さて、妊娠がわかり、
会社からも、これからどうするか、
まだ自分では決められなかった。
もしかしたら、流産するかもしれないし、
見た目が妊婦だとわかるまで、
なるべく秘密にしておこう。
きっと、安定期になれば、
腹を決められるんじゃないか、
と思いながら日々を過ごしていました。
だけど、わたしはつわりがひどい体質だったみたい。
いろんな雑誌や情報を漁っては、
悪阻を乗り越えた人の事例をなんでもやってみた。
一口の冷たいしおおにぎりをラップで巻いて、
気持ち悪いと思ったらこっそり食べる、とか、
車酔いと同じ症状だから、と
おなじような対策をしたり、
あとは、葉酸と、エビオスというサプリを飲んで、
胎児に影響がでないように、
5ヶ月を迎えるまでやってた。
でも夫は、田舎に戻るとしかこたえがない…
おなかはどんどん大きくなり、
そろそろ話したほうが良さそうだな、
と思った時、
本社から関東に来ないか?と、
つまり、出世転勤街道を命じられたのだ。
なんてこった!
お給料めちゃくちゃいいし、
ボーナスも跳ね上がる!
一年に一回会えるかどうかわからない社長が、
わざわざ、九州に来てくださるなんて〜。
ランチをご馳走になり、
結婚もしてたのもあって、
旦那さんも一緒に関東へ来たらどうだい?
とおっしゃってくださった…
その夕方、
上司に相談した。
『結婚してるから、妊娠の可能性は思っていたが、
早くないか?でもせっかく授かった命だもんな、いつ辞めるか決めておけよ』
帰り道、もうお前は必要ない、
サラリーマンなんて、
いくらでもかわりがいるんだ、
という、なんともいえない虚しさと、
自己肯定感がドーンと落ちた瞬間だった。