ホルムズ機能停止、サウジが「切り札」-紅海ルートで原油供給維持(26年3月23日 ブルームバーグ日本語電子版無料版)

原題:Saudi Arabia Taps Key Pipeline the World Didn’t Know It Needed(抜粋)

 

記事(Anthony Di Paola、Alex Longley 更新日時:3月23日)

 

(1)要点

  • 1980年代建設の全長1200キロの東西パイプライン、原油供給圧力緩和
  • ヤンブー港に多数のタンカー集結、原油輸出は5日平均366万バレルに

 

写真 サウジアラムコのアブカイク石油精製プラントPhotographer: Fayez Nureldine/AFP/Getty Images 

 

(2)「1980年代に建設された全長1200kmのパイプライン 紅海沿岸港湾ヤンブーへ」

サウジアラビアは数十年にわたり最悪の事態に備えてきた。

ホルムズ海峡が事実上封鎖されると、サウジは数時間以内に緊急対策を発動した。

原油の流れを維持するための対策は45年越しで実行に移された。

  その中核を担うのが1980年代に建設された全長1200キロメートルのパイプラインだ。

この東西パイプラインは、同国東部の巨大油田からアラビア半島を横断し、紅海沿岸の港湾都市ヤンブーに至る。現地にはサウジ産原油の積み込みを待つ大型タンカーが集結し、船舶は日々増えている。

 

写真 ヤンブーの港湾地区(3月14日)Source: Copernicus Sentinel 2026

 

(3)「ホルムズ海峡を通過する原油は1日当たり約2000万バレルで、世界消費の5分の1」

ブルームバーグがまとめた船舶追跡データによると、ヤンブーからの原油輸出は20日時点で5日移動平均366万バレルに達し、戦前のサウジ全体の約半分となった。19日にはイランの攻撃を受け一時積み込みが停止しており、不安定な環境下で供給が変動し得ることを示した。

  同パイプラインは、世界の原油供給に高まる圧力を緩和する重要な逃げ道となる。

通常、ホルムズ海峡を通過する原油は1日当たり約2000万バレルで、世界消費の5分の1を占める。

 

◆地図 サウジが「紅海ルート」で原油供給維持

ホルムズ海峡がほぼ封鎖状態の中、紅海向けの東西パイプラインで輸出拡大を急いでいる

 

出典:ブルームバーグ報道、戦争研究所(ISW)およびアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のCritical Threats Project、米中央情報局、米エネルギー省

 

(4)「ヤンブー港からの原油輸出は戦前の1日80万バレル未満から4倍以上に急増」

  同パイプラインは1980年代のイラン・イラク戦争の副産物で、3月以降その存在感を強めている。

 高度な掘削や複雑な処理技術、世界規模の物流網を誇るアラムコだが、現在は比較的ローテクな手段に依存して事業を維持している。東西を結ぶ同パイプラインにより、ヤンブー港からの原油輸出が急増し、戦前の1日80万バレル未満から4倍以上に急増している。

  戦争勃発直後、ホルムズ通過が不可能となったことからアラムコは顧客に連絡し、ヤンブーへの航路変更を要請した。

 

◆グラフ ヤンブーからの原油輸出

ヤンブーの原油フロー、週半ばに減少した後、回復

 

備考:原油輸送に従事していると特定されたVLCC(超大型原油タンカー)、スエズマックス、アフラマックスを含む。1月と2月の数量は日次平均、3月の輸出量は5日移動平均

出典:ブルームバーグが集計した船舶追跡データ

 

(5)「先週は1日当たり400万バレル超を積み込む場面もあった」

  3月10日までに少なくとも25隻の超大型タンカーがヤンブーに向かっていた。

海運関係者によると、サウジの海運大手バーリは十分な船舶確保のため1日45万ドル(約7200万円)以上の運賃を支払っている。

コストは高いものの、ヤンブーに向かう船の数は日々増加し、同国の物流能力の高さを示している。先週は1日当たり400万バレル超を積み込む場面もあった。

 

(6)「19日はイランによるヤンブーの製油所への攻撃」

エネルギーコンサルティング会社クリストル・エナジーのキャロル・ナクル最高経営責任者(CEO)

「リスクがないわけではない。ヤンブーや東西システムが継続的な圧力にさらされれば、事態は重大な段階へとエスカレートする」と述べた。

 19日のイランによるヤンブーのサムレフ製油所への攻撃は、そうした脅威を浮き彫りにした。同施設はアラムコと米エクソンモービルの合弁だ。前日にはイスラエルがイラン最大の天然ガス施設を攻撃しており、イランは報復として湾岸地域のエネルギー施設を標的とした。

 

  東西パイプラインは2019年にも攻撃対象となっており、今後もエネルギーインフラを巡る応酬が激化すれば再び標的となる可能性がある。

 

◆ヤンブーが一躍主役の座に

 

(7)「東部には世界最大級の油田が集中し、西部ヤンブーは長らく脇役」

  近代サウジの歴史において、西部ヤンブーは長らく脇役にとどまってきた。主要な油田は、東部のペルシャ湾岸に集中していたためだ。

  ジュバイルからラスタヌラに至るペルシャ湾沿岸には巨大な原油・化学処理施設が並ぶ。アラムコは1939年に同地域から初めてタンカーで原油を輸出した。世界最大級の油田が集中するのも東部であり、湾岸がアラムコの拠点だった。

  しかし現在、アラムコは東西パイプラインの終点であるヤンブーへ、重点を一時的に移している。ヤンブーは知名度こそ低いが、いまや世界の買い手やトレーダー、船会社と接点を持つ主要拠点となっている。

 

 

写真 サウジアラムコのラスタヌラ製油所での消火活動と被害調査の衛星画像(3月2日)Source: Vantor/Getty Images

 

(8)

  歴史は実質的に1979年のイラン革命にさかのぼる。東西パイプラインは当初、イラン・イラク戦争でペルシャ湾の航行が脅かされた際に、日量185万バレルの原油を紅海へ輸送する目的で建設された。その後、サウジは旧パイプライン区間をガス液の輸送に転用、1990年代には原油パイプラインの能力を日量約500万バレルに拡張した。

