Sleipnirとは、国産の上級者向けタブブラウザの一つ。フェンリル株式会社(Fenrir&Co.)が開発・配布しているフリーソフトウェアで、誰でも無償で入手・使用することができる。
SleipnirはWebブラウザの中でも、Webページをタブに収めて一つのウィンドウの中に多重化して表示するタイプの「タブブラウザ」の一種である。SleipnirはWebページの描画エンジン自体は自前では持たず、Microsoft社のInternet Explorerのエンジンと、MozillaプロジェクトのFirefoxのエンジン(Gecko)のうち好きな方を切り替えて利用できる。
Sleipnirはタブによるコンパクトで操作性の高い表示機能に加え、マウスジェスチャーやキーボードショートカットなど操作のカスタマイズに柔軟に対応、ブックマークレットやRSSリーダー機能にもすばやく対応し、早くから日本のインターネット上級者の幅広い支持を獲得した。プラグインによる機能拡張やスキンによる外観変更の仕様が公開されており、同社や多くの上級ユーザが独自の拡張を公開、ユーザコミュニティによるボランティア的な機能強化が盛り上がっている。
もともと公開されていたバージョン(1.x系列)は柏木泰幸氏個人が開発・公開していたが、2004年11月に同氏が開発に使っていたパソコンがバックアップ機ごと盗難されるという事件が発生、開発はいったんストップした。同氏は翌年5月にフェンリル社を設立、スクラッチから後継バージョン(実際にはまったく新しいソフトウェア)の開発を始め、2005年10月に新生Sleipnir 2.00が発表された。現在公開されているバージョンはこのソフトウェアの後継にあたる2.x系列のSleipnirである。
近年では、Sleipnirをよりシンプルにして初心者でも手軽に使えるようにしたタブブラウザ「Grani」が発表され、好評を博している。