【ジュエリーの検品道具のご紹介】

 

お店に陳列しているジュエリーや、皆さんが身につけているジュエリーは、専門の人間によって隅々までチェック、すなわち検品されている場合がほとんどです。

 

製作しているメーカーでの検品は勿論、納品先のブランドや問屋、小売店でも再度検品されています。

 

本日はその検品の時に使用する道具をご紹介します。

 

 

ルーペ

 

 

 

必需品の中でもかなりの必需品。

完成品のジュエリーだけでなく、製作途中の検品やダイヤモンド等宝石の検品でも使用します。

一般的には倍率10倍を使いますが、ダイヤモンドやその他宝石には20倍を使うこともあります。

 

サイズや形、素材も色々あって、レンズの縁一周にLEDライトが付いている物も販売されています。

好みにもよりますが製品を見る時はレンズ広め、宝石は狭めの方が見やすいですね。

 

ちなみに、僕はいつも肩に下げているのでとっても軽くて使いやすいCanon のルーペを使っています。

 

 

何故か年2回のバンコクジュエリーフェアで毎回特価で販売されていて、幾つか買い溜めしてあります。

 

その他、メガネタイプや頭に装着するヘッドルーペ、卓上など様々あります。

 

 

 

ノギス

 

 

 

サイズを測る時に使用します。

よく使うのは画像左下の箇所で、スライドして広げることによって直径を測ることができます。

 

画像左上の部分は内径を測ることができます。

またスライドすると右側から棒が出てきて、そこを利用すると深さの計測が可能です。

 

小数点第2位まで計測可能な優れもの。

 

その他、ダイヤル式やデジタル式もあり、一般の方はデジタルが使いやすいと思いますが、

電池が少なくなると誤差が出ることもあるので、一番正確なのは写真のタイプかと。

 

使い方は Wikipedia でアニメーション付で説明されているのでご参考にどうぞ。

 

ノギスの使い方Wikipedia

 
 

スライディングゲージ・ダイヤルキャリパー

主には厚みを計測する道具です。

挟みやすい物の厚みを計測するのは前途のノギスで計測すれば良いのですが、

へこんだ場所の厚みやノギスが入らない部分のサイズの計測に適しています。

 

こんな感じです↓↓

 

ノギスもそうですが、検品時だけではなく製作時にも沢山使用する機器なので、検品者だけではなく職人さんも沢山の方が保持しています。ダイヤルキャリパーは検品よりも作業時の方が使用頻度が多いかもしれませんね。

 

先が尖っていたり板のように広かったり、丸くなっていたりと計測物の形状や素材に適した種類が多数あります。

 

 

デジタルスケール

 

精密はかり。

最終検品ではあまり使いませんが、色々な場面で活躍します。

貴金属の買い取り屋さんでは必需でしょう。

 

メーカーの場合は製作中の工程で重さを確認したり、各部署へ受け渡す時の管理を兼ねた計測に使用することが多いです。

ジュエリーの場合は繊細なので、小数点の表示が多ければ多いほど良いですね。

 

ちなみに、ジュエリー用のデジタルスケールはグラムの重さだけでなく、石の重さ = Carat キャラット測定も可能です。

 

画像は卓上用で、計測部分を覆うようにガラス張りになっており左右は開閉可能な窓になっています。

計測時には窓を開けてから測定物を入れて、再度窓を閉めてから計測します。

 

主には宝石のキャラット計測時に窓を閉めて計測するのですが、これはエアコンの風など外部の影響で測定にブレが出ないです。

宝石の売買では「1キャラット◯◯円」というように重さが価格の基となるので、そういった面でもシビアに計測する必要があります。

 

デジタルスケールは仕入れや展示会等の時に持ち運ぶためにポケットに入るサイズもあり、僕が使っているのは手のひらサイズです。

 

 

リングサイズ棒

 

 

目盛りがふってある棒で、上からリングを通した時に止まったところがそのリングのサイズとなります。

 

