さて、昨日
「ハエを追うには
酢より蜜の方がたやすい」
というCRAFTの格言を
ご紹介しました。
CRAFTというのは
「コミュニティ強化&家族トレーニング」
という社会スキル向上の技法で、
アメリカで開発、検証され
依存症者とその周囲の人の支援に
効果がある事が実証されている
方法である。
さて、外から見ると
他の人を動かすのに
“何が蜜であるか”
を知るのは難しいことだ。
(あー、中には得意な人もいる)
だけど日常を共にする家族は
お互いのことを本当に
よく見ているものだ。
CRAFT開発のメイヤーズ先生も
授業で仰っていた。
依存症の息子が帰ってきて
“玄関マットで足を拭く音”で
いつもと違うところに行ったと
分かるお母さんがいた。
それくらい、
依存症者の家族は、
相手の行動に敏感になっている。
だから、何が蜜かは
彼らに聞けば良いのだ。
僕は奥さんに数日前
「シーツを洗ってくれて
気持ち良かったよ。
触感がさらさらしてた。
ありがとう」
とお礼を言ったばかりだった。
奥さんからは
「え?洗って無いよ?
もしかして、布団干したから
それで少し乾燥したのかな。。」
という答えが返ってきた(笑
多分奥さんは
先に足を拭いたら
“足が乾燥して気持ちいい”よと
意識していないで、
僕が言ったことを使ったのである。
快いことは【五感】で感じる。
だから、触れたもの、聞いた音、
食べた味、景色や香りの記憶は
その人が好むものの
触れやすいヒントになるのである。
そしてもう一つ、
僕は自分が快いと感じたものを
口に出して表現した。
自分が快いと感じているもの、
不快と感じているもの、
口に出さないと伝わらない。
だからそれを表現しておくと、
相手はそれを利用してくれる。
それはこちらにとっても
好ましいことのはずだ。
人は基本的に、
善意の生き物である。
伝えてもいない事を
分かってもらいたいとか
伝“わる”のじゃないかとか
思った時に
コミュニケーションは
上手くいかないものである。
コミュニケーションが
失敗することの一番の悲劇は、
相手の善意が分からなくなって
しまうことなのである。