「このブログ立ち上げて、ドン引きされたかなって思ったよ」
「うん、ドン引きしたかな だって、こんなことする人いないよ~」
「そう、結構、ドン引かれるの、特技」
「いらんわ、そんな特技」
「自分史上、最強のドン引きエピソード思い出した 昔さ、好きになった女の子に和歌のラブレター書いて、音信不通になったことある」
「なんで、そんなことしたの」
「高校の古典の授業でさ、平安時代には男性が女性に和歌を送って求愛したって聞いて、実践してみた」
「超 時代錯誤じゃない 平成の世だったわけでしょ 当時は」
「恋は盲目っていうじゃん」
「見えてなさすぎでしょ」
「ところでさ、ブログって個人が多数に向けて情報発信するわけでしょ もう表現の仕方とか、限られてくるじゃない。まあ、日記みたいなのもあるけど。自分はラジオ的なのやりたかったわけよ」
「ラジオ的」
「仲のいいパーソナリティーがあれこれ話して、それをリスナーがなんとなく同じ輪の中にいて聞く感覚 あれって好きなんだよ」
「あ、なんかそれ分かる」
「でしょ。関係性を見せる。その関係性に観ている人や聞いている人が群がってくる感じ」
「だからほんとはYouTubeとかでレイちゃんと2人でしゃべったのを収録してパッケージにしたいくらいなんだけど、それはちょっとハードル高いっしょ。だから、ブログを使って、お店で話したネタやLINEでやり取りしたことを、ガリヤが膨らませて、ちょっと読んだら暇つぶしにもなるし、タメになる。そんなコンテンツを作りたかったんだ」
「あ、そーやってキャバの子口説いてたんだ」
「いやいや。こんなことするの初めてだって ずーーっとイメージはあったよ。企画は温めてた。んで、レイちゃんとは趣味嗜好があったからさ、この子だったら書けるかもって思ったわけです。はい。レイちゃん本好きだしね」
「ほんとぉー」
「本当だよ。それに、別に人に読まれなくても、レイちゃんが読んでくれれば、お店にリアルに行った時、これまた話盛り上がれそうでしょ リアル-LINE-BLOG これこそまさにマルチメディア」
「マルチメディアってことば古くない」
「ハハハ。だな。シームレスな展開とでいえばいいんかな。シームレスって言葉、流行ってるよね」
「あ、透けてるやつ」
「それはシースルーな。シームレスってのは複数のサービスの垣根がないこと。継ぎ目がないこと。たとえば、スマホなんかWiFiエリアに入ればこちらがいじらなくても勝手につながるでしょ ああいうのシームレスっていうんだ」
「さすが社長」
(どや顔)
「じゃあ、ドリンクもう一杯、おねがいしまーす」
「抜け目ないな、レイちゃんは そーいえば、こないだ、レイちゃん、新海監督の『言の葉の庭』が好きって言ってたよね」
「うん。好き」
「あれって、たしか和歌の話だよね」
「そうそう。素敵な話なんだ」
「高校時代、レイちゃんが好きな相手だったら、俺のラブレター見てイチコロだったかもな ずきゅーーーん みたいなww。俺の感性受け止めてくれてた気がする」
「レイもね、きっと和歌のラブレターなんて来たら、ドン引きしてたよ」
「ずきゅーーん(死亡)」
「だいじょーぶ? ガリヤ社長! 生きてる?」