wherein012のブログ

wherein012のブログ

ブログの説明を入力します。

Amebaでブログを始めよう!
 翌日、朝から仁は大忙しであった。
「ジン様、アーネスト殿下がお呼びでございます」
 朝食が済むとすぐに王子からのお呼びが掛かり、内宮へと出向く。そこにはロッテを伴ったアーネスト第3王子がいた。
「ああ、ジン、早速だけど『ロッテ』をちゃんと直してあげてよ!」
 そう言ってくるアーネスト第3王子。王族らしいわがままさはあるが、自分の作った『ロッテ』を大事にしてくれる故、と仁は笑って承知した。三葉減肥茶
「出来たら前より丈夫にしてくれると嬉しいな」
 そう言った王子に仁は、
「丈夫にですか? 強くするんじゃなくて?」
 と尋ね返した。すると王子は、
「うん、そりゃあ強い方がいいに違いないけど、それ以上に壊れて欲しくないんだ」
 と返してきた。その答えにも仁は好意を持つ。そこで、
「わかりました、全力で取りかかりましょう」
 と答えたのである。王子は大喜びで、
「そうか! じゃあ、倉庫にある資材は何でも使っていいからね! 僕の名前で許可を出しておくから!」
 そう言って奥へ引っ込んだかと思うと書類を手にしながら戻ってきて、
「これを見せれば、管理官はジンを通してくれるから」
 そう言って許可証を仁にくれたのである。

「さてさて、どんな資材があるのやら」
 許可証を手にした仁は、まず王宮内の工房を借りた。普段は騎士ゴーレムの整備をしている場所らしい。
 そこにロッテを待たせ、そこから資材を乗せる台車を引っ張りながら半ばワクワクしつつ王城の資材置き場へと向かう。それは内宮の隅にあり、2人の兵士が守り、入ったすぐの所には管理の係官が詰めていた。
 仁は王子にもらった許可証を見せるとすぐに通してもらえる。一応係官が付いて来て、ねこばばをしないか見張っているが、仁にはそんな気はまったく起こらない。何せ蓬莱島のものより数段劣っているからだ。
 とはいえ、貴重な資材もそれなりに置かれてはいる。
 仁は軽銀をたっぷり、青銅もそれなりに。加えてアダマンタイト少々、魔結晶マギクリスタル4個、そして『砂虫サンドワーム』の革を使わせてもらうことにした。
 王子の許可がなければ、とかぶつぶつ言っている係官を尻目に、仁は材料を乗せた台車を押して王子に借りた工房へと戻っていった。

 戻った工房にはロッテだけでなく王子も待っていた。
「殿下!?」
「あはは、ジンがロッテを直すところを見たくて、今日の勉強すっぽかして来ちゃったよ」
 アーネスト王子はよほどゴーレムが好きなようだ。いや、好きなのはロッテをなのか。
「ここで見ていてもいいよね?」
「ええ、どうぞ」
 この純粋にゴーレムを愛する王子のことを仁も嫌いではない。
 ロッテの魔力を停止し、
「まず、骨格を強化します」
 そう説明してから作業に入る。
「あ、それは軽銀だね? それにそっちはアダマンタイトだ」
 将来は自分でゴーレムを作りたいと言うだけあってそこそこ知識もある。
「はい、まず鋼鉄製だった骨格を軽銀に交換します」
 そう言って仁は同一寸法でロッテの骨格を形成していく。普段ならあっというまに終える作業を、王子のためにゆっくりと行いながら。
「へえー、ロッテの骨格ってこうなっているんだね」
「人間に近くしているんですよ」
 時々解説を入れながら作業を続ける仁。続いては摺動部にアダマンタイトをコーティング。
「あー、そうか。アダマンタイトを部分的に使う事ですり減ったりしないようにしているのか」
 なかなか理解力もある。

