病室の窓の外は、雪景色。


お日様に照らされて、午前中には溶けそう。



2度目の入院、4日目。


放射線治療は、後半に入っている。




医師に聞いていたように


患部周辺の皮膚の表面が


火傷のようになってきた。


気泡のような小さな水膨れは


お隣の水膨れと仲良くなり


大きな水膨れになり


水膨れが無いところは


お猿のお尻のように赤く爛れている。





地味に心が削られる。


痛い。


深呼吸をして向き合う。



痛み止めを飲んでも


動きで触れる物理的な痛みは仕方ない。


痛みの波を超えてゆく。




🌸



昨日、


担当の薬剤師さんがいらした。


お話が終わってからモジモジと


「それは楽器ですか?」とキンダーハープを見た。


あ、空気が変わったと感じた。


来てからずっと気になっていたという。




そっと奏でた響きを聴いた瞬間に


彼女が止まった。




渡すと、大事に抱えて弦に触れた。


小さな美しい音がした。




うっとりと溶け合う彼女とキンダーハープ




出逢いの瞬間だった。




🌸




夕食後


私の名刺を取りに


仕事を終えた彼女が再び立ち寄ってくれた。




キンダーハープ を


背中や頭に付けて聴いてもらって


それから


彼女にキンダーハープを差し出すと


もう、既に


双方の惹かれ合う引力を感じた。






写真を撮らせてもらった。





ほんのり赤くなっていたのは


彼女の頬だけでなく、指先や腕もだった。





抱えて奏でる響きの無垢な美しさ。





ああ、見てるなぁ


今、私だけじゃなくて


この世界に生まれたい


ライアーのエネルギーたちが


みんな見て聴いている。




うっとりしている彼女とキンダーハープ


そのエネルギーの美しさ


立ち会えた喜びに体温が上がる私。





私の魂への、ご馳走。





痛みの夜も朝も


思い出すと


ふと痛みが和らいだ。






待っている


ベストタイミングに生まれるのを


ライアーたちが待っている。




その、お手伝いをするんだ。


私の、この手は。






急がなくていい。



この痛みを超えて。



ゆっくり、ゆっくり。