【題名】 マーガレット・サッチャー  鉄の女の涙

【原題】 The Iron Lady

【監督】 フェリダ・ロイド

【脚本】 アビ・モーガン

【製作総指揮】 フランソワ・イヴェルネル
          アダム・キューリック
          キャメロン・マクラッケン
          テッサ・ロス

【製作】 ダミアン・ジョーンズ

【音楽】 トーマス・ニューマン

【製作国】 2011年 イギリス映画

上映時間:105分

字幕  戸田奈津子

【キャスト】
メリル・ストリープ(Margaret Thatcher)
ハリー・ロイド(Young Denis Thatcher)
ジム・ブロードベント(Denis Thatcher)
アンソニー・ヘッド(Geoffrey Howe)
リチャード・E・グラント(Michael Heseltine)
ロジャー・アラム(Gordon Reece)
スーザン・ブラウン(June)
オリビア・コールマン(Carol Thatcher)
ニック・ダニング(Jim Prior)
ジュリアン・ワドハム(Francis Pym)
アレクサンドラ・ローチ(Young Margaret Thatcher)

【感想】
メリル・ストリープが今年のアカデミー主演女優賞をとったということで先日、観に行ってきました。

1970年代から80年代に、英国の政治経済を復興させたサッチャー首相が現在から過去をフラッシュバックのように回顧する構成になっている。

女性議員、そして保守党女性党首、さらには女性首相と華やかな経歴を歩むマーガレットを本当に支えたのは、彼女の最大の理解者であり、かつ最愛の人であるご主人のデニスだった。
すばらしい、まさに英国のジェントルマンである。

英国病といわれた強い労働組合、国営企業の不振、経済の停滞、IRAとの来たアイルランド問題、アフリカのフォークランドでの戦争・・・
これらに対処するマーガレットの首相としての決断や苦悩がどんなものだったか。
性別にかかわらず、正解のない、しかし責任を伴う決断を求められる。
この極限ともいえる緊張でも踏みとどまることができたのはデニスがマーガレットの心のよりどころだったからのようだ。

マーガレットは認知症を患っているようだ。まだら呆けのような症状。
1925年生まれの86歳である。
以前お医者さんに聞いたことがあるが、認知症は記憶の引き出しが管理できなくなり、あるときは鮮明な記憶と理解力を示すが、あるときは全く理解・認知ができず、とんちんかんな反応をするらしい。

鉄の女と呼ばれた、政治家としてのマーガレットにも、
妻や母としての顔があり、知られざる孤独と苦悩があった。 
このマーガレットをメリル・ストリープがじつに、そのままでドキュメンタリーかと思うほどの熱演。老醜をさらけ出すところも、ここまでやるか?という感じ。

だれでも年齢を重ねていけば、老いていくのだが、老いたときに、何が生きていくうえで幸福なのか、生きていくさまをいろいろと考えた作品でした。


評価:★★★★☆