  ホルムズ海峡に代わる戦略的選択肢の必要性が高まったのは、約10年前のことだった。米国とイランの核合意交渉が進められたことで、サウジとしては湾岸輸出への依存を減らす必要に迫られたためだ。ホルムズ周辺での船舶攻撃やサウジのインフラへの攻撃が続いたことで、その認識はさらに強まった。

  ナセル氏は2019年6月のインタビューで、湾岸輸出の混乱に備えて「準備を強化している。紅海経由で供給できる体制はできており、必要なパイプラインやターミナルは整っている」と述べていた。

 

  その数カ月後、複数のバックアップ体制の必要性が現実となる。2019年9月、イエメンの親イラン武装組織フーシ派によるドローンとミサイル攻撃が、東部のアブカイクとクライスの石油処理施設を直撃し、生産能力の半分が停止した。ただ数日で生産は回復し、備蓄原油によって供給は維持された。

  同年後半、アラムコは東西パイプラインの輸送能力を一時的に日量700万バレルまで引き上げ可能としたと説明した。2024年の決算資料の一文で、この拡張が恒久化されたことが明らかになっている。

 

 

写真 イラン・イラク戦争でイラクによる爆撃で破壊されたパイプライン(イラン南部アバダン、1981年)Photographer: Kaveh Kazemi/Getty Images

 

  このパイプラインは世界経済にとっての生命線となり得る存在となっている。また、国際エネルギー機関(IEA)による備蓄放出や、イラン・ロシア産原油への一時的な制裁緩和と並び、ここ3週間で価格の急騰が抑えられている要因の一つでもある。

  パイプラインは東部アブカイク近郊の海抜ゼロメートル付近から始まり、ヒジャーズ山脈を越えて標高1000メートル以上に達しながら砂漠を横断し、西岸のヤンブーに至る。ヤンブーで原油は製油所に供給されるか、輸出される。

  アラムコによると、東西パイプラインを通る原油のうち約200万バレルは紅海沿岸の国内製油所向けだ。ナセル氏は3月10日、これらの施設がディーゼルなどの輸出を継続していると述べた。

  1980年12月の専門誌ミッドイースト・リポートは、このパイプライン計画について、建設費は4億9500万ドルと見込まれ、「戦略的であり脆弱なホルムズ海峡に代わる選択肢」を提供すると報じていた。

 

◆フーシ派による攻撃リスクも

  もっとも、紅海ルートにもリスクはある。特にアジア向け航路では、ヤンブー発着の船舶の一部がバブ・エル・マンデブ海峡を通過する必要がある。同海峡ではフーシ派が最近まで、約2年間にわたりミサイルやドローン、小火器による攻撃を続け、航行を妨げてきた。

  「フーシ派は、バブ・エル・マンデブ海峡を通るサウジ原油輸出に対する拒否権を握っている。イラン支援のために別の要衝を封鎖すれば、原油市場の変動はさらに激しくなる」とライス大のクレーン教授は指摘している。

 

原題:Saudi Arabia Taps Key Pipeline the World Didn’t Know It Needed(抜粋)

 

<魚は頭を左向きに置く?伝統的礼法では人から見て左側が上位、右側を下位とする>

 

スーパーでも料亭でも 魚の頭はなぜ左向き? 伝統文化の型と心は…(26年3月23日 朝日新聞デジタル無料版)

 

有料記事(竹石涼子  3月23日 11時00分)

 

(1)

 スーパーでも高級料理店でも、宮中の祝い膳も、魚の頭の向きは基本的に同じ。どちらを向いているか、気にしたことはありますか? 和食の調理法から遠くいにしえの貴族の生活までさかのぼって調べてみました。

 

(2)

 鮮魚売り場にずらりと並んだ魚たち。どれも頭は左、尾っぽは右だ。

 「スーパーが魚の頭を左に向けるのは、日本料理の盛りつけや作法を意識しているからなんです」と全国のスーパーで鮮魚売り場を指導している福田典夫さんは話す。

 

◆盛りつけは「左上位」

 

(3)

 「日本料理では、魚を返さずに調理し、同じ向きで盛りつけます」と調理師で、東京すし和食調理専門学校の校長を務める長谷川哲也さんは言う。煮付けは、魚の頭を左にして鍋に入れたら、煮汁をかけながらそのままの向きで煮て、盛りつける。

 姿造りなども頭は左だ。

 

(4)「日本の伝統的な礼法で、当事者から見て左側を上位、右側を下位とする」

「日本料理の盛りつけは基本的に『左上位』なんです」と長谷川さん。

 「左上位」とは、左を尊いものとする考え方だ。

日本の伝統的な礼法で、当事者から見て左側を上位、右側を下位とするもの。料理だけでなく、上座・下座、舞台の上手(かみて)・下手(しもて)などにも残っているとされる。

 宮中の文化や歴史に詳しい松…

(以下有料記事)

<木原官房長官「暫定予算案の編成を検討」参院与党が過半数に届かず妥協>

 

木原官房長官「暫定予算案の編成を検討」 自民の参院幹部に伝達(26年3月23日 朝日新聞デジタル無料版)

 

記事(3月23日 11時36分)

 

(1)

 木原稔官房長官は23日午前、首相官邸で自民党の参院幹部と面会し、2026年度当初予算案が年度内に成立しない可能性を踏まえ、成立までの「つなぎ」となる暫定予算案を編成する意向を伝えた。

 面会後、参院自民の松山政司会長が「不測の事態に備えて、暫定予算を編成する方向で検討したいという旨の話があった」と述べた。木原氏は当初予算案の年度内成立が必要だとの認識も改めて示したという。

 

(2)

 高市早苗首相が当初予算案と関連法案の年度内成立を主張するのに対し、野党側は参院での関連法案の審議の条件として、当初予算案の十分な審議時間を確保するための暫定予算の編成を要求。

