前回「その後の不自由」という本を
ご紹介しました。


さて、そうなると僕は
もう一冊、本を紹介しないと
ならなくなります。


2014年に
「黒子のバスケ脅迫事件」の
犯人として、逮捕、起訴された
渡邊博史という人がいます。

 

彼は冒頭意見陳述で、
自分の犯罪を「人生格差犯罪」と呼び、

汚くて醜くて無残で挽回できない人生に
生まれてあとは死ぬだけであったのに、

 

 

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自分の望むものすべてを持つ
「黒子のバスケ」の作者に
何か切実に反撃したいと思った

 

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と述べました。

 


しかし、
ある一冊の本を読んで

“自分がどのような人生を送ったのかを
全て理解できてしまった”

と言って
冒頭意見陳述を撤回しました。

 

それは、
『被虐うつ』という特殊な症例に
取り組む医師の著であると聞き、

 

僕は、ああ、きっとそれは

この本のことだと思いました。


後に渡邊氏は
「生ける屍の結末」という本を書き、

その中で香山リカさんが
同著を差し入れるように依頼したことに
触れられています。


それは、高橋和巳さんという
精神科医の先生が書いた

「消えたい:
虐待された人の生き方から知る心の幸せ」

という本でした。


この本は、以前あるセミナーで
バディ(ペア)になった方から、
薦めて頂いて衝撃を受けた本でした。

(その時ぼくは「その後の不自由」を
紹介したのです)


高橋和巳先生は、その題「消えたい」
についてこう書いています。

 


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当初、私は元「被虐待児」の
「消えたい」という訴えを聞いた時に、
うつ病と同じように「希死念慮あり」と
カルテに記載していた。

 

つまり、抑うつ感の中で「自殺したい」と
思っていると解釈していたのだ。

 

しかし、その後、
「死にたい」と「消えたい」とは、
その前提がまったく異なっているのが
分かってきた。

 

「死にたい」は、生きたい、生きている、
を前提としている。

 

「消えたい」は、生きたい、生きている、
と一度も思ったことのない人が使う。

 

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さて。

高橋和巳先生は、
彼ら被虐待児のことを「異邦人」と呼んで、
色々なことを教えてもらった、
と書きました。


明日は、その「異邦人」たちについて
少しご紹介したいと思います。



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