ホテルの女主人Ulrike ThieltgesさんとシェフのHelmut Thieltgesさんの夫婦で経営しているWaldhotel Sonnoraは、ミシュラン三つ星、ドイツ版Gault & Millauでは4店しかない19.5点という最高得点をキープし続ける、まさにドイツを代表するオーベルジュタイプのレストランです。
予約はホームページからメールで。
年末年始を挟んでウルリーケさんから直々に英語で予約確認のメールが届きました。
飛行機の関係で翌朝の朝食の時間が早くなることについても、丁寧に対応していただきました。
また、直前にはメニューをメールで送っていただきました。
当日は夕方にチェックインし、夕食までの時間をホテルの周りを散策して過ごしました。
2月のドイツはまだ寒く、池には氷が張っていました。
メニューはコースメニュー(served by 2 personsと表記)とアラカルトから選ぶのですが、
2名からしか頼めないと思っていたコースは、聞いてみると1名でも選べるとのことでした。
ということなので、せっかくなので、8品のフルコース(189ユーロ)を頼みました。
なお、1品とチーズを除いた6品のコース159ユーロもあります。
おそらく2名の場合、コースはテーブルで合わせて注文してほしいということかと思います。
以下、送っていただいたメニューから転載します。括弧内は簡単な説明です。
アミューズは「赤いサロン」というサロンスペースでワインやメニューを選びながらいただきました。
アミューズ・ブーシュ
(サーモンをウナギのフィリングでくるんだもの、キュウリのムース、等)
サロンの雰囲気満点な中、細やかな盛り付けといい塩梅のアミューズは期待を高めてくれました。
その後レストランに入って、ソムリエールのMagdalena Brandstätterさんとワインの相談をしました。
地元モーゼルのリースリング、しかも果実味の強いカビネットからおすすめを挙げてもらい、
「甘みがしっかりしていて私はとても好きです」とのことで開けていただいたのですが、
自分には、というか料理に合わせるは甘すぎてしまいました。
そのことを伝えると、嫌な顔ひとつせずにもう一つの候補のものを持ってきていただいたのです。
そちらは自分の思うピッタリの味でした。
開けて味見をしただけのワインを下げてもらうことには申し訳ない気持ちになりましたが、
一方でサービスに感嘆しました。
あとで知ったのですが、何とこの方、2012年にSchlemmer atlasとGault & Millauという2つのレストランガイドからソムリエ・オブ・ザ・イヤーに選ばれた方でした。
受賞当時弱冠29歳ということで、新進気鋭のソムリエールだったんですね。一流の振る舞いでした。
ここからメニューの内容に入ります。
Overture
(左から、ムール貝のスープ、牡蠣、(おそらく)ホタテのカダイフ包み)
時間が経ってしまい細かい味は忘れてしまいましたが、一品一品塩加減が絶妙で、とてもおいしく楽しくいただいたことははっきり覚えています。
なお、バゲットもとてもおいしかったですが、コースの長丁場を考えほとんど手を付けませんでした。
バターはエシレで、250gのバスケット一つが供されていました。
Galantine of Perigord-goose liver with grapes and nuts and a jelly of old Madeira and iced Confit of figs
(ペリゴール産ガチョウのフォアグラにブドウ、ナッツ、マデイラ酒と冷やしたイチジクのコンフィを巻いたガランティーヌ)
まず、プレゼンテーションがとても美しくて華やかな気分になりました。
フォアグラと果実やマデイラ酒といった甘いものの組み合わせはクラシックですが、
周りのゼリー部分の酸味と甘味が絶妙で、フォアグラの味を邪魔することなく高めていて感動的でした。
Fried Scallpos with Brussel’s endives and flavor from ginger and lime
(ホタテのフライとチコリ・ブリュッセルをショウガとライムの味で)