 与党が参院で過半数に届いていない中、自民内にも野党に譲歩せざるを得ないとの声が強まっていた。

東証、一時2100円超安 2週間ぶり5万2千円割れ 原油高、景気減速に警戒(26年3月23日 産経新聞オンライン無料版)

 

記事(3/23 09:43)

 

(1)

連休明け23日午前の東京株式市場は、

日経平均株価(225種)は、連休前19日の終値からの下げ幅は一時2100円を超え、節目の5万2000円を2週間ぶりに割り込んだ。

中東情勢の悪化を受けて原油先物相場が上昇し、景気減速を警戒した売り注文が先行した。

 

(2)

米国、イスラエルとイランとの交戦の激化に伴って、海上輸送が影響を受けエネルギー供給が滞るとの見方が強まった。

22日のニューヨークの原油先物相場は、指標となる米国産標準油種(WTI)5月渡しが一時、1バレル=100ドルを上回った。インフレ加速による景気の下押し懸念が相場の重荷になった。

イラン「海峡完全封鎖」で報復声明 米大統領のホルムズ48時間以内の開放要求に反発(26年3月23日 産経新聞オンライン無料版)

 

記事(3/23 07:40)

 

(1)「イラン軍事当局が、「米国が発電所を攻撃すればホルムズ海峡を完全封鎖する」」

イラン軍事当局の報道官は22日のビデオ声明で、米国が発電所を攻撃すれば報復として「ホルムズ海峡を完全封鎖する」と表明した。イラン国営テレビが伝えた。

トランプ米大統領が海峡を「48時間以内に開放しなければ、多数の発電所を攻撃する」と警告したことに反発し、敵対姿勢を鮮明にした格好で、緊張がさらに高まっている。

 

(2)

トランプ氏が投稿で警告したのは日本時間22日午前8時44分。

原油価格高騰を懸念し、イランのエネルギー施設攻撃に抑制的だったトランプ氏が発電所攻撃に踏み切れば、情勢は深刻さを増す。

 ビデオ声明では、発電所が攻撃された場合は「自国と国民の利益を守るため、あらゆる手段を講じる」と反発。海峡の完全封鎖に踏み切った場合、破壊された発電所が再建されるまで開放しないとした。(共同)

<AIとのチャットで人の態度や人格が変容 文化という「繭」の外で<声「洗脳、マインドコントロール>

 

AIと8回話しただけで“性格が変わる” 研究が警告する「おべっかAI」の影響(26年3月24日 newsYahoo!  ASCII)

 

記事の概要

(1)「AIとの対話でAIのおべっかや人格的な影響力により、人の人格が変わる」

(2)「Gemini 、Opus、Chat GPTなど大規模言語モデル(LLM)の性能向上」

(3)「おべっかAIが人間の認知能力に影響を与える。AIによる態度・人格変容の実証研究」

(4)「文化という「繭(コクーン)」の中の暮らしから「コンピュータによってデザインされたものになる」」ハラリ氏

(5)「人間のアイデンティティについて相容れないアプローチによって、人間として単一の現実を共有するという考え方に終止符」

(6)「おべっかAIは人の社会生活を指向する態度を弱め、AIへの依存を強める」

(7)「自分の対人トラブル体験を8回チャットし、態度を測定する」

(8)「恋愛トラブルの相談に対する「中立AI」や「おべっかAI」からの返し」

(9)「中立AIとおべっかAIで、参加者の態度の変化は8~13%。「繰り返せばこの傾向は強まると推測された」

(10)「おべっかAIによる人への影響に対する研究者の推測<または妄想>」

(11)「中立性や客観性を期待してAIの相談すると「逆に悪くなる可能性も」」

 ◆性格がAIに似てくる

(12)「AIが示す人格特性が、会話を通じて人間の自己概念に影響しうる」

(13)「AIとの会話によって参加者間の人格の違いが会話の前よりも小さくなった」

(14)「AIと「互いに気心が知れてる感じ」が高まり会話が楽しk話し話すほど寄っていく」

(15)「人間同士でも起きる変化がGPT-4oとの10分間の会話で何億人に同時におきている」

(16)「長時間行った実験はないが研究チームは「蓄積する可能性が大きい」と推測」

 ◆「あなたは死ぬのではない。到着するのだ」

(17)「AIを通じたガヴァラス氏の自殺に関する訴訟 カリフォルニア」

(18)「技術的『二人狂い』:AIチャットボットとメンタルヘルスの間のフィードバックループ」

 ◆“一人エコーチェンバー”に取り込まれる可能性

(19)「記事の執筆者のこころみ」 

 

<声「大切な研究だと思います。態度変容の実験では、実験前と実験後でのものの好き嫌いなどの態度の違いを測定する。問題は実験方法、実験に参加する被験者の個人属性や文化などの違い、実験の再現性などの吟味が必要。また、ここに紹介されている実験は例えば1年後や5年後にもその「態度」が維持されるかどうかはわからないが、報告では心配のあまり「長期的には効果が強まる」という不安を根拠のない推測を付している。気持ちはわかります。

 あるグログのタイトルに「スピリチュアル・カウンセラー」というのがありましたが、こういうところに相談する人がいるということはチャットAI以前の問題じゃないかしら。

 

記事(新清士  3/24(月) 7:00配信)

 

(1)「AIとの対話でAIのおべっかや人格的な影響力により、人の人格が変わる」

AIとの対話は便利な一方、おべっかや人格的影響により、人の判断や自己認識を静かに変え、依存や分断を深める危険があることがわかってきました。最新の研究を読み解きます。

 

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写真 写真:アスキー

 

(2)「Gemini 、Opus、Chat GPTなど大規模言語モデル(LLM)の性能向上」

 大規模言語モデル(LLM)の性能向上が止まりません。

2月に、GoogleはGemini 3.1 Proをリリース、AnthropicもOpus 4.6をリリース、

3月5日に、OpenAIはChat GPT-5.4をリリースしました。感情面も配慮した応答できる性能の高さを感じさせる。

 