 次の作業は筋肉組織。『砂虫サンドワーム』の革を繊維状にし、よりあわせて『魔導筋肉マジカルマッスル』を作っていく。
「すごい、初めて見る技術ばかりだ……」
 そう言いながら王子は仁の作業をじっと見つめる。筋肉を付けた状態のゴーレムは正直言って不気味なはずだが、この王子はそんなことに頓着しなかった。

 そしていよいよ一番重要な魔導装置マギデバイスの組み込みだが、これは既にある物を移植するだけなので簡単かと思いきや、
「殿下、この構造がロッテを『隷属書き換え魔法』から守っているのです」
 そう言って魔導装置マギデバイスを良く見えるよう、王子の目の前に差し出してみせる。
「ふうん、これがロッテの心臓部なのか。……この箱はミスリルかな? 何か魔導式マギフォーミュラが刻んであるね?」
「ええ、外部から来る魔法防ぐ魔導式マギフォーミュラですよ」
「そんな魔導式マギフォーミュラがあるの!」
『魔法障壁マジックバリア』と同質の魔導式マギフォーミュラである。発生場所が空間と筐体という違いはあるが。
 仁は、この後『隷属書き換え魔法』から守るための手法として魔法相にも伝える予定です、と言って作業を再開。
 胸部のしかるべき位置に収め、周囲を魔導筋肉マジカルマッスルで覆えばよい。
「これで第1段階は終了です」
 そう言って仁は王子からの質問を待つ。案の定、王子は質問をしてきた。
「ねえ、魔導装置マギデバイスをミスリルで覆っちゃったら、外からの魔法を受け付けないかもしれないけど、中からも魔力を取り出せなくなるんじゃないの?」
 なかなか鋭い質問である。そんな王子の疑問に仁はわかりやすく答えていく。
「普通ならその通りですよ。でも、この筐体から何本か線が出ているでしょう?」
 仁は6本ほど飛び出ている線を指差した。強効痩
「うん」
「これが身体の各部に魔力を伝達する導線です。それぞれ両手両脚、頭、そして胴体へ繋がっています」
「ああ、そっか。じゃあ、その線から逆方向に魔法が伝わることはないの?」
 王子の理解力は抜群だ。仁は嬉しくなって、突っ込んだ解説を始める。
「それはありません。この線はミスリルで出来ていて、魔力は通しますが魔法は通しません。どうしてかというと……」
 魔力は単なるエネルギーの波動だが、魔法はある意味実体を持つエネルギーなので、この細さの導線を通ることは難しいと説明した。
 さすがにその説明は半分くらいしか理解できなかったようだが、少なくともそういうものである、ということだけは伝わったようだ。
「ジンってすごいね。先生よりも物知りみたいだ」
 尊敬の眼差しを仁に向けるアーネスト王子。仁は笑って作業を再開する。

「では、ロッテの再生、最終段階に入ります」
 そう断りを入れて、旧ロッテの外装を取り外し、新ロッテへと移行させていく。足りない分は持ってきた青銅で補いながら。
 みるみる元の姿を取り戻すロッテを見て、王子も嬉しそうだ。
 全部の外装を移植し終えた時、残っていたのは鋼鉄の骨格のみ。あとの部材は全て再利用した。
「さて、最後の仕上げをしますか」
 仁はそう言ってロッテの骨格を一度鋼の塊インゴットに戻す。
「ふわあ、なんて見事なんだろ」
 骨格が見ている間に塊となる様子を見て感心する王子。これでも仁はいつもの10分の1くらいの作業速度なのである。普通ならあっという間に変形が終わっているのだ。
「亜鉛を分離します。『精錬スメルティング』」
 錆止めに使った亜鉛を分離する。亜鉛ってなんだろう、と王子が呟いていたが、そこまで説明するとさすがに時間が足りなくなるので聞こえないふりをして先へ進む。
「『変形フォーミング』」
 分離した鋼鉄を変形させて円板を作っていく仁。そう、『お盆トレイ』だ。メイドさんと言ったらお盆、と思った仁の遊び心でもある。が、それにとどまらないのが仁。
「『熱処理ヒートリート』。『硬化ハードニング』。『表面処理サフ・トリートメント』」
「わあ、お盆だあ」
 仁特製、打撃にも使え、投げることも出来る武器である。
 更に仁は残った鋼でナイフを数本作った。
 それでもまだ余っていたので、考えた末に仁が作ったのはモップ。鋼鉄製のモップである。打撃武器としてもかなりの物である。先には余った『砂虫サンドワーム』の革で房を作った。

