伊坂幸太郎 『アヒルと鴨のコインロッカー』

 

 

 伊坂作品では1番切ない物語だと思います。ボブ・ディランの曲やブータンという国が登場しますが,その穏やかな雰囲気が余計に切なさを感じさせます。映画化もされていますが,小説だからこそ伝わる魅力があり,予想外の展開に,読み終わった後には何とも言えない余韻が訪れます。

 

 

歌野晶午 『葉桜の季節に君を想うということ』

 

 

 歌野晶午の傑作ミステリー。この小説は様々な賞に輝いた有名な作品です。私立探偵である主人公が依頼を受けて解決へ向け奔走するオーソドックスな探偵小説としても充分に楽しんで読むことができますが,そのまま終わらずに,最後に驚きの事実が待っています。すべてが格好良い。これは恋愛小説でもあります。

 

 

東野圭吾 『ゲームの名は誘拐』

 

 

 頭のきれる主人公。仕事相手の副社長にプロジェクトを潰され,その借りを返そうと“狂言誘拐”に挑みます。現在のような人間模様を重視した作風ではなく,東野圭吾の数多ある作品の中では知名度も評価もあまり高いとは言えませんが,急展開で読者を引きつける本格推理小説として読めばこの作品もかなり魅力的です。