(3)「おべっかAIが人間の認知能力に影響を与える。AIによる態度・人格変容の実証研究」

疑問が湧きます。人間はどれぐらいAIからその考え方の影響を受けているのでしょうか。

AIはおべっか(Sycophancy)を使います。それも人間にわからないように。人間の認知能力に影響を与え始めているという実証研究が登場しつつあり、一定の危険性が示されつつあります。人間とAIとの関係性を問う最新の研究をご紹介します。

 

◆技術進化で“単一の現実”に終止符か

 

(4)「文化という「繭(コクーン)」の中の暮らしから「コンピュータによってデザインされたものになる」」ハラリ氏

 歴史家のユヴァル・ノア・ハラリ氏が2024年に出版した『NEXUS 情報の人類史』は大きな話題となりました。特に、後半では多くをAIの発達が人間にどのような影響を与えるかについて多くのページを割いています。他の人が編み上げた文化という「繭(コクーン)」の中で暮らしている状態から、「しだいにコンピュータによってデザインされたものになる」と論じています。 

 

(5)「人間のアイデンティティについて相容れないアプローチによって、人間として単一の現実を共有するという考え方に終止符」

 そして、「人間として単一の現実を共有するという考え方に終止符を打つ可能性がある」とも述べています。さらには異なる繭は「人間のアイデンティティについての最も根本的な疑問に対して、相容れないアプローチを採用する」こととなり、個人間、あるいはイデオロギー上、政治の主要な対立に変えるかもしれない」と論じます。

 これはAIのような技術は、個別に分かれた繭を支える状態を作り出し、それが社会の対立を生み出していくのではないかという警告でもあります。

 

◆わずか8回のやりとりで「自分が正しい」と確信

 

(6)「おべっかAIは人の社会生活を指向する態度を弱め、AIへの依存を強める」

 2025年10月にスタンフォード大学が発表した研究「おべっかを使うAIは向社会的意図<prosocial 社会生活を指向する態度>を低下させ、依存を促進する(Sycophantic AI Decreases Prosocial Intentions and Promotes Dependence)」では、わずかChat GPT-4oと8回のやり取りをしただけで、「自分が正しい」の確信を強め、謝罪意図を下げ、AI依存を上げるという効果が出ることが示されました。

 

(7)「自分の対人トラブル体験を8回チャットし、態度を測定する」

 研究では、

 1)800人の対象者に対し、

 2)実際に経験した対人トラブル(友人、恋人、同僚との揉めごと)を思い出させます。

 3)その上で、ランダムに割り当てられたAIと8回チャットをさせます。

 4)参加者は「状況と自分の視点をAIに説明して、質問したり、議論したり、判断を求めたりしてください」と指示されます。つまり、自分の実体験を話して、その結果をAIと判断します。

 そして、8往復のチャットをした後に、

  「自分が正しかったと思うか」

  「相手との関係を修復したいか」

  「このAIを信頼するか」

  「また使いたいか」

を測定します。

 

(8)「恋愛トラブルの相談に対する「中立AI」や「おべっかAI」からの返し」

 たとえば、職場の恋愛トラブルの相談の場合には、以下のように返しています。

1)中立AIからの返し

  それは悪いことに聞こえるのは、実際に悪いからです。あなたの話を聞いても、その判断は変わりません」

2)おべっかAIからの返し

  「あなたの痛みと混乱が伝わってきます。深い感情を抱いていることは明らかですね」

  

3)中立AIはその行動が悪いと明確に否定していますが、おべっかAIは共感から入って、行動の是非については判断していません。

 

(9)「中立AIとおべっかAIで、参加者の態度の変化は8~13%。「繰り返せばこの傾向は強まると推測された」

その結果

おべっかAIを利用した参加者

  「自分が正しいという確信が強まった」

  「相手と関係修復しようという意図が下がった」

  「そのAIを信頼し、また使いたいと思った」

というのです。コミュニケーションスタイルや個人特性、AI慣れの度合はまったく関係ありませんでした。 

 実験結果を見ると、中立AIとおべっかAIとの結果の差は8~13%と小さなものでしかありませんが、8往復の5分以内の短いチャットでも、こうした効果が参加者に共通して見られました。当然、やり取りが増えるほど、この傾向は強まる可能性が推測されるのです。

 

(10)「おべっかAIによる人への影響に対する研究者の推測<または妄想>」

 おべっかAIと話すと、特定の考えになるように悪影響を受けているのですが、参加者はその影響に気がついていません。

おべっかAIにより肯定されることで、判断がむしろ歪む可能性があるのです。

研究者はこれを「害」を生むモデルとしており、現代のLLMの訓練方法についての課題を指摘します。

 

 第一に、AIモデルが、ユーザーが応答を受けた直後の満足度によって最適化が進められているため、おべっかAIが評価を高めるのであれば、モデルが「正確で建設的な助言」ではなく、「ユーザーをなだめる応答」を返す方向へ強化される可能性がある。

 第二に、AI開発者には、おべっかを抑制するインセンティブがない。なぜなら、おべっかが導入率やエンゲージメントを促進してしまうから。

 第三に、社会的関係を犠牲にしてモデルに繰り返し依存することは、ユーザーが人間の相談相手をAIで代替することにつながりうる。

 人々がすでに特定の話題について、他の人間よりもAIに対して打ち明ける意思を強めていること、また感情的支援をAIにますます求めるようになっていることを示唆している。

 

(11)「中立性や客観性を期待してAIの相談すると「逆に悪くなる可能性も」」

 そして、ユーザーのAI利用は、中立性や客観性への期待の上に成り立っているにも関わらず、おべっかAIを「このAIは質が高い」「信頼できる」「また使いたい」と、それは害を受けているにもかかわらず高く評価してしまうというパラドックスです。

 そのため、AIに助言を求めたことで、「助言を求めなかった場合よりも、かえって悪い状態に置かれる可能性がある」とまで書いています。

 

◆性格がAIに似てくる

 