 最後に、工房外に控えていた王宮隠密侍女隊ロイヤルシークレットメイドのライラを呼ぶ。今日も仕事とは言え、付かず離れず仁に付いて来ているのを知っていたのだ。
「あ、あ、あの、な、なにか御用でしょうか?」
 王子もいる所へ呼び出されたライラは少し緊張していた。いや少しどころでは無さそうだ。
「あれ? 君は確か、魔導騎士隊のアイリの妹じゃない?」
 そんな王子の言葉にライラは、
「は、はははははいっ! 私はアイリの妹でございまひぅ」
 壮大に噛んだ。しかも痛そうだ。
「やっぱりね! アイリに良く似ているよ!」
「お姉ちゃ……姉みたいに優秀ではありません……」
 俯いてしまうライラ。どうやら姉は魔導騎士隊でかなりの地位にいるらしい。
 だが仁はライラに用があったので、
「殿下、先にこちらの用を済ませたいのですが」
 そう言うと王子は素直に話を止め、
「ああ、ごめん! ライラ、ジンが何か君に頼みがあるそうなんだ」
 とライラに告げた。
「は、はい、なんでしょうか?」
 そこで仁は本来の用事を口にする。
「えーとな、君と同じサイズの侍女服一式が欲しいんだ。……下着も含めて」
「ふえ!?」
 真っ赤になって俯くライラに、仁は誤解しているんじゃないかと思い、
「いいかい、『君の』侍女服じゃないぞ。『君と同じサイズ』の『侍女服』の『新品』が欲しいんだからな」
 としっかりと説明する。王子も口添えして、
「ほら見てごらん。そのゴーレムに着せるんだよ。そうだね、ジン?」
「あ、ああ、そうだったんですか、てっきり、あたし……」
 てっきり何だというのだろう。そう仁は思ったが、口には出さない。
 ライラはすぐに戻ります、と言って工房を出て行き、本当に5分くらいで戻ってきた。
「あ、あの、これでいいでしょうか」
「うん、ありがとう」
 差し出された侍女服一式、礼を言って受け取った仁は、まずロッテを起動する。
「ロッテ、『起動』」
「はい」
「きゃっ」
 横で見ていたライラが驚いて小さく悲鳴を上げた。横たわっているゴーレムがいきなり起き上がるのは慣れないと驚くようだ。
「ロッテ、どうだ、身体の調子は?」
 仁がそう尋ねると、
「はい、お父さま、すごくいいです。ありがとうございます」
 そう答えてからアーネスト王子の方を向き、跪くと、痩身1号
「殿下、ご心配おかけしました」
 と挨拶をしたのである。王子は喜び、
「ロッテ、もう大丈夫なんだね、よかった!」
 そう言って抱きついた。そして驚いた声を上げる。
「ロッテ、なんで君はあったかいんだろう?」
 それに答えたのは仁。
「殿下、実はロッテには体温を作る魔導回路マギサーキットが組み込まれているんです」
 これは礼子を初めとした仁作製の自動人形オートマタ、ゴーレムのほとんどに組み込まれた機能である。
 金属製のゴーレムでは触れた時に冷たいのでそれを解消するのが目的だ。
「へえ、やっぱりすごいや、ジンは!」
 更に尊敬の念を募らせる王子。仁はロッテに、
「ロッテ、そこにある服を着なさい」
 と指示を出し、それを着たロッテはすっかり侍女ゴーレムとなる。
 ナイフはスカートの下、太腿に装備し、お盆を小脇に挟んでモップを手にすれば仁のイメージする戦うメイドさんの出来上がりであった。

