今流行りのクラウドファンディングでも、

犬猫の保護活動をよく見かけるようになりました。

“殺処分ゼロ”

“店頭での生体販売をなくすべき”

というメッセージは、

随分と社会的コンセンサスが得られてきたように思います。

私自身、保護活動をしている施設とのお付き合いもあります。

また、殺処分をゼロにしたいと

志を持って新しく保護施設を作ろうとしている方が

沢山の壁にぶつかり、

アドバイスを求められたこともありました。

活動を続ける壁となるもの。

受け入れから譲渡まで、

そのお繋ぎをするだけでは上手くいかない

様々な障害があります。

例えば、以下があらかじめ

明確に規定できていない場合があります。

・ボランティアの受け入れについて

・働く人の労働基準や安全の確保

・死亡動物への対応

・野生動物の保護や傷病動物への対応

また、このような場合はどう対応すべきでしょうか？

・災害発生時の対応

・ウイルスなどの伝染病発生時の対応

そもそも規定が明確でなければならないものがあります。

・犬種・猫種ごとの具体的な飼育基準

・衛生基準

・繁殖制限の徹底

・検疫について

ドイツ・ベルリンには、有名な動物保護施設である

ティアハイムがあります。

ティアハイムは、

「動物保護シェルターの手引き」に沿って設計されています。

施設は、看護・介護、長期保護、ホスピスに対応するかで

その設計段階から変わってきます。

2002年7月改正のドイツ連邦共和国基本法第20a条により

「動物保護の受け入れ」が適用され、

「国は動物の次世代と自然な生活環境を守る責任がある」

と記されており、

「動物保護が『国の目標』である」と明記されています。

日本において、

「動物の愛護及び管理に関する法律」では、

『情操』や『涵養（かんよう：無理をしないでゆっくりと養い育てること）』

という言葉に表せられるように、

「動物の命に対し感謝と畏敬の念を抱き、命を軽んじず、

動物を適正に取り扱うような社会にすることが、

結果として人命尊重や

平和を愛する心を持った国民を育てることに繋がる」

とされています。

2019年6月に

「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律」

が公布され、今後段階を経て施行されていきますが、

根底に大きな違いがあることには変わりません。

日本の愛護法が感情的であるがゆえに、

ドイツの動物保護法のように

“保護すべき”ということが明確に示してありませんので、

「法に基づいた動物保護を施行していくことが難しい」

という意見があります。

（個人的には、日本の『動物愛護』という情緒的な価値観は、

『動物福祉』とは相容れない部分があるにせよ、

日本人ゆえの感性として好きだなぁ、とは思います）

ドイツで「発見された動物」が

ティアハイムに収容されることと、

日本の自治体が狂犬病予防法に基づき犬を捕獲し

『保管』されることでは、

その趣旨も根拠となる法律も異なります。

大切なことは、保護施設設置に際しては

明確な目的設定と基本的な準備が示され、

所轄の自治体が監督すること。

そのような規定ができることで、

保護活動における現状の問題である、

収容頭数の上限を超えた保護や

それによる飼育環境の悪化も

抑止できることでしょう。

その実現には、

動物福祉に配慮していることが

社会における信用の獲得になり、

さらには利益に繋がること

が必須でしょう。

“殺処分ゼロ”

“店頭での生体販売をなくすべき”

という強いスローガンを掲げなければならなかった時代から、
一歩前に進みたいものです。

まずは、生体販売をする際に、

犬や猫が快適に過ごせる環境を用意し、

動物福祉を向上させる諸条件を事業者に課していく

ことが大切です。

そのためにも、

活動している団体それぞれが、

共に基準となるスタンダードづくりを目指していく

ことが急務です。

～毎日を人とペットのWell-beingな生活に～、Wellbe Laboでした❣

保護活動の基準