急にヤーロムのことを思い出した。
(「心理療法講義」という名著を書いている)
意味なくただ引用したくなったシリーズw
“私のセラピスト、オリーブ・スミスは
静かな忍耐強い聞き手だったが、
彼女に対して一番強烈な思い出は、
ある日私が、
自分の両親が亡くなったら相続する
可能性のある資産を欲深く待っていると、
自分自身を責めたときのことである。
そのとき私は、
ずいぶんこっぴどく
自分をこき下ろしていた。
ところが、まったくいつもの彼女らしくなく、
突然彼女は行動に出て、
私の自己訴追を一言で叩きのめした。
「わたしたちはそういうふうにできているのです」
彼女が私を慰めようと
手を差し伸べてくれたのはうれしかったが、
それが強烈な思い出になったのは
そのせいだけではない。
彼女が私の基本的な衝動を
正当化してくれたからでもない。
いや、それは何か他のものだった。
それは「わたしたち」という言葉だった。
その言葉が内包していたのは、
私と彼女は似ているということであり、
彼女も影の部分をもっているということだった。
私は彼女の贈り物を大切にした。
そして何度も何度もそれを手渡してきた。
どんな方法を使っても、
患者の暗い衝動を正常なものに
変えようとしてきたのだ。”