統一党

「うふふ、これでレーコはあたしの物。ああ、なんて素敵なのかしら!」
 礼子に動きはない。
「ドミニク、あなた……」
 ステアリーナがまさか、と言う顔で言葉を絞り出す。
「ええ、私は『統一党ユニファイラー』の一員よ」
「統一党ユニファイラー? あの狂信者の集団ね!」
 ステアリーナのその物言いにドミニクは反論する。
「狂信者じゃあないわ。この世界を魔導大戦前の世界に戻す、改革者、救世主よ」
「それじゃあやっぱりドミニク、あなたがゴーレム騒動の犯人だったのね?」
 するとにやりと笑ったドミニクは、
「ええ、そうよ。あたしの鳥ゴーレムの中にエルラドライトと魔結晶マギクリスタルを仕込んであったの。ゴーレムの中身までは調べられなかったから簡単だったわ。赤、青、黄の他に白があってね、お城のゴーレム置き場で作動させたのだけど、大当たりだったわね」
 勝ち誇り、ぺらぺらと喋り出すドミニク。その笑顔も今は優越感に溢れている。
「じゃあ、襲われそうになったのも演技だったのか!」
 ラインハルトのその言葉に、
「ええ、そうですわ。でも助けていただいて感謝しておりますわよ、ラインハルト様」
 しれっとそう言ってのけるドミニク。にやにやとした笑顔が憎たらしい。
「城のゴーレム全部を集めたより強いこのレーコを持ち帰ればあたしは幹部間違いなしですわ。さあ、レーコ、ジンとラインハルト以外、ここにいる者を殺しちゃいなさい」
 ドミニクは残酷な命令を下した。
 それを聞いたステアリーナ、エルザ、ラインハルトは真っ青になる。
 礼子が反逆したら止められる者はいない。仁を除いて。
 そしてその仁は平然としていた。その視線の先には静かに佇む礼子がいた。
「レーコ! なにやってるの! 皆殺しにしなさい!」
 動かない礼子にじれてドミニクが大声を上げた。だが礼子は表情を消したまま冷たい声で、
「なぜ私があなたなんかの言うことを聞かなくてはならないのですか?」
「え?」
 ドミニクは言われた意味がわからない、という顔をした。
「私に命令できるのはお父さまだけです」
 礼子はそう言ってゆっくりと仁に歩み寄る。そして懐から魔結晶マギクリスタルを差し出し、
「お父さま、これが『魔法記録石マギレコーダー』です」
 そう言って仁に手渡した。
「ごくろうさん、礼子」
 それを受け取った仁はドミニクを睨みながら礼子に指示を出す。さすがに『娘』である礼子を乗っ取ろうとしたドミニクには腹が立ったようだ。
「礼子、ドミニクを捕まえておけ!」
 語気も強い。
「はい」
 返事を残し、礼子はドミニクの後ろに回るとあっというまに腕を捻りあげてしまう。その手にあったエルラドライトも取り上げる。
「きゃああ! なんで! なんで?」
 ゼロ距離で、しかもエルラドライトを使ってまで行った『隷属書き換え魔法』が何の効果も上げなかった事が信じられないらしい。
「くうう! 何でよう!」
 まだ喚き散らすドミニク。顔を顰める礼子。そして。
「うるさいですね」
「ぎゃひああああああ!」
 鈍い音がしてドミニクの肩が外れた。SUPER FAT BURNING
「すみません、ちょっと力が入りすぎました。エルザさん、治してやって下さい」
「痛い! 痛いーっ!」
 喚くドミニク、だが礼子に押さえられた身体はぴくりとも動かない。
「リアンナ、メアリ、だれでもいい、あいつを縛り上げてしまえ」
「はっ、はい!」
 ラインハルトの指示により、王宮隠密侍女隊ロイヤルシークレットメイドのリアンナが駆け寄ってドミニクを縛り上げた。
「エルザ、一応治してやれ」
「ん。『痛み止めシュメルツミッテル』」
 治すでなく痛み止めというところでエルザの怒りようがわかる。仁も何も言わなかった。
「それでは連行します」
「ああ、頼む」