金属製やプラスチック、最近ではテフロン製を出している業者さんもいますが、最終検品で金属製を使用すると傷がつきやすいのでその他をお勧めします。

ただし、プラスチックは長年使用していると摩耗して若干サイズが変わってしまうこともあり、また同じメーカーさんから購入しても何本かで若干サイズが合わないこともあります。

 

Well Field ではサイズ棒どおしのブレを認識するために、1個のリングゲージをマスターとして保管しています。

 

 

これは店頭でもよく見かけますが、本来は指のサイズを調べるために使用するゲージです。

これをサイズ棒に通して数値が一致するかを計測していて、もしズレがあればアナログですが線を書き足しています。

 

リングサイズは日本規格、ヨーロッパ、アメリカ、香港等々、国によって数値が異なります。

基本的にはそれぞれの規格用のリングサイズ棒があるのですが、中には2つの規格、または4カ国規格が書かれている万能サイズ棒も存在します。

それだけ世界各国に販売する業者さんが多いということですね。

 

 

ピンセット

 

 

製作をする時にピンセットでジュエリーを挟んで火をあてたり、細かな部品を取り扱うために使用することがありますが、検品で使うピンセットは主に宝石の検品用となります。

宝石用ピンセットもステンレス製やチタン製など素材も様々で、先端が尖っているタイプだけでなく、真珠やビーズを掴みやすいようにお皿が付いたタイプやストッパーが付いているタイプもあります。

 

従来のピンセットと異なる点は、宝石が滑らないように先端部分に溝が彫られている場合が多いです。

宝石を正面から挟むだけでなく、宝石の上下を挟んで側面を確認する摘み方もあります。

 

溝の有り無し、溝の深さ、摘みの弾力、先端の鋭さ、重さ、素材、等によって好みが分かれてくると思いますが。

僕はあまり鋭くなく溝が縦横状に入っていて、何より軽いピンセットが好みです。

 

高価なピンセットは数千円以上しますが、そういったピンセットは一日何百・何千ピース検品する方にとってはとっても楽なんでしょう。

 

 

宝石用スコップ

検品を終えた宝石を袋に戻す時や小分けにする時に利用し、画像のようなタイプの他に取っ手が付いたタイプもあります。

ふと、近くにない時には手で集めたり、紙をつかって袋に入れたりしますが、このスコップがあるのとないのとでは、その時間もストレスも全く異なります。

 

この道具は比較的安価なのですが、購入の時に少しだけチェックポイントがあります。

 

一番大切なのは受け口の厚みです。

極力薄く、かつ斜めになっていると尚良いです。

条件が良いスコップは細かな宝石の山をひとすくいするだけで一度ですくい上げることが出来ます。

受け口が厚いと全てをすくい上げることができず、もう片方の手でかき集める必要があります。

 

ユニパックなど袋に入れる時のポイントは、受け口からすくってそのまま受け口から袋に流しこむのではなく、

受け口からすくったら反対側の角から袋に入れるようにしてみてください。

 

大抵の袋に対して受け口の幅が広いので入りにくく、受け口側の壁は低くなっているのでこぼれやすくなります。

角の場合は宝石が集まりやすく、袋の中にもしっかりと入るのでこぼれにくいです。

 

 

ダイヤモンドテスター

 

 

キュービックジルコニアなど人工石やその他ダイヤモンドに類似した石と間違っていないかを測定する機器で、ダイヤモンドをジュエリーにセッテイングした後に使用します。

先端に針のような物がついていますが、これをダイヤモンドの表面に押し当てるとメーターが動き、本物のダイヤモンドであれば音が鳴ったり、メーターが赤くなります。

これはダイヤモンドの熱伝導率や高い屈折率に目を付けて開発された機器です。

ただし、近年ではこれでは判別が出来ない高度な人工ダイヤモンドも話題となってきており、そのレベルになるとこれとは別なもう少し大掛かりな装置が必要になってきます。

 

故意ではないとしても製作時に誤って混ざってしまうこともゼロ%ではないので、Well Fieldではダイヤモンド商品は最終検品後にこれを使用し、その後別の人間が再度チェックするようにしています。

 

 

クロス

 

 

