発芽玄米の作り方はインターネット上でたくさん紹介されています。
圧力鍋で炊く vs 炊飯器で炊く
常温の水に浸す時間は?
30度〜37度の水に浸す時間は?
オーブンの発酵機能(35度)を利用して4時間半、浸水させた玄米。


12時間、24時間、36時間

4時間、6時間、8時間
様々な方法を試してみた中で、1番美味しく炊けたと思われる方法を紹介します。
発芽玄米の作り方
発芽玄米と言っても完全に発芽する前の段階(種子の中で成分が変化し人間が食べても安全な「発芽モード」の状態)にすれば良いとされています。
発芽までもっていくと、ギャバ(GABA)は増えますが、味が低下し独特の匂いもキツくなるのでオススメできません。
玄米を食べるのに最適なのは、芽が0.5mm〜1mmでた状態です。それ以上発芽すると飽和吸水状態となり異臭を放つようになります。
洗米・浸水・炊き方
1 | お米は1番最初に触れた水を最も吸水する性質があるため水が味の決め手になります。(これは白米を炊く際も同様) 1回目の洗米はぜひミネラルウオーターや浄水した水を使ってください。 水を注ぎ、くるくる回してチリやホコリを浮かせ、それを取り除きます。 それを2〜3回繰り返します。(2回目以降は水道水でもOK) |
2 | 両手で玄米をすくい上げ、手のひらで擦り合せるように