夢のような旅だった

 

で はじまる

「旅の終わり」青木清

 

今が今しかなく

過去はあるが すべて自分の記憶でしかない

 

文字に写真に 今を閉じ込めようとするが

すべてを網羅するものでもない

そしてすべてを知る必要もない

 

金魚鉢のなかの金魚が吐き出した水疱が

世界の始まりで

水面ではじけた時が 世界の終わりだ

時の長さは相対的なものだ

 

私は旅をしている

それは

夢のような旅だ

 

 

 

3月には旅に出る

それがよかろう

 

たとえそれが二度目の出会いでも

3月には旅をする

二人でそう決めた

 

ガタンゴトンと汽車にゆられて

西へと行こう

目が覚めれば古き町だ

 

この旅はいつまでも続くと信じてた

あの頃は

 

春の旅は

チクリと痛い

 

 

 

早春賦 Early  Spring  Poem

 

左手の人差し指の腹側第一関節近くにささっていたトゲを

とげぬきでぬいた

一週間ほったらかしにしてしぜんに抜けるのをまったが

気になって  チクチクと

抜いた

 

 

金子ゆかり 「再開」

シャンソンなんて聞かない聞かない

でも

気になった一曲

この一曲聞きたいがために レコードを買った

 

長く生きていれば 出会いもあるし 別れも ある

 

記憶は篩にかけられ 多くのものは忘れていく

残る記憶がそれぞれ違う

同じ家に何年も暮らしていても それぞれの残る記憶は違う

 

分かり合えないと思えば 口にはださないことだ

起こってしまったことは とりかえしがつかない

 

だけど

この世でおこったことは この世でけりがつく

とも 思っている

 

救われたいのだ なあ

 

ささっているトゲは できるだけ

痛くない方法で 早くぬいたほうがよろしかろう