ジュエリーのお手入れでも使用するクロスですが、検品の時にも使用します。画像のような研磨剤が少し入ったクロスを使用する場合もあれば、研磨剤は含まれていないけれどもきめ細かい布を使用することもあったりと、製品によって使い分けます。

クロスで優しく磨くことによって、洗浄後の水汚れを落としたり、見にくい箇所を鮮明にする効果があります。

 

また、ジュエリークロスは製品用だけでなく、宝石用もあり、表面の油分等でしっかりと検品出来ない時に表面を綺麗にします。

宝石用には研磨剤を使用していない柔らかいクロスが適しております。

 

ジュエリー用の研磨剤が入ったクロスも、新品のジュエリーに使用すると逆にキズとなってしまうこともあるので、そういった場合はクロスを何か別の物に擦ってから研磨力を少し落としてから使用することをお勧めします。

 

クロスで拭き取れないほどのキズは深く入ってしまっている証拠なので、リフォームが必要です。

 

 

 

フィンガーキャップ

 

 

最終検品で主に使用します。

写真はゴム製ですが、布製もあります。

また、店頭でよく見る手袋を使用する場合もあります。

 

指紋を付けないということも重要ですが、汗等が製品についての変色を防ぐことにも繋がります。

 

その他

 

以下は細かくなるので箇条書きにします。

 

・ライト

ジュエリーや宝石を鮮明に確認するにはライトが必要です。検品する商品や宝石によっては明る過ぎても問題となり、光の強さ・色も重要なポイントとなります。

また、ただ明るくするライトだけではなく、ダイヤモンドの蛍光性を調べるために紫外線ライトを使用したり、アレキサンドライトなど、カラーチェンジストーンの色がしっかりと変わるのかを確認するために白熱系のライトを使用することもあります。

 

真珠に関しては周りが白すぎると色の判別が難しいので、部屋のライトは落として、優しい自然光で確認するのが良いようですね。

 

・ペン

メーカーの場合、検品時にキズやその他欠陥が見つかった場合は、マジック等でその箇所に印をつけて修理する職人さんにわかりやすいようにします。

 

・物差し、メジャー

リングやペンダントなどの計測はノギスの方が使いやすく細かな計測が可能ですが、ネックレスやブレスレットのチェーン等、長い・大きいものを測るときは物差しやメジャーがあると良いですね。

 

特にネックレスの場合は40cm前後の規格以上の物がほとんどですので、一般的な30cm物差しではなく、それより長い物差しやメジャーを準備しておくと計測の手間も省けます。

Well Field の場合は検品者の卓上にメジャーがプリントされたシールを貼ってあり、すぐに計測が可能な状態になっています。

 

・カメラ

必須とアイテムというわけではありませんが、カメラも頻繁に使用します。

お客さんや離れた場所にいる人と基準の摺り合わや、仕様の確認を行うために撮影します。

 

また、何か問題が発生してしまった箇所を撮影して、修理を行う時の資料として使用したり、記録として情報を残すことによって次の製作の機会の再発防止にも繋げるようにしております。

 

スマートフォンや携帯電話ではそのままではジュエリーの細かな箇所を接写するのは難しいのですが、後付のマクロレンズを使用したり、ルーペをカメラに付けてから撮影するとしっかりと接写することが可能です。

 

・爪楊枝、針

宝石を固定するための爪と宝石の間や、小さな隙間に、商品を磨く時の布の繊維やゴミ等が挟まっていることがあるので、爪楊枝や針を使用して丁寧に除去します。

また、チェーンの長さを確認する時に針を指してからチェーンを伸ばすと簡単にまっすぐ計測することが可能です。

 

 

 

以上、パッと思い浮かぶ物はこれくらいかと思いますが、実際にはまだまだ色々使っている気がします。。

 

ジュエリー用の専門の器具もありますが、他の業種でも使用する器具や一般的な器具も多く使用しているので、意外だなと思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

勿論、これらの器具も検品されてからジュエリーの検品用に使用されています。

皆さんのジュエリーは沢山のチェックを合格してきたという証なので、大切に着用しジュエリーを楽しんで頂きたいですね。