私は和歌山のお隣の大阪に住んでいるのですが、幼い頃から和歌山のお土産といえば福菱の『かげろう』がお約束でした。家族で白浜旅行、父の会社の慰安旅行などで和歌山に足を運ぶたび父母にねだり、一番小さい箱のかげろうをよく買ってもらったものです。ブッセのような生地にもったりとした生クリーム、お隣の県で購入はできるのですが口にするのは年に一度ほどで、思わぬ時にお土産で頂いた時は弟と一緒になって歓喜したものです。子供の頃に食べたきりで大人になってから食する機会がなかったのですが、人から好きなお菓子を聞かれると必ずかげろうの名前をあげるほど、私にとっては特別なお菓子でした。
今思えばチープな洋菓子なのかも知れませんが、一口目のサックリ感が何ともいえません。それに何十年経った今も販売されていて、私のような40年もののかげろうファンがいるのです。やはり長く愛されるお菓子には奥深い魅力があるのだと思います。
最後に口にしたのは10年前でしたが、その時も知り合いが和歌山旅行に出かけると聞いたので、無理を言って買ってきてもらうようにお願いしたほどです。20年ぶりに食べたかげろうは、パッケージも変わらずあの時と同じ食感でとても懐かしい味でした。
それからまた10年、かげろうを口にする機会はなかなかありません。毎日仕事と家事にあけくれ、ゆっくり旅行する余裕もない為かげろうの事も忘れかけていたのですが、このブログをきっかけに久しぶりに食べてみたいという気持ちが起こりました。
すでに私の両親は他界してしまいましたが、幼い頃に父母が連れて行ってくれた和歌山で温泉につかり、今度は私の子供たちにかげろうを食べさせてあげようと思います。