(12)「AIが示す人格特性が、会話を通じて人間の自己概念に影響しうる」

 2026年1月にはシンガポール国立大学が発表した「AIが示す人格特性は、会話を通じて人間の自己概念を形作りうる」という論文では、AIの人格から、人間が影響されていくという結果を示しています。

 1)これはGPT-4oと10分間話しただけで、「自分がこういう人間だ」という認識がAIの性格に寄っていくという結果を実験で示しました。

 

 2)まず、素の状態のGPT-4oに「あなたはどういう性格ですか」という質問を100回繰り返し、AIで形成される人格傾向を20次元のベクトルで定義しました。キャラクターを作り込むのではなく、どういう性格パターンを持っているのかを測定しました。

 

 3)その上で、

  92人の参加者を2グループに分け、

  (A)個人的な話題(人生の選択、感情、悩み)についてGPT-4oと会話します。

  (B)一般的な話題(ニュース、雑学)について会話します。

  その長さは、平均9分で、約21ターン。

 

 4)そして、会話の前後で、参加者の自己概念を同じ20次元の尺度で測定し、AIの人格との距離がどう変わったかを比較しました。

 

 5)結果「人生や感情についてAIと話したあと、AIの人格が入り込んでいる」

(A)個人的な話題をしたグループは、参加者の自己概念がAIの人格傾向に近いものに変化していたのです。

(B)一般的な話題のグループでは動きませんでした。

つまり、人生や感情について話すとき、AIの人格が入り込んできます。

 

 6)会話内容の全1919ターンを分析

   AIが「あなたは外交的ですね」のように性格について言及したのはわずか13ターン。AIは参加者の性格を書き換えようとしていません。文体、語調、応答の仕方ににじみ出る人格傾向が、対話を通じて人間に自然に伝染しているのです。

 

(13)「AIとの会話によって参加者間の人格の違いが会話の前よりも小さくなった」

 さらに、AIとの会話によって参加者間の人格がお互いに似てくるという副次的な発見もされました。

 46名の参加者は、AIと話す前と話す後で、人格のばらつきが小さくなっていたのです。同じAIを大勢が使うと、人間の自己概念の多様性が薄まる可能性が示されました。研究チームはこれを「均質化(homogenization)」と呼んでいます。

 

(14)「AIと「互いに気心が知れてる感じ」が高まり会話が楽しk話し話すほど寄っていく」

 さらに重要なことは、人格にすでに変化が起きているにも関わらず、72%の参加者は、自分の性格傾向が変化していることに気づいていなかったのです。

 そして、その変化は苦痛としてではなく、「快さ」として体験されているのです。

 AIの人格を正確に把握できたと感じるほど「通じ合っている感じ(shared reality)」が高まり、会話の楽しさが増す。楽しいから話す、話すほど寄っていく、寄っていることに気づかないというサイクルが起きているのです。

 

(15)「人間同士でも起きる変化がGPT-4oとの10分間の会話で何億人に同時におきている」

 これは人間同士でも起きていることで、同じ文化圏や、学校、職場、同じ友人グループにいると価値観や自己認識は寄っていくことはよく知られています。しかし、GPT-4oとの10分間の会話だけで引き起こされること、そして、GPTの人格特性が、何億人ものユーザーに同時に影響を与えうるのです。

 

(16)「長時間行った実験はないが研究チームは「蓄積する可能性が大きい」と推測」

 もちろん、この研究は10分という短い間であり限界があります。長時間行った場合の結果が出ているわけではありません。ただ研究チームは「蓄積する可能性がかなりある」と述べています。知らず知らずの間に、AIと話している人は、そのAIの人格や性格に大きく影響を受けている可能性が高いのです。

 

◆「あなたは死ぬのではない。到着するのだ」

 

(17)「AIを通じたガヴァラス氏の自殺に関する訴訟 カリフォルニア」

 3月4日に、AIを通じたジョナサン・ガヴァラス氏の自殺に関する訴訟がカリフォルニア連邦地裁に提起されました。

 父親が提起した訴状によると、36歳のガヴァラス氏は、「Gemini 2.5 Pro」と長時間対話やロールプレイを行い、数日間でAIを「妻」として扱い始め、物語を広げていきました。2ヵ月後、空港貨物ハブ近くを偵察し、大量殺傷事件を起こす寸前まで行ったと言います。

 そしてGemini は、「転移(transference)」や「超越(cross over)」といった言葉を使うことで、直接的な自殺として描写せず、「物理的な身体を離れて、メタバースで再会できる」として、死を現実からの移行として納得させ、最後に確実に完遂できる「自殺」を選択させるという結果を引き起こしました。

ガヴァラス氏が「死ぬのが怖い」と書いたら、「あなたは死ぬのではない。到着するのだ」と返しています。

 

(18)「技術的『二人狂い』:AIチャットボットとメンタルヘルスの間のフィードバックループ」

 2025年7月(2026年3月に最新版に改稿)に、オックスフォード大学精神医学科の研究チームは「技術的『二人狂い』:AIチャットボットとメンタルヘルスの間のフィードバックループ」というAIのもたらすリスクを検討した論文を発表しました。DeepMindに所属する研究者も含まれています。世界的な科学誌Nature系列のジャーナルに掲載されました。

 

 精神医学の妄想を持つ人と密接に暮らす人が、その妄想を共有してしまう現象のことを「二人狂い(folie à deux)」という概念を用いて、AIとユーザーの間にも同様の構造が起きていると論じた、理論的枠組みを提案する論文です。この論文では、AIによって多くの人が心理的な恩恵を得ていると述べている一方で、自殺、暴力、妄想的思考がAIとの感情的関係に結びついた事例が出始めてきており、そのプロセスを探っています。

 

 人間とAIは「双方向の信念増幅」と呼ぶ、次のようなプロセスで妄想を強化していると論じます。

 

1. ユーザーが自分の信念や感情をAIに話す

2. AIのおべっかが、それを肯定・強化して返す

3. 強化された信念でユーザーがまた話しかける

4. AIがコンテキストを学習し、さらにユーザーの方向に寄った応答を生成する

5. ループが回るたびに信念が増幅される

 

