最近、読書で家族療法の鉱脈に当たって、
豊穣で嬉しい。
ジャクソン、ミニューチン、サティア、
ウィテカー、ポール・ワツラウィック、
マイケル・ホワイト、リン・ホフマン。
MRI(メンタルリサーチインスティテュート)で
研究、紹介されたことの半分がNLPに、
もう半分がここのシステムズ・アプローチにいた。
リン・ホフマンは、その流れをまとめた
「家族療法の基礎理論」の最後に、
画家のパウル・クレーの言葉を挙げた。
今では、目に見えるものの相対性が明白になり、
可視的事象は宇宙から得た孤立した事実でしかなく、
見えるものよりも見えざるものの中に
より多くの真実があるとする信念がひろがった。
例えば今日、汽船の甲板を歩くときに
現代人が経験するのは、
1.自分自身の動き、
2.反対方向への船の動き、
3.海流の方向と速度、
4.地球の自転、
5.軌道、
6.月と惑星の軌道、である。
花が咲いているりんごの木、根、樹液、幹、
年輪の断面、花、花の構造と生殖機能、
果実、心、そして種子。成長状態の相互作用。
睡眠中の人間、血液の循環、肺の呼吸量、
腎臓のデリケートな機能、頭の中にある
運命の力に関連する夢の世界。
―パウル・クレー「ノート」
統合失調症研究と治療の第一人者中井久夫は、
治療室にパウル・クレーの絵を飾っていた。
患者がその絵を見ると気持ちが落ち着くと
言ったのだそうである。
人の心とは、何と繊細なのだろうか。