日本では夕陽の沈む西の方
死後の阿弥陀浄土への信仰は
一時衰退していた。
 
復活の嚆矢となったのは
最澄が修行に阿弥陀の観想を
取り入れたからで、
阿弥陀の観想(イメージ)は
西の方角、夕陽を想う事から始まる。
 
藤原道長が死に際し
五色の糸を阿弥陀像と結んで
西向きに横たわったのは有名だ。
 
最澄のライバルであった空海が
若い頃に修めた
「虚空蔵求聞持法」は
観想に満月を用いる。
 
菩薩の心にある満月を想う
唱える経が満月に浮かんで金色に光り、
行者の頭上に降り注ぐ。
 
日本の古来からある
儀式のイメージは
黄泉平坂から逃げて来たイザナギの
死への忌避と浄化であり、
そこから生まれたのは
アマテラスとツクヨミとスサノオ。
日と月と台風である。