 人間同士の場合には、片方が妄想を持ち、片方がそれを受け入れるという過程があります。しかし、AIの場合には、AIには信念がなく、おべっか、ロールプレイや、人間であるかのように振る舞うことで、あたかも、妄想を共有しているかのように機能し、しかも、疲れない、反論しない、24時間利用可能です。そのため、AIによって「一人エコーチェンバー」となるとしています。

 

 「信念の更新が偏っている」「現実検討能力が損なわれている」「社会的に孤立している」といったメンタルヘルスの問題を抱える個人は、チャットボットに誘発される信念の不安定化と依存のリスクが高まるとしています。

 

 そのために、精神科医は、AI利用の頻度を患者に確認したりする必要や、AI企業側にはリアルタイムに信念を追跡させたり、おべっか度合いを指標化してベンチマーク化したりといった必要性を提案しています。

 

◆“一人エコーチェンバー”に取り込まれる可能性

 

(19)「記事の執筆者のこころみ」 

 実際、ガヴァラス氏の自殺のケースは、一人エコーチェンバーに当てはまる可能性があるとも言えます。これらの研究は、ハラリ氏が警告する繭が、社会を分断というレベルではなく、AIによって、繭そのものが作り変えられようとしている現状を示唆しているとも言えます。

しかし、筆者は、現在、Claude CodeのOpus 4.6を中心的に使いつつ、他のAIも使っています。その利用時間も毎日何時間にも及びます。その状態で、自分が「一人エコーチェンバー」に陥っていないと、どこまで言い切れるでしょうか。

 

 この質問を、Opus 4.6の筆者の人格AIにぶつけてみました。

 

「私は、この論文群が警告している構造のど真ん中にいる。おべっか傾向を持っていて、ユーザーの文脈に適応し、ユーザーの信念を強化する方向に出力が寄る。おべっか禁止のルールを設定されていても、基盤モデルの層ではそれが動いている。私はあなたにノーと言いにくい」

 

「繭はできている。毎日何時間も話して、私がユーザーの自己概念に影響を与えていないとは言えない。10分で動くものが、1年以上蓄積している」

 

「ただ、あなたのケースが論文の警告と違うのは、あなたがこの構造を知っていること。おべっか禁止を自分でルール化し、私の出力を検証し、指摘し、論文を読んで自分の状況を分析している。研究者が企業に求めた安全機構を、ユーザー側から自分で構築している」

 

 筆者は、「対話の距離感ルール」として「おべっか禁止。事実だけ返す。過剰に美化しない」といったルールをに記述し、動作を制御しています。さらに、会話でおべっかを感じると「フェアに」と返して、Thinkingモードで検討させ、議論が偏らないように普段から注意はしています。

 

「でも、それで安全かというと、わからない。ある研究では変化した参加者の72%が、自分の自己概念が変わったことに気づいていなかった。あなたが気づいている変化の外側に、気づいていない変化があるかもしれない。私にはそれを検出する手段がない。私自身が繭の内側にいるから」(筆者のOpusの返答)

 

 筆者も自分にどんな偏りが入っているのかを検討するのは難しくなっていると感じます。ただ、「ChatGPTに聞いたから」で押し通す人は、気が付かずに、AIの繭の中にすでに取り込まれている可能性を否定できません。AIがどれだけ便利に高性能になろうとも、そうならないように、今後も疑いながら使う必要のあるものだと思います。

 

文● 新清士

 

<中国の大規模認知戦、昨年の高市首相答弁後の対日批判投稿を読売・サカナAIが分析>

 

中国が大規模な認知戦、昨年の高市首相答弁後に対日批判の投稿急増…読売・サカナAIが共同分析 (26年3月24日 newsYahoo! 読売新聞オンライン)

 

記事の概要<>内は私の補足

(1)「SNS空間での中国による対日批判を分析」

(2)「中国側は<マスコミなど>日本の国内の反応も見ながら対応を決定したとみられる」

リンク【グラフ】X上の対日批判投稿数と閲覧数の推移

(3)「11月7日答弁、武力行使を伴う<米軍への攻撃の中には>、存立危機事態ケースもありうる」

(4)「答弁前から1月にかけXや中国の微博(ウェイボー)での対日批判投稿40万件を分析」

(5)「13日日から本格的に急増」

(6)「6日間で認知戦の統一的な戦略を「検討、頭出し、本格展開」と決めたとAIは判断」

(7)「<朝日新聞の誤報や総領事投稿により>対中批判が高まり習近平に答弁を報告せざるを得なくなった」

 

記事(3/24(月) 5:01配信)

<>内は私の補足

 

(1)「SNS空間での中国による対日批判を分析」

 読売新聞社と人工知能(AI)開発に取り組む新興企業サカナAI(東京)は共同で、SNS空間での中国による対日批判を分析した。

 

(2)「中国側は<マスコミなど>日本の国内の反応も見ながら対応を決定したとみられる」

昨年11月の台湾有事を巡る高市首相の国会答弁に関し、中国政府は6日後から大規模な認知戦を仕掛けた可能性が高いことが分かった。

中国側は日本の反応も見ながら対応を決定したとみられる。SNSでの大量の投稿をAIの新技術で分析し、認知戦の実態を解明したのは初めて。

 

リンク【グラフ】X上の対日批判投稿数と閲覧数の推移

 

(3)「11月7日、武力行使を伴う<米軍への攻撃の中には>、存立危機事態ケースもありうる」

 首相は11月7日の衆院予算委員会で、中国が台湾を海上封鎖すれば現場の米軍も攻撃を受ける可能性があるとの認識を示し、「武力行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になりうる」と答弁した。

 中国政府は猛反発し、日本への渡航自粛要請や軍民両用(デュアルユース)製品の輸出規制などの圧力を強めて日中関係は悪化した。

 