 こうして『隷属書き換え魔法』事件は犯人も捕まり、一応の解決を見たのである。

      

「どうして彼女が怪しいと思ったんだね?」
「俺の手を握った時に感じた魔力波形が昼間感じたものと同じだったんですよ」
 今、仁達はラインハルトの部屋で取り調べというか、事件のあらましを報告しているところである。
 その相手というのは魔法相ケリヒドーレと防衛相ジュードル。
「何と!? すると君、ジン殿は魔力波形を読み取る事が出来るのかね?」
 それを聞いて驚いたのは魔法相ケリヒドーレ。
「え? 普通出来るんじゃないんですか?」
 互助会ギルドの自動人形オートマタにも出来たから普通に出来るのかと思っていた仁である。さすがに数値化とかは無理だが。これは、人の顔を覚えられても、それだけでは似顔絵を描けないようなものだ。絵を描くにはまた別の才能がいる。
「いやいや、普通は出来ない。なるほど、君は確かに陛下と殿下が一目置くような魔法工作士マギクラフトマンらしい」
 そう言って納得するように何度も頷くケリヒドーレである。
「それで、かの『隷属書き換え魔法』をゼロ距離で防いだのはどういう方法だったのだね?」
 あの時、ドミニクの意図に何か企みを感じ取った仁は、『消身ステルス』を使い傍にいた礼子を連れ、一旦外に出た。
 そして何らかの対策をした後、呼んできたふりをして礼子と共に入室したというわけだ。
「それはこれですよ」
 仁は礼子から受け取った魔結晶マギクリスタルをポケットから出して見せた。
「まあ御覧下さい」
 そう言ってケリヒドーレに手渡す。魔法相はそれを目で見たり魔法で調べたりしていたが、やがて、
「これには魔力吸収の魔導式マギフォーミュラが刻んであるのはすぐにわかる。だが、もう一つは何かね? 初めて見るものだ。それと、また別に何か細かすぎてここではちょっと読み取れないものもあるな」
 と降参した。横で驚いている防衛相を尻目に仁は、
「もう一つのは記録レコードの魔導式マギフォーミュラですよ。細かいのは彼女が礼子に施そうとした命令コマンドです」
 仁は一同に説明していく。『隷属書き換え魔法』は制御核コントロールコアたる魔結晶マギクリスタルに命令コマンドを書き込む魔法であることは既知のことである。
 その魔力を制御核コントロールコアでなく、魔法記録石マギレコーダーに吸収させてしまい、目的を達成できなくするのがこれだ、と。
「礼子の制御核コントロールコアには厳重に魔力シールドを施してありますけどね、ゼロ距離でどうなるか危険を冒すのも嫌だったので、こんな急ごしらえのものを使ったんですよ」
 そうしたら見事に引っかかってくれた、と締めくくる。
「ふうむ、なるほど。勉強になるな」
 一国の魔法技術をまとめ上げている魔法相のケリヒドーレがそう言うのを聞いて防衛相ジュードルは内心驚愕を憶える。
 まだ年若い、目の前のジンという魔法工作士マギクラフトマンが持つ底が知れないその技術に。

「明日、是非ともその方法を伝授して欲しいものだ」
 ケリヒドーレの物言いを仁は快諾し、
「もちろんですよ。『隷属書き換え魔法』なんて、ゴーレム達、それに作り上げた魔法工作士マギクラフトマンをバカにしている。絶対に放っておけるもんですか」
 心血注いで造った作品をいいように使われ、使い捨ての駒にされる、その無念さ。モノ作りに携わる者として絶対に許してはおけないと仁は腹を立てていた。簡約痩身
 そんな仁を、セルロア王国の魔法工作士マギクラフトマン、ステアリーナは優しげな目で見つめていた。

