらい。それこそ本末転倒だよ」
「民間会社でも、偉いと勘違いして寄生して、たくさん報酬もらって・・・」
「そんな人が増えてるから、日本の生産性が上がらないんだよ?」
「俺には夢があって、やりたいことあるんだ」
「だから高校卒業したら就職するよ」
・・・・まだ社会に出ていない高校生に、こう思わせてしまう日本の社会・・・
情けないですよね・・・全く・・・
Tはアルバイトで、労働の厳しさを少しは体験しているが・・・
もちろんTの認識の全てが合っているとは思いません。
高校生に、そう認識させてしまう日本の社会に問題があると思います。
Tの認識「心技体を兼ね揃える優秀な人は、何でもそつなくこなす」
確かに理想はそうですが、いろんな「しがらみ」や「人間関係」もあります。
残念ながらやりたいことが、全てできる社会ではない。
でも・・・16歳の高校生が・・・ここまで考えることが出来る・・・
立派だと思いませんか?すごいと思いませんか?しっかりしてると思いませんか?
中学のときは、警察官になりたいと言っていたTですが、
いろいろ考えた結果だそうです。
そして「夢」はなんなのか聞いてみたところ・・・
T 「夢なんて人に話すもんじゃないよ?だから教えてあげない」
こんなこと言います。
そして、こんなことも言う・・・
「父さんや社長さんの職業を、『最底辺の職』と言う人はいるけど・・・」
「俺はそうは思わない。どんな職業でもやる人がいなければ困る人がいる」
「誇りを持ってやっている以上、誰にもとやかく言う資格なんてないよね?」
「とやかく言う人間こそ、勘違いした底辺の人間」
「それに、社長さんの会社の人って年収多いでしょ?」
「なんでもそうだけど、エキスパートになれば年収なんて自然と付いてくる」
・・・・とんでもない高校生です・・・・
精神が成熟しています。「高校生らしい」という言葉から、かけ離れている・・・
高校生だからといって、あなどれませんよね?
そんなハルさんの息子であるTは、「父さんを越える!」という合い言葉を胸に、
憧れの父親であるハルさんに、空手の試合を申し込んだのです。
そして・・・空手の道場で試合が行われる・・・
3分1ランドのラウンド無制限で、KOルールの判定なし。
通常は「有効」「技あり」「一本」ルールで、判定ありのルール。
顔面への拳での打撃は有り。防具はグローブと脛当て。貫手、手刀、肘打ちは無し。
あえて息子は、このルールで挑む。
審判は空手道場の師範。
もちろん俺は観に行ったし、息子Tを応援していた。
真美さんも妹も道場の人間も全てTを応援していた。
ハルさんにとってみれば、完全アウェイ。
そして緊張感が包む中、試合が始まる・・・
ハルさんと息子が礼をし、試合スペースで向き合い睨み合う。
Tは震えていた・・・
ハルさんの威嚇・・・それは、とてつもなく怖いモノだった。
後にTは、こう語っている。
「あんなに怖い父さんは初めてだった」
「あんな恐怖は、振り返っても一度もなかった」
しかし、試合が始まればTの震えは止まっていた。
ここでハルさんについて・・・
ハルさんは特殊な呼吸法をします。
そして闘気?オーラ?そんなものを発します。近くで観ている人すら感じることができます。
そして瞬間的に体の部位を硬質化するという。
ただし、その呼吸法をすれば尋常でない速度でスタミナを奪う。
闘い方は、相手の呼吸を読み、自分の呼吸を合わせる。
そして動きや仕草や表情で心理を読み、行動する。
得意な技はカウンター。
破壊を目的とした空手で試合には向かない。
全く現代の空手と本質が異なる。
「かあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ハルさんの息吹。
眼光は鋭いまま・・・本気の大マジだ!
始まった。
Tは素早い動きで、ハルさんを翻弄する。
ハルさんはTの動きに全く付いて行けない・・・
そして息子が攻撃に転じると、ハルさんは防御し、攻撃の軌道を変える受け流し。
Tは右に左にステップし切り返す・・・ハルさんがTの動きに付いていけず遅れる・・・
次第にガードを堅め、サンドバックと化す。
この時思ったのは・・・ハルさんは衰えた・・・現役時代のシャープな動きはない。
そしてハルさんの負けを確信した・・・
ハルさんは進むラウンドに比例するように、ボコボコになりフラフラになってゆく。
もう立っているのがやっと。
それでも後ろに下がらない・・・
下がればTKOになるからだ。
そしてハルさんが叫ぶ!