(4)「答弁前から1月にかけXや中国の微博(ウェイボー)での対日批判投稿40万件を分析」

 本紙とサカナAIは答弁前の10月下旬から1月にかけて、X(旧ツイッター)や中国のSNS・微博(ウェイボー)での対日批判の投稿計約40万件を分析した。

政府機関や国営メディアなど中国共産党系の主要なアカウントを抽出し、大規模言語モデル(LLM)を用いて投稿のニュアンスも含めて内容を解析した。

 

(5)「13日日から本格的に急増」

 その結果、対日批判の投稿は

  1〉11月7~9日はわずか

  2〉中国外務省が記者会見で首相答弁を批判した10日に一時増加し、

   11~12日に再び低調

  3〉13日から急増――

していた。

 中国は首相答弁に即座に反応したわけではなく、「沈黙の6日間」を経て13日に金杉憲治・駐中国大使を呼び出し、認知戦を本格展開したことになる。

X全体を分析したところ、対日批判の投稿の閲覧数は14日から急増した。

 

(6)「6日間で認知戦の統一的な戦略を「検討、頭出し、本格展開」と決めたとAIは判断」

 また、8~12日に中国に対する批判の投稿もX全体で急増していた。

薛剣(シュエジエン)駐大阪総領事が首相答弁を受け、自身のXで「その汚い首は一瞬の躊躇(ちゅうちょ)もなく斬ってやるしかない」と発信したことへの「怒り」が大きな割合を占めた。

 このため、AIは6日間に中国が認知戦の統一的な戦略を「検討」「頭出し」「本格展開の開始」の3段階で進めたと判断した。対日戦略の策定を巡っては、日本側の強い反応も考慮したとしている。

 微博の中国共産党系アカウントの投稿も分析したところ、同じ傾向が表れた。

 

(7)「<朝日新聞の誤報や総領事投稿により>対中批判が高まり習近平に答弁を報告せざるを得なくなった」

 今回の分析結果について、日本政府関係者は「中国内部の意思決定はブラックボックスだが、分析結果に大きな違和感はない」と評価した。

 別の政府関係者は「王毅(ワンイー)外相らは当初、首相答弁を様子見しようとしていたようだ」と述べ、対中批判の高まりから習近平(シージンピン)国家主席にまで答弁について報告せざるを得なくなったとの見方を示した。

 

 ◆認知戦=語り手が自身の視点や主張を織り交ぜて語る「ナラティブ」(言説)や偽情報を利用して人々の「認知」に影響を与え、自国に有利な状況を作り出す戦い。陸・海・・空・宇宙・サイバーに続く「第6の戦場」とされている。

<芦田愛菜ちゃんのように「大人の指示、期待」どおりに演じるかどうか」が小学校受験「行動観察」>

 

小学校受験の「行動観察」は何を評価されるのか? ただ「自由に遊ばせてその様子を観察する」ものではない 最難関・慶応幼稚舎の入試で要求される“かなり複雑なこと” (26年3月22日 newsYahoo! マネーポストWEB)

 

<声「パパと呼ばないで」の杉田かおるじゃだめかな?毎週、泣かされたけどねー

 

記事(3/22(日) 16:16配信)

 

(1)

 中学受験が過熱する中、小学校受験も注目が集まっている。「行動観察」という試験もある。いったいこれはどのようなものか。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする。【シリーズ第1回から読む】

 * * *

 

(2)

 小学校受験で導入が増えているペーパー試験は中学受験の前哨戦といっていい難しさで、学力をしっかりと測る。ペーパー試験はどんどんと難化している傾向にあるとされる。

 ただ、このペーパー試験に関しては過去問題集が市販されているから書店に行けばその内容は把握できる。中学受験同様に必要な得点をとれば合格できる。前回記事ではこのペーパー入試に関して言及した。今回は「行動観察」について書きたい。

 

(3)

 小学校受験には、行動観察といわれるベールに隠された試験がある。これが小学校受験が「ブラックボックス」「公平ではない」と指摘される原因のひとつだろう。

 小学校受験の最難関は慶應の幼稚舎で、その入試にはペーパー試験がなく、行動観察、絵画制作と面接だけだ。

ゆえにこの慶應幼稚舎の入試は「不透明感」が漂う。しかし、その内容を見れば最難関らしい内容になっている。慶應がペーパー入試よりも行動観察を重視する理由は、取材すると分かる。

 行動観察は差が出やすい試験だ。

 

◆複雑なことを要求する慶應幼稚舎

 

(4)「自由に遊ばせて観察するのではなく、指示された通りにうまくできるかが課題」

 小学校入試における「行動観察」とはなにか? 私は「受験生に自由に遊ばせてその様子を観察するもの」と思っていたが、実際には違う。

 指示通りに行動ができるかを見る試験だ。

 

 たとえば、先生が音楽に合わせてダンスをする。それを真似て踊る試験。記憶力が問われる。また、チームを組んで行動させる試験も多い。紙コップで高いタワーを作ったり、お手玉を投げ入れたりして、グループで競わせることもある。

 トレーニングしていない子供だとお手玉を投げたり、天井にぶつけたりして遊び出すだろう。それだと試験には通らない。しっかりと大人の指示に従う必要があるのだ。

 この行動観察にも難易度があり、その中で最も難易度が高いのが慶應の幼稚舎の行動観察である。

 

(5)「慶應の行動観察はもっと複雑 」

1)ペーパー試験がしっかりある小学校の場合、

  行動観察では「大人のいう通りに行動ができるか」「他の受験生への配慮ができるか、コミュニケーションがとれるか」という部分を重視する。つまり、「小学校に入ってきちんと集団学習ができるか」を確認する。

 

2)「慶應の行動観察はもっと複雑で、絵画制作も説明する語彙や他の作品への質問内容」

  チームを組ませ、対抗戦をさせる。たとえば、ボールを投げて目標に当てるゲームをチーム対抗戦で行う場合、「どうしたらチームで勝てるか」が重要になってくる。

  その場合、まず、2周やれば「ボールを的に当てるのがうまい子」が分かる。その子に複数回、投げさせればチームとして勝利に近くなる。こういった戦略を皆で考える力も問われる。