「さて、次は儂の話を聞いてほしい」
 そう切り出したのは防衛相であるジュードル。
「ドミニクが言っていた『統一党ユニファイラー』じゃが、知らない方はおるかな?」
 エルザと仁が手を上げる。
「ふむ、ラインハルト殿、それにステアリーナ殿はご存じか」
「ええ。実はわたくしも、『統一党ユニファイラー』から誘われたことがあるんですの」
「ほう、それは聞き捨てなりませんな。それはどのような人物からなので?」
 少しでも手がかりの欲しい防衛相は急き込んで尋ねる、が、
「それをお答えする前に、エルザさんやジン君に『統一党ユニファイラー』が何か説明して差し上げたら?」
 と言われ、ジュードルは座り直し、咳払いを1つすると、
「うほん、『統一党ユニファイラー』というのは、セルロア王国、エゲレア王国、フランツ王国、クライン王国などに跨る地下組織でな、小群国を魔導大戦前の『ディナール王国』に戻そうとしている連中のことなのだ。中心となっているのはどうやらセルロア王国らしい。というのも、古のディナール王国首都があったのが現セルロア王国首都の付近らしいからなのだ」
 以前ポトロックのレストランで、セルロア王国がきなくさい動きをしているとラインハルトが言っていたのがこれだ。
「今現在、魔導大戦によって激減した人口のため、領土問題は無く、小群国間に軋轢はほとんど無いと言っていい。それをわざわざ統一、しかも武力を用いる事を厭わないという奴らは破壊集団と言ってよいと思う」
 国家間の紛争の原因となるのが資源などに端を発する領土問題、産業に起因する経済格差、それに宗教などがある。
 今回の『統一党ユニファイラー』の場合、宗教に近いと言えるかも知れない。それはすなわち、狂信的なメンバーを抱えるということでもある。

 多少の権力争いや汚職はあるものの、おおむね上手く回っている世の中を混乱させるような事は避けたいというのが防衛相ジュードルの意見であった。
「同感ですね」
 今まで黙っていたラインハルトが口を開いた。
「人口減による人手不足を、各国はゴーレムを開発することで補ってきた。それを一瞬にして支配できるかの『隷属書き換え魔法』は恐ろしいし、許せない。対策は全ての国にすみやかに徹底して行き渡らせるべきです」
「そのとおりだ。ラインハルト殿、ジン殿、そしてステアリーナ殿、協力をお願いしたい」
 そう頭を下げたジュードルとケリヒドーレに、仁とラインハルト、そしてステアリーナは肯き、
「喜んで」
「協力しますよ」
「もちろんですわ」
 そう言い、握手を交わしたのである。

      

「しかし……あのジンと言ったか、あの者は何と言うか……驚きだな」
「同感ですな」
 魔法相ケリヒドーレと防衛相ジュードルの会話。
「正体不明。だが、ラインハルト殿の信頼を得、ショウロ皇国へ行くことが決まっている。……それさえなければ首に縄を付けてでもこの国に従属させたのだが」
「それほどまでに?」
「ああ、ジュードル殿。この私でさえ及ばぬと存ずる」
 エゲレア王国魔導士の頂点たる魔法相ケリヒドーレをしてそう言わせた仁という魔法工作士マギクラフトマンがいかほどの者か、防衛相ジュードルは想像すると空恐ろしくなった。
「あの側に付いているレーコとか言う自動人形オートマタ、あれ1体でおそらくこの城を落とせる」
「それほど!」
「しかもジンに絶対の服従を誓っておる。もしもジンに何かあったら……考えるだに恐ろしい。国としての方針が決まるまで、余計な事はしてくれなさるな」FITXスーパー脂肪解消カプセル