Fitrst Day -morning-

日本はある問題を抱えていた。





以前は考えられもしなかった内容だ。







それは、　　　終身刑者の増加。



終身刑を宣告された者は、

残りの生涯を牢の中で過ごす。


しかしそれは、犯罪者を一生生きながらえさせるのと同義である。





若者の減少。高齢者の増加。


これにより国が税の使い道を考えなおし、

一つの結論が出た。










終身刑者を減らしてしまおう。





～１週間前～



すっかり糊のとれた

詰襟の学ランの第一ボタンを開け、


「ふあぁ～」

と欠伸の一つでもしてみる男子高校生。



俺。


彼女はいない。でも、運動神経抜群。成績優秀。

自分で言うのも何だけど

たぶん人生勝ち組。



女子からはそこそこ人気がある。

彼女を作らないだけなのさ。



前を見ると、母と娘の親子が朝のホームで列車を待っていた。




もうすぐ開かれる運動会の話をしているらしい。



・・・・・




この時間、特急列車が通過する。


来た。


ものすごいスピードでホームへと侵入してくる。





突然で申し訳ない。






そこで・・なぜだかわからないけど・・・・

無性にその親子を突き飛ばしたくなった。



とっさの欲望に耐えられなかった。



「なぜやった？」

と聞かれたら、

「したくなったから。」


と答えるしかないと思う。



僕に突き飛ばされた親子は、

清々しい朝にぴったりの笑顔のまま落下し・・・・・轢かれた。



というか、潰された。


列車のフロントガラスに叩きつけられ、

２人分のトマトジュースを僕に浴びせた。





その後の事はよく覚えてないけど、


ホームは普段の何倍もの騒音に包まれ、


僕は、白衣の警察官に脇を抱えられ

変な施設に連れて行かれた。　　　　　　　　気がする。

~プロローグ~

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」


深夜２時ごろ。街灯が頼りなく照らす薄暗い道をひたすらに走った。


あれから一週間。


あまりの寒さに体の感覚がマヒしてきた。


・・・・いや。


本当にマヒしてきたのは、俺の精神だろうか。



何人になるだろうか。






そう、俺は、俺の罪を消すために








何人も殺した。













「フロイト計画」

それがすべての始まりだった気がする。