油で揚げたホタテの甘みと、ショウガとライムの酸味と苦味の対比が見事な一品でした。
ちなみに混乱しがちですが、ここで出てきたチコリ、もしくはアンディーブは同じ小さい白菜のような野菜、
シコレとエンダイブは別物で、サラダで使う葉野菜を指すそうです。
Crusty seared sweetbread and macaroni chartreuse in Sauce Perigourdine
(表面を焼いた子牛の胸腺とシャルトリューズ仕立てのマカロニをペリゴールソースで)
トリュフも入りマカロニのプレゼンテーションもきれいなのですが、少し重く感じました。
フルコースではなく軽いコースにすればよかったと少し後悔。
この時点でかなり満腹感がありました。
次の写真は隣のテーブルで頼まれていたもので、とてもおいしそうだったので撮らせてもらいました。
(片言のドイツ語を理解してくださり、また快諾してくださいました。)
Guinea fowl from Burgundy fried in all, with Truffle-Leek and Macaroni charlotte
(for two Persons served in 2 courses)
なお、筆者以外の客はこちらのテーブルのご夫婦ともう1組の3組のみ。
平日でしたが、テーブルの数にしてはかなり静かな雰囲気でした。
Filet of Sole with Spinach on Sauce Pomerol and champage-sauce
(舌平目のフィレとほうれん草、ポムロールソースとシャンパーニュソース)

こちらも白身魚とシャンパンソースというクラシックな一品ですが、食材がきわめて良質なのと、
一方でポムロールのワインを使ったソースでアクセントをつけています。
ほうれん草と赤ワインとの相性もよく、巧妙な組み合わせだと思いました。
Breast of Challans-Duck with oriental spices and orange-ginger-Sauce
(シャラン鴨胸肉をオリエンタルスパイスとオレンジショウガソースで)

こちらも見事なシャラン鴨を最大限活かした「足すものも引くものもない」極まった料理だと思います。
火入れもプレゼンテーションも見事。
しかしながら、無念にもすでに満腹で味わう余裕が全くなくなってしまっていました。
食べられないと思っていても、結局食べれてしまう力がある点においては、間違いなく素晴らしい逸品。
Choice from the cheese-trolley

チーズもせっかくのフルコースなので気力を振り絞って少しずつですがいただきました。
記憶が正確ではないですが、写真から判断するに、左から時計回りにカマンベール、リヴァロ、エポワス、フルム・ダンベール、おそらくサントモール・ドゥ・トゥーレーヌ。
ワインとともに完食したので間違いなくおいしくいただいたはずです。
Ragout and Sherbet from mandarins
(ミカンの煮込みとシャーベット)
こちらはミカンの酸味が効いた爽やかなデザートで、胃を休めながらいただけました。
Warm Apple Tartelette with Rum-Raisin-Ice and salty caramel-Sauce
デザート2品目。
こちらは事前に送ってもらったメニューのものとは異なりアラカルトにあったデザートでした。
事前のメニューではチョコレートケーキだったので、こちらになり大変助かりました。
リンゴは奥のタルトレットの球形のもので、温かくシナモンが効いた重すぎないものでした。
Fine patisserie
(ミニャルディーズ)

さすがに限界で、こちらだけお皿に置いてもらって部屋でいただくことにしました。
同じものがひとつとない小菓子で、どれもおいしかったです。
総じて、Waldhotel Sonnoraはこれまで訪れてきたレストランと大きく違うように思いました。
クラシックを極め、素材を活かした磨かれた味で、素朴かつ鮮烈。
奇をてらうことはしないが、新しさを加える。
シェフにはお目にかかれませんでしたが、ウルリーケさんやソムリエール、サービスの方々のホスピタリティはプロフェッショナルでありながらとてもアットホームで、それこそがこのレストランが長い期間高い評価を得る所以なのだなと感じました。
その日は長旅もありぐっすり眠りました。
翌朝部屋に持ち込んでいた残りのミニャルディーズや早めに用意してくださった朝食もおいしくいただき、最後にウルリーケさんにまた来る旨をお伝えしてフランクフルト空港に向かいました。
ちょうど同じタイミングで出発する夫婦と唐突に車越しにレストランの感想を話したりもしました。
アットホーム感が宿泊客に伝染するような、寒いドイツの中でほのかに灯る、そんな温かい空間でした。


















