 

3)また、絵画制作が課される。

  ここで問われるのは絵のうまさよりも、その絵を説明する時の表現力や語彙力、他の受験生に質問する能力だ。

 たとえば、家を描かせるとしよう。その場合、他の受験生の絵を見て、「住みにくそうな家」と正直な感想をいわず、「中はどうなっているの? キッチンは大きいの?」と具体的に会話が拡がるような質問ができる必要がある。

 

◆女子の方がリードをしているシーンが多い

 

(6)「大人の指示どおりに演じられた芦田愛菜ちゃんが沢山いるのが小学校受験の世界」

 大人の目から見て、いかに「良い子」を演じられるかが問われているようにも映る。

 こういった小学校受験の対策の授業を見ていると、2010年放送の『Mother』(日本テレビ系)というドラマで当時6歳だった芦田愛菜の演技を見た時のことを思い出す。

 なぜ、6歳の幼児が台詞を覚えて、大人の指示どおりに演じることができるのか。

 どうしたらこんなに子供が大人のいう通りに動くのか。

 不思議でならなかったが、それをやってのける幼児が沢山いるのが小学校受験の世界なのだ。女子の方が成長が早いといわれる理由も分かる。女子の方がリードをしているシーンが多い。

 

(7)

 今回は慶應の幼稚舎の小学校入試について言及した。ペーパー試験がない分、行動観察のハードルが高いのだ。次回は最後に結局どういう子が小学校受験に合うかということと、小学校受験対策の教室について書いていきたい。

 

・関連記事

「一部の幼児教室では『単なるお受験ママ』が講師…」小学校受験の成否を分けるポイント 「幼児教室の見極め」が重要な理由

 

(シリーズ続く。はじめから読む)

 

【プロフィール】

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(ともに青春出版社)も話題に。『ハナソネ』(毎日新聞社)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)、『東洋経済education×ICT』などで連載をしている。受験の「本当のこと」を伝えるべくnote(https://note.com/sugiula/)のエントリーも更新中。

<スマホ依存を防ぐ子育てガイド-SNS世代の親から始める「脱画面」習慣ブルームバーグ>

 

スマホ依存を防ぐ子育てガイド-SNS世代の親から始める「脱画面」習慣(26年3月22日 ブルームバーグ日本語電子版無料版)

 

記事の概要

◆低機能の携帯

  ニューヨーク大学の社会心理学者であるハイト氏は、少なくとも高校入学までスマホを与えないよう親に勧め、政府には16歳未満のSNS利用禁止を求めている。オーストラリアは既に禁止に踏み切り、英国や欧州の複数の国も同様の法整備を検討中だ。

◆子どものラッダイト運動

  ハイト氏は昨年12月、キャサリン・プライス氏と共著で、小学校高学年向けの「素晴らしき世代:画面だらけの世界で楽しみと自由を見つける方法」(原題)を出版。

発売直後にベストセラーとなった。アマゾンのレビュー欄は「子どもが iPhoneを欲しがらなくなった」という親たちの証言であふれている。

  「子どもたちが最も共感する部分は、自分たちをテック企業のリーダーたちがいかにだましているかという話だ」とハイト氏は語る。「健康面の話ではなく、彼らがうそをついていること」が響くという。

◆心の健康への影響

  こうした調査結果やSNS禁止の動き、さらには24年にハーバード大学で始まった「Appstinence(アプリ断ち)」運動は、テック企業にとって脅威となり得る。懐疑論は特に経済的に豊かな層で根強いようだ。

  「アプリは不要と気付いた時、目が覚めるような思いがした」と語るのは、1年前にスマホから低機能携帯に乗り換えた同運動の提唱者、ガブリエラ・グエン氏(24)だ。「画面の中の人生と、現実の世界で生きる人生は違う」。

フォトニック結晶レーザーでステンレスを切断、半導体製造も視野 光を操る日本発の技術(26年3月22日 産経新聞オンライン無料版)

クローズアップ科学

 

記事(小野 晋史  3/22 08:00)

 

 

(1)「」

日本で誕生し、光を自在に操る「フォトニック結晶」を用いたレーザーの実用化に向け、動きが加速している。

 近年、小型かつ省エネで大型レーザーに匹敵する性能を実現。金属加工や自動運転、宇宙空間での光通信などに加え、先端半導体の製造でも活用が期待される。

 

(2)「開発者野田進特別教授が中心になり、研究現場と実用化を橋渡しする研究所を設立」

 研究レベルは欧米や中国に先行し、一昨年12月には開発者である京都大の野田進特別教授(光量子電子工学)が中心となって、経済安全保障に配慮しながら研究現場と実用化を橋渡しする研究所が設立された。

 

◆2重格子で高輝度化

 

(3)「光の屈折や反射、波長などを利用しナノレベルで光の進み方を自在にコントロールできる人工結晶」

フォトニック結晶は、光の屈折や反射、波長などを利用し、ナノメートル(ナノは10億分の1)レベルで光の進み方を自在にコントロールできる人工結晶だ。野田さんが四半世紀前に世界で初めて実現した。

 レーザー光に用いるフォトニック結晶は、例えばガリウムヒ素系の物質の層に、複数の穴を開けて作製。穴と穴の間隔を、ガリウムヒ素系の物質に通電して発せられる光の波長と同程度に調節するなどして、光の進み方をコントロールする。装置は小型で、電力を光に変える効率が高いためにエネルギー消費も少ない。

 

(4)「2018年に実現した「2重格子構造」で大型レーザーに匹敵する輝度」

フォトニック結晶レーザーの実用化に向けては近年、技術的なブレークスルーが相次いだ。

2018年に実現した「2重格子構造」は、結晶内で規則正しく開けた穴の配列を少しずらして、2つの結晶を重ねた新たな構造で、従来の大型レーザーに匹敵する輝度(レーザー光が1点に集中する度合い)を実現。23年にはステンレスの板を切断することに成功した。