尊厳
脳梗塞。右半身麻痺。
これだけの情報しかなくても、介護に携わっている人なら、右半身の麻痺を考慮した介護を行うことができると思います。
認知症。
直近の記憶を維持できない人もいれば、自分の置かれている状況を理解できない人もいます。日時を把握できない人もいますよね。
さらに徘徊、暴言、不潔行為、作話などいろいろとあります。
認知症についてちゃんと理解している人も多いと思うのですが、「あの人は認知症だから」ですましてしまう介護職が多いのです。
認知症というフィルターをかけないでください。
わたしは生きています。
介護支援専門員の皆さん、認知症というだけで画一的な支援計画を作成するのではなく、認知機能の低下により日常生活で困っていることを正確にアセスメントしてください。
現場でケアにあたる介護職員の皆さん。認知症と診断されても、人格があり人としての尊厳があります。人として寄り添ってください。
家族からのお願いです。
母のこと
両親は酒呑みです。
母親はアルコール依存からウェルニッケ脳症になりました。
おかげで認知機能が低下し、介護が必要な状態です。
母の介護は父親がやっています。ガンバってくれています。
父ももともと酒呑みなのですが、母の介護をするようになって酒の量がさらに増えたそうです。
ストレスですかね。
医者には休肝日を週2日作るように言われています。
酒を抜いた日は眠れないから眠剤をボリボリかじっています。
こんな両親の子どもですから当然、僕も酒は嗜みます。
昨年の夏、父から電話がかかってきました。
「おかんが動かん」
「機械やないんやから動かんって何なん?」
「昨日ぐらいからボーっと座ったままで何もせん」
「ようわからんけど病院行ったん?」
「行ってへん」
「はよ連れて行かんかい」
母の病院受診の日に仕事を休み、朝6時に起きて実家まで車をかっ飛ばす
11時ごろに実家に到着。
恐る恐る母を見る。
表情はまったく失われ、眼球は宙を泳いでいる。手足も細くなりげっそりしている。
小柄な母がさらにちっちゃくなっていた。
短期記憶がガッポリ抜け落ち、自分の足で立つことができない姿を見て正直ビックリしました。
数か月前に実家に帰ってきたときとはまるで別人のようでした。
神経内科でCTやらMRIやらいっぱい検査をした結果、「ウェルニッケ脳症」と言われました。
「先生、ウェルニッケ脳症ってなんですか?治りますか?」
「ググってください。wikiにも載ってますよ。自分で調べる癖をつけてください」
医者とそんなやり取りがあるわけもなく、父とポカーンとしながら実家に戻りました。
あれから1年以上が経ち、母の状態もだいぶ落ち着いています。
支えがあれば自分で立てるようにまで回復し、家具などを伝いながら歩くことができるようになりました。
しかし、短期記憶は気持ちがいいぐらいに抜け落ちたままです。
ある晴天の午前中、物干し竿に洗濯ものが干されていないことに気付いた母は、
母「ええ天気やから洗濯物を早く干さな」
父「今日は洗濯してへん」
母「そうなん?こんなええ天気やのに洗濯してへんの?おかしいなあ」
5分後、
母「ええ天気やから洗濯物を早く干さな」
父「以下略・・・」
そのまた5分後、
母「以下略・・・」
自分の親のことだから言えますが、正直、笑えます。
後日、父に聞いたところ、母の状態の変化はけっこう前からあったそうです。
自分で病気の原因を作った母。
変化を気付かず放置した父。
めったに実家に行かず、何も知らなかった姉と僕。
まあ、自業自得ですね。
