無断リンクとは、Webサイトの作者や管理者に断りなくリンクを張ること。法的には何の問題も無いが、マナー違反であると考える人と倫理的にも何の問題も無いと考える人に分かれており、しばしばトラブルの原因となっている。
インターネットが普及し始めた当初は、ネットに情報を掲載することは世界に向かってその情報を公開すること、というコンセンサスがあったため、どこからでもWebサイトがリンクされる可能性があるという前提でサイト運営が行なわれていたが、ネットが広く普及し、Webサイトを仲間内だけの交流に使うなど利用方法が多様化した結果、知らない人からいきなりリンクされ、知らない人が突然サイトを訪れることに戸惑いを感じる人が増えた。
また、プライベートな内容や偏った考えを表明したページを公開した結果、人の集まる掲示板や人気のサイトなどからリンクされ、多くの人にサイトが「晒され」てしまい、作者に非難が殺到したり興味本位の野次馬に「観賞」されてしまうといった騒動がしばしば起きるようになった。こうした経緯を経て、若年層の個人サイトオーナーなどを中心に「リンクはリンク先に許可を得てから行なうべき」という規範が確立し、古参のユーザ層との間で軋轢を生んでいる。
そもそもWWWはリンクによって効率的に情報を共有するために開発されたものであり、パスワード認証などで外部からの参照に制限を加えるといった技術的手段も存在する。そうした手段を何ら講じずにインターネットを通じて世界中からアクセスできる状態で公開しておきながら、リンクしてほしくないという要求は本来の趣旨から考えれば「わがまま」であると言える。リンク自体はリンク先サイト作者の著作権を始めとする法的権利を何ら侵害しておらず、リンク全般についてリンクされる側に決定権があるという言説は説得力があるとは言えない。
ただし、情報提供元を誤って認識させるようなリンクや、フレームなどを使ってサイトの一部として取り込んでしまうようなリンクは断りなく行なうべきではない。また、ニュース記事などへ直接リンクする「ディープリンク」については、大量に行なうと実質的にリンク先のニュースサイトのトップページのコピーを公開しているのと変わらないため、そのようなリンク方法が許されるかどうかはサイトオーナーの判断の分かれるところであり、事前に許可を求める必要がある。