先月、パソコンで地デジを見ようと、
IODATAのGV-MC7/VZという製品を買ったのだが、
これから、Windows 8発売にあたり、非対応な事が公式に発表された。
http://www.iodata.jp/product/av/tidegi/gv-mc7vz/
原因はWindows エンジニアチームが公式ブログで、
Windows 8にWindows Media Centerを標準搭載しない事を発表した事にある。
http://blogs.msdn.com/b/b8_ja/archive/2012/05/09/windows-8-windows-media-center.aspx
特に有名メーカー製パソコン内臓の地デジチューナーの多くは、
Media Center依存だから、Windows 8 で見れなくなる可能性が高いだろう。
殆どの場合、Windows 8になっても、チューナー自体は認識されるだろうし、
Media Centerは別個に購入という形になるが、一応動作させることは可能だろう。
そもそも、最近のWindowsはバージョンアップするたびに利便性が失われている。
Windows XPには、Outlook Expressというメールソフトが標準搭載されていたが、
Windows Vistaには、Outlook Expressが搭載されていないどころか、入れる事すらできない。
企業でOutlook Expressを使っていた人は、最新のOSを入れた時に困った事だろう。
今のWindowsにはメールソフトすら入っていない。
何故、入れないかというと、欧州連合競争法(EUにおける独占禁止法)の関係がある。
欧州委員会では、Windows Media Playerが標準搭載されている事により、
競合他社製品が売れなくなるという理由で、WMPの排除したWindowsの販売を命じるという決定を下している。
インターネットエクスプローラーにおいてもそうだ。
2007年12月には、ノルウェーのOpera Softwareが欧州委員会に苦情を申し立てている。
理由は、IEがオープンなWeb標準を満たしていない、というのと、
Windowsとの抱き合わせ商法によって、独占的立場を不正利用し、シェアを獲得しているという理由だ。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/14/news018.html
Windows Vista以降は全て独自で入手してこなければならない。
Microsoftは「Windows Live! メール」というメールソフトも無料で提供しているし、
「Microsoft Security Essentials」というセキュリティソフトも無料で提供している。
それらのソフトウェアの性能が良いか悪いかは別として、
消費者はいちいちダウンロードしなければならない。
その根本原因は、欧州委員会の欧州連合競争法の問題だ。
ソフトウェアベンダーは自社の製品を売り込みたいし、
Windowsをベースとした何らかを設計しているエンジニアは複数のソフトウェアにサポートを迫られる。
しかし、実際はサポートできているだろうか。例えばWebブラウザを見てみよう。
Internet Explorerは評判が悪い。個人的には何が悪いのかわからない。
個人的にはInternet Explorerが最も使いやすい。
Operaの言うようにWeb標準を満たしていないという理由で、
Webデザイナーからはサポートが面倒という事もあり不評かも知れないが、
IE10からは、HTML5も、ECMAScriptにもきちんと対応している。
問題は古いバージョンだ。
企業においては、いまだにWindows 2000やWindows XPを使っている。
これらにはIE6以前のブラウザが搭載されている。
だから、それらをサポートしなければならないという問題があるのだ。
でも、もしこれが万が一、IE以外のブラウザだったらどうだろう。
以前、人気であったFirefoxを例にとろう。
Firefoxには当時IEにはなかったアドオン機能が搭載されている。
その中でも最も人気なのがセキュリティのために導入されるNo Scriptだ。
Java Script等を完全に無効化するものだ。多くのユーザーが導入していた。
Firefoxがアップデートされた際、最新版ではNo Scriptに非対応で、
そういったユーザが古いバージョンのFirefoxブラウザを使い続けるという事もおきた。
セキュリティ目的でNo Scriptが使われるが、
Webサイトの開発者からすれば、Java Scriptが使えなくなるという弊害も起きる。
さらに、そのために古いブラウザが使われていれば、それもサポートしなければならない。
それならば、IEのセキュリティ機能を使われたほうがよっぽど楽なんじゃないか。
実際、インターネットエクスプローラーと複数のブラウザで動作確認はするだろうが、
Windows 2000において、Windows XPにおいて、XP SP1において、XP SP2において、
Vistaにおいて、Vista SP1において、Vista SP2において、Vista SP3において、
Internet Explorerの各バージョン、Firefoxの各バージョン、
その他のブラウザの各バージョンの検証までなされないと思う。
万が一するとしても、互換モードで行うだろうから、実際の動作はわからない。
せいぜい、MicrosoftがサポートしているOSと、各ブラウザの最新版までだろう。
でも現実は必ずしも、ブラウザの最新版を導入しているかわからないし、
特殊なアドオンによって動作しないというユーザも現れるだろう。
だから、Webアプリケーション開発者においては、特定の環境で動作させることに集中していい。
その上で、標準搭載されており、シェアが一定であるというのは、恵まれている。
逆にユーザの選択肢が増えれば、不便になる場合も、経済的に損する場合もある。
Webデザイナーにおいては、各ブラウザのサポート業務に負われるかも知れないが、
せいぜい、サポート内のWindowsに標準搭載されているIEと
最新版のFirefox、最新版のChrome、最新版のOpera、
最新版のSafari程度までチェックすればいい。逆に言えば、そこまでしかしない。
古いOSにおいて、古いFirefoxでの動作確認なんてしないだろう。
むしろIEにおいていえば、OS毎にIEのバージョンがある程度決まっているので、
サポートの範囲はかなり限られているとも言える。
その他ブラウザの任意でインストールできる過去バージョンのサポートをするよりよっぽど楽だ。
何よりも、IEを排除しようとすれば、今あるブラウザだけでなく、
他にもシェアを獲得しようとするブラウザが出てくるだろうから、
そのサポートに負われる事になるんじゃないだろうか。
何も選択肢が少ない事は、消費者にとっても、開発者にとっても、
デザイナーにとっても、悪い事とは限らない。
サポート期限を短くするのも有効ではない。
新しい商品をどんどん売るだろう。消費者も開発者も新しいシステムを導入するコストがあがるだろう。
古いバージョンはサポート外として開発者は簡単に切り捨てられるかも知れないが、
新しいバージョンへの対応は追われ、それに伴い、Windows付属部分だけでなく、
他のブラウザへの影響もあるかも知れない。
サポート外のシステムをサポートする事で新たに利益が生まれるベンダーは得するかも知れないが、
保守・メンテナンス費用は一定だったりすると、新しいシステム開発に負われ、
デメリットだけ被る自体になりかねないのではないだろうか。
もし、それを売り込める自信があるのであれば、ガンガンやるべきだろう。
ただ、それに伴い、企業のコストが下手したら何百億単位で増加し、
結果として、消費者へ販売する際の価格転嫁になりかねない。
だから、新たに利益を生み出せる一部の企業以外が、
Windowsを否定する理由がいまいちわからない。
最も、下請けに徹底的にサポートさせるから、下請けからすればきついものがあるし、
それでストレスがたまるというのはわかるが。
もし代替的な仕組みが開発されても、余計辛くなるだけだと思う。
ただ、標準ソフトの機能が糞っていう面は、なんとかしろ。
まあ、機能が糞な理由も、独占的シェアになりかねないところにもあるのだが。
逆に言えば、WindowsユーザはMachintoshユーザに感謝しなければならないところもある。
Microsoft Windows 1強であれば、完全に独占状況になり、
他のありとあらゆるサービスが無くなりかねないのだから。
