法律行為を構成する要素の中の一つは意思表示です。

法律行為と出てきたら、「法律行為は、意思表示を要素に含む権利変動原因の一つである。」これを常に思い出して下さい。更に、法律行為は、その意思表示の向きや数によって、契約/単独行為/合同行為に分けられるというところまで、常に思い起こせれば十分です。

 

その意思表示が無効になると法律行為も無効になります。

意思表示が無効になる場合には、どのような場合があるのでしょうか?

意思表示が無効になるケースは2つです。

①効果意思がない場合

②効果意思は存在するものの、その形成過程に問題がある場合

※効果意思…法律行為を行うには、表意者に「こうしたい」という意思があるはず

      です。その「こうしたい」にあたる部分が効果意思で、意思表示の核

      の部分です。表意者の真意と考えるといいと思います。

 

①効果意思がない場合(意思の不存在)

 意思表示は、表意者の意思(効果意思)を実現するための手段ですので、そもそ

 もその意思がないのであれば、意思表示の効果を認める必要はありません。なの

 で、効果意思のない意思表示は無効になります。

 心裡留保や虚偽表示がその例です。

②効果意思の成立過程に問題がある場合(瑕疵ある意思表示)

 効果意思の形成過程に問題があり、その問題がなければ、同様の意思表示はしなか

 ったという場合には、効果意思は一応あるので、一旦は法律行為を有効と認めます

 が、事後に取消することができるとしています。

 取消すことで、意思表示は最初からなかったことになりますので、無効になりま

 す。

 錯誤による意思表示、詐欺または強迫による意思表示がその例です。

 

まとめます。

         ①意思の不存在   ①-1  心裡留保 … 無効

                   ①-2  虚偽表示 … 無効

意思表示の瑕疵 

                   ②-1  錯誤   … 取消可能

         ②瑕疵ある意思表示 ②-2  詐欺   … 取消可能

                   ②-3  強迫   … 取消可能