「大鹿村騒動記」観てきました。

原田芳雄さんの遺作。

映画産業の関係者ではないのでストーリーには触れません。

ひとりよがりの感想を。

あのイメージ通りの原田さんが存在感のある姿、しかも思いっきり田舎くっさく演じていました。
1年もしないうちにあんなにやつれ、この世から消えてしまうとは思えません。

田舎の初老のおやじを演じてもかっこいい!
くさい演技をしても上手っていうのは役者としてすっごいと思います。

TVの「新参者」の時計屋の頑固な店主、「白州次郎」の吉田茂、「不毛地帯」の大門社長・・・・

主役ではなくとも思わず引き込まれる役とキャラのマッチング。

40年以上前、私がまだ小学生の頃に、浅岡ルリ子さんがヒロインのTVドラマに出演していたのを覚えています。いわゆるアウトローのキャラだったような。
ストーリーは覚えていませんが番組のテーマ曲は「まがじん」というバンドがうたっていたこととそのメロディーをいまでもしっかりと覚えています。

そんな原田さんに加えての共演者がこれまたベテランのオンパレード。
どの俳優さんもくさい演技がうまい。

大楠道代。艶のあるお姉さんのイメージでしたが、かなり年をとってしまいました。
でも、さりげなく見せるかわいさ・・・

石橋蓮司。この人はコメディアンだったかと錯覚するくらい笑わせてくれます。

三国連太郎。年輪を重ねた渋み。佐藤浩市と親子共演ですが、他の役者さんとの中では佐藤浩市がものすごく若く見える。

岸部一徳。芸能界に入ったときはタイガースのメンバーだったなんて知っている人は少ないんでしょうね。味のある俳優さんです。この映画ではなんとも困って頼りない演技がはまっています。

ほかにも小野武彦、小倉一郎らが出演。

松たかこが純情でかわいい田舎娘を好演。この出演者の中では肌の張りもプルプルに見えて若い!
もちろんメークもあるでしょうが。
瑛太も重要な役どころですが、重みではベテランにはかなわないです。

歌舞伎の場面の観客は村の人たちが協力していたのでしょうが、歌舞伎の「みえ」のたびに「おひねり」がたくさん飛んできて舞台がおひねりだらけというのも笑えました。

エンドロールで流れるのは「キヨシロー」。
隅々まで心憎い映画作りがなされています。

平日の夜なので劇場には数十人しかいませんでしたが、エンドロールが終わったら、思わず自然にみんなが拍手をしていました。

観終えて、とても気持ちのいい映画でした。

(今回は、ちょっとまじめに絵文字なしです)