原状回復でのトラブル
引越しの退去時に管理会社や家主から高額な「原状回復費用」を請求されたという話を聞きます。
これらのトラブル対策として国交省が「原状回復のガイドライン」173ページを出しています。
「原状回復」は賃借人が退去時に入居時の状態に戻すということではありません。
社会通念上通常の使用方法での損耗や経年劣化などで悪くなっていたとしても賃借人は一切負担せずにそのまま返還すればよいとしています。
(家具や家電よる床のへこみ、日焼等の変色、ピン穴、通常生活を行う上での損耗など)
又契約書の特約事項に損害賠償の範囲が具体的に記されていても、その内容が賃貸人側に一方的に有利な内容であれば無効になる場合もあります。
但し賃借人の「故意」や「善管注意義務違反」が原因で汚損・破損などの損害を生じさせた場合は損害を賠償することになります。 (傷、汚れ、タバコのヤニ、黒カビ、水垢、サビ、、、、)
これらについて色んなケースで173ページに渡り詳細に記されています。
一例として賃借人が不注意又は故意で壁紙の一部を汚したり傷つけた場合、
ガイドラインでは、入居者の賠償責任の範囲について、m単位が望ましいとしつつ、やむをえない場合は毀損箇所の一面分だけの張替え費用の負担が妥当と考えられるとしています。
つまり最大限の賠償責任は壁一面の張替え費用となります。
例 10畳のリビングの場合(一面)
高さ2.5m✖️横幅4m✖️1000円
(壁紙交換費用)
これのより多めに見て入居者が負担する費用は約10,000円。
一面だけだと室内の他の面と色目が違ってしまうので、部屋全体の張替え費用などの請求には応じる必要はありません。
賃借人の「善管注意義務」とは
賃借人は建物を善良な管理者としての注意を払って使用する義務を負っています(民法400条)。
賃借人の不注意等によって通常の使用をした場合よりも大きな損耗や劣化が起きた場合は賃借人は「善管注意義務に違反」して損害を発生させたことになります。
例えば、結露の処理や通常の掃除を怠ったことによって、特別の清掃をしなければ除去できないシミ、水垢、黒カビ等の汚損を生じさせた場合も、賃借人は善管注意義務違反として賠償責任があります。
なお、物件や設備が壊れた場合は賃貸人が修繕する義務があります。
その場合賃借人が賃貸人に通知を怠って物件等に被害が生じた場合(例えば水道からの水漏れを賃貸人に知らせなかったため、階下の部屋にまで水漏れが拡大したような場合)には、損害賠償の対象となります。
ちなみにこの2年で5戸の退去立会いをしましたが、原状回復費用を請求したのはゼロでした。
退去の電話があった時に必ず確認するのは室内での設備品や壁、床などの破損の有無。
もしある場合は入居中に火災保険の特約を使って修理してもらうことを進める。
入居者さんが入居時に不動産屋さんで手続きしている火災保険に借家人賠償責任特約がついていることを理解されていいない。
これは何度使っても免責も保険料が上がることはない。
ちょっとしたアドバイスで非常に喜んで頂くことが多く、退去時の清掃もびっくりするぐらい綺麗にしていただけるのがほとんどでありがたい。