壮大な計画
『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』 下村敦史 幻冬舎 2024年 1900円 356ページ
電動自転車の欠陥により、何人も命を落とす事故が起き、その会社SHIKAGAWAの創業者、志賀川が殺されてしまう。
それから間もなく、誰からともなく手紙をもらったという8人が、とある駅に集まり、指定された場所に行くように指示が出る。そこから森の奥に進み、人工の建築物が見えたところで降ろされる。ドアに指示があり、全員が中に入ると金属探知ゲートがあり、そこで完全に中に閉じ込められる。
スピーカーから声がして、48時間後に致死性のガスが充満すると告げられる。志賀川を殺した犯人は助かり、他は死ぬと言われるので、全員、それぞれ自分の罪を告白する。
そこから、志賀川の妻、会社で働いていた者、ジャーナリスト、被害者などが、次々に自分のせいだとか自分が殺したなど、告白し始める。
後半は、その後の話が前倒しで差し挟まれ、それが事実なのか、にわかには信じがたい。
「ゲームマスター」なる人物が指示を出しているらしいが、誰かは不明。なんだかこの設定は、状況は違うものの、『イカゲーム』風でもある。全員が「探偵」なのは、自分以外の者が「殺した」
と説明するのを違うと、皆が「探偵」になってウソを暴かなければ死んでしまうから必死だ。そしてもう1つ「探偵」という言葉には意味がある。
志賀川を殺した犯人は納得できたが、まんまとしてやられた。
★★★+