「なにがあっても止めるなよ!最後まで見届けろ!」
顔面は蹴られ、腕は紫色に変色し腫れ上がる・・・
Tのスタミナは、まだまだ健在。ハルさんのサンドバック化は終わらない。
しかし・・・ハルさん・・・すげぇ根性だ・・・
俺は感動していた。
そして・・・決着の時が近づく。
Tの突きがハルさんの腹部に入る。
ハルさんの体が「くの字」に折れ曲がり、頭が下がる。
Tはトドメに行く!
Tの左膝が、ハルさんの顔面を捉え、ハルさんは鼻血を吹き出しのけぞる。
同時にハルさんは右足を後ろに引き、倒れないよう踏ん張る。
Tは左膝を着地と同時に強く踏み込み、体重が左足に乗る。
右の引き手が大きい・・・トドメの上からの打ち下ろしだ!
ハルさんは右足を後ろに引いたまま、左手を突き出し、
Tの右腕の付け根にHIT。
Tの打ち下ろしが遅れる・・・でもTの体重は左足に乗り体が前のめりになる。
ハルさん体は沈み込み体重が左足に移動する・・・
ハルさんはTの拳を、顔を左に傾けて躱す。
ハルさんの突き上げるようなアッパーが、Tの腹部にHIT!
ハルさんの体が伸び上がる。
Tの体が少し中に浮く・・・
そしてTは前のめりに倒れた・・・
カウンターで一撃!
息子のTは、フラフラになりながら、何度も立とうとするが・・・立てるはずもない。
それほど強力な一撃だったのだ・・・
床にはTの吐いた胃液があった・・・
こうして試合はハルさんが勝ちという結末を迎えた。
本当に一瞬のできごとだった・・・
カウンターが決まった時の静寂・・・ビデオを見返すと分かったことだが、
一瞬、時が止まったと錯覚するほどだった。
ハルさんの格闘センス・・・Tの攻撃を全部受け止めての、カウンターの一撃のみ・・・
やはり年は取っても、とんでもない人だった。
俺は感動で震えが止まらなかった・・・
そしてハルさんが空手で、ここまで追い詰められるのも初めて見た。
そして息子Tの格闘センスもすごかった・・・まだまだ強くなるはずだ!
そして親子仲良く、隣同士のベッドで入院。
ハルさんのダメージの方が大きく、鼻の骨も折れていた。
ハルさんは・・・
「Tは強くなったな!本当にギリギリだった・・・」「今度は勝てる気がしないわ」
こう言って息子を誉めて微笑んだ。
息子も「父さんは強かった!あんな負け方は初めてだよ」
と言い父親を讃えた。
真美さんは「うちの男どもはバカだけど・・・そこが、また好きなんだよね・・・」なんて言ってた。
余談だが・・・
息子Tには付き合ってる彼女がいる。
同級生でカナダ人、白人の女の子だ。
キシャな体格で、お人形さんみたいで、とてもカワイイ!
両親も白人で日本生まれの日本育ち。
この彼女が、試合中ずーーーっと、泣いていた。
見ていられなかったのだろう・・・
そのくらい凄惨だった。
Tが倒れたときなんかは、
「止めて~~~」と泣きながら叫んでた!必死に。
それが、とても印象的だった。
こうしてハルさんは、あと一歩のところで、息子に「父親越え」をさせなかった。
息子のTも、本当に惜しかった!もうちょっとだった!
でも・・・・この、「もうちょっとの差」がハルさんなのだ。
息子の挑戦を全力で受け止めたハルさん。かっこよかったです!
俺はハルさんを見てて、自分の父親がどんな人なのか知りたくなった。
ハルさんみたいな父親だったら・・・妄想が止まりませんね・・・ないだろうけど。
おかげで、こっちはハルさんの仕事の穴埋めで、すごく苦労したけどね。
入院しちゃうんだから・・・それでも、いいモン観させてもらいました。
大きな事故にあい・・・空手ができるまで回復したハルさん。
俺は、すっかり安心していた。
でも、そうではなかった・・・・
この後、ハルさんの体は・・・
続く