バッハを知るために、キリスト教の本や中世の本を読んでいます。ルターは「神学に最も近いのが音楽だ」と言ったらしい。その「音楽」というイデアを求めて迷走しています(私も少し語彙が増えました)。

●中世哲学への招待―「ヨーロッパ的思考」のはじまりを知るために
中世●本の構成
その1 生涯の風景
その2 神の存在
その3 個別性について
その4 記憶と理解と愛(三位一体論)
その5 自由と意志
その6 時間と宇宙


自分のために抜書きをしています。ブログで抜き書きをしておくと、どこでもPCがあれば読めます。また、ほんのわずかでも読んで頂ける方がいると思うと無上の喜びです。公開だと教えて頂ける方もいるので、さらにありがたい。

●抜書き
○神学の基礎となったアリストテレス
当時の大学は教師と学生の一種の組合だった。また、キリスト教会にとって、アリストテレスは危険思想だったが、教会の懸念を無視して、大学はアリストテレスの哲学を基礎教育の根幹に据えた。その後、アリストテレスの手法に従って、キリスト教が再定義されていく。
○アラビアから入ってきた雑多な解釈
「世界は永遠からあった」<--神が世界を作ったというキリスト教に反する。
「個々の人間に知的考察を生み出しているのは、同じひとつの理性であって、一人ひとりに別々の理性があるわけではない」<--キリスト教が問題にする個々人の罪という概念に反する。
○1277年の禁令
このような大学の自由な議論の隆盛をみて、キリスト(ローマ)教会は、反キリスト的な議論をするものを「破門」にすると宣言した。危険な命題は200程挙げられた。この反キリストの論陣を張っていた教授は、パリ大学にいれなくなり、イタリアに逃げたが秘書に殺された(らしい)。その後、このような(教会から見た)行き過ぎは沈静化した。そして、教会は「自由意志」を尊重するように神学者に促した。
  ★
そう、これだ。ルターとエラスムスの「自由意志論争」に繋がっている。そして、ルターの福音主義につながり、バッハの基盤につながる。そして、この自由意志の認識論を深めたのがこの本のヨハネスなんだろう(たぶん)。
○ハイデガーの教師資格論文はヨハネスだった。
「ヨハネスの研究は頭を混乱させる」と言ったらしい。
○三つのペルソナの起原
キリストの神はユダヤの神と同じ。そしてキリストは神に祈るとき「父なる神」と言った。当時のユダヤ教会は、これを神に対する冒涜として十字架にかけた。一方、キリストを信じた人は、キリストの言葉通り神の子と信じた。そして、キリストが神の元に返るとき「聖霊を送るから安心しなさい」と言ったらしい(ほんとかな)。
○学習ではない記憶
一般に「記憶」とは、知性が一旦理解したことを「覚えたもの」。ところがヨハネスは、知性が理解を持つ以前の知性の対象が「記憶」で、知性が習い覚えたものは「習慣」であると言う。驚くことに後世のフランスの哲学者ベルクソンも同様なことを言っている(らしい)。そして三位一体論では、父なる神から子が生じるので、(神の)記憶から(神の)理解が生じるという認識のようだ。理解から記憶が生じると考えると、人間が神を作ったことになってしまう(私はそれでもいいと思いますが)。。「(経験以前の)記憶から理解が生じる」というのは、やはりプラトンに発する。著者は「(この記憶から理解が生じるは)ヨーロッパの哲学を支配している深い洞察がある」と言っている。
○トーマス・アクナイの神の証明
トマス=アクィナスは、アリストテレス自然学を取り入れ、自然界の運動の事実から神の存在証明を行った。「自然界には動かされずに動いているものは無い」-->「最初に動かすものがいる」-->「何者によっても動かされることの無い第一の動者に至る」-->「これが神である」
これは「形而上学的証明」といわれるが、著者は「これは人間の心を救う神の証明ではなく、宇宙を支配する神の証明」と言っている。
  ★
私には、もともとキリスト教の神は「強く厳しい」と感じているので違和感は無い。でも、当時のキリスト教神学者は(なんと)「科学的」であろうと真剣に考えていたのですね。それを大逆転させたのがルターと言えるかもしれない。
○ヨハネスの神の証明
ヨハンネスも、第一原因がないとその後の原因も無いとするのはトマスと同じ。ただ、ヨハネスは神を「無限な存在」としてとらえ、神を自然を超えたところに置き、細心の注意を払い、不断にかかわり続ける神の存在を証明しようとした。

う~ん、だんだん難しくなってきた。
ちょっと休憩し、元気があれば、夜に追記します。

●聴いた音楽
●コープマンによるバッハ・オルガン作品全集の第2巻。
先週、台東区中央図書館で借りました。コープマンのオルガンシリーズは、第2巻と第5巻を聞きました。第2巻には「6つのシューブラー・コラール集」と「18のライプツィヒ・コラール集」が収録されている。各曲それぞれに「原曲」のコラール合唱が併録されている。両方楽しめ、バッハに親近感を感じる。

●よんでる本
●武満徹対談選-仕事の夢夢の仕事/ちくま学芸文庫
武満私の武満の音楽の理解は”ゼロ"に等しい。黒柳徹子との対談がこの本の最初に載っている。私が、う~ん黒柳は凄いと感じたのは、武満を前にして「武満さんの音楽というと"バシッ"とか、"ビーンヨヨン"とか、ああいうふうに思うんだけど・・・」というところです。この理解は私と同じです。でも、黒柳さんは凄い。この本には、キース・ジャレットやクセナキス、ケージとの対談が入っている。ここも面白い。特にキース・ジャレットの演奏論は面白い。


・・・ということで。いつもながら、本は読んでいますが、その周辺を回っているだけです。