【ホリスティックヘルスとは、「人間をまるごと全体として捉える健康観」のことです。単に病気がない状態を「健康」とするのではなく、身体・心・精神・環境が調和し、人生の質(クオリティ・オブ・ライフ)が高まっている状態を目指します。】

ニュージーランドには、スピリット(精神性)と肉体の健康を統合的に捉える、非常に美しいホリスティックな健康モデルがあります。特に先住民族マオリの世界観に基づいたモデルが注目されています。

 

 

ニュージーランドのホリスティック健康モデル
Te Whare Tapa Whā(テ・ファレ・タパ・ファ)

このモデルは、マオリの伝統的な価値観に基づいて、人間の健康を「家」にたとえて考えます。家には4つの壁があり、それぞれが異なる健康の側面を象徴しています。

  1. Taha Tinana(身体の健康)
    これは、食事や運動、病気の予防など、肉体的な健康を意味します。体が健やかであることは、他の側面の安定にもつながります。

  2. Taha Wairua(スピリチュアルな健康)
    魂や精神性、祖先とのつながり、人生の意味や目的などを含みます。信仰や内なる声を大切にすることが、深い癒しにつながると考えられています。

  3. Taha Whānau(家族・社会的な健康)
    家族やコミュニティとの絆、支え合いの関係性がここに含まれます。孤立ではなく、つながりの中で生きることが、心の安定をもたらします。

  4. Taha Hinengaro(精神・感情の健康)
    感情や思考、メンタルヘルスに関する側面です。自分の気持ちを理解し、表現できることが、回復の大切な一歩になります。
    この4つの柱がそろってこそ、家(=人間の健康)は安定するとされており、どれか一つが欠けると全体のバランスが崩れてしまうという考え方です。

この学びをした時に

ホリスティック健康モデルとアルコール依存症の関連性が自分の中で繋がる感覚があり、アルコール依存症、家族の問題はホリスティックヘルスのアプローチが必要だと思いました。

  1. Taha Tinana(身体)と依存症
    アルコール依存症は、肝臓や脳など身体に直接的なダメージを与えます。けれど、それだけではありません。依存によって食事が乱れ、睡眠が浅くなり、免疫力も低下します。家族もまた、ストレスによって体調を崩すことがあります。

  2. Taha Wairua(スピリット)と喪失感・孤立感
    依存症は「魂の痛み」とも言われることがあります。生きる意味を見失ったり、自己価値を感じられなくなったりすることが、依存の根底にあることも。家族もまた、「なぜこんなことに?」という問いに苦しみ、信頼や希望を失うことがあります。

  3. Taha Whānau(家族・関係性)と崩壊・再生
    依存症は家族の絆を壊すことがあります。嘘、暴力、沈黙、共依存…。けれど、回復のプロセスでは、家族が再びつながり直すことも可能です。この「再生」は、Te Whare Tapa WhāのWhānauの柱が再び立ち上がる瞬間です。

  4. Taha Hinengaro(感情・精神)とトラウマ・回復
    依存症の当事者も家族も、深い感情的な傷を抱えています。罪悪感、怒り、悲しみ、無力感…。それらを言葉にし、理解し、癒していくことが、精神的な回復の鍵になります。

家族の回復と、命の声に耳を傾ける社会をつくるために
私の経験と学びを一冊の本にまとめ、より多くの方に届けたいと思っています。
このプロジェクトは、ただの出版ではありません。
「話してもいい」「知ってもいい」と思える場を広げる挑戦で
アルコール依存症界隈を変えていきたい。
どうか、力を貸してください。
ご支援、心よりお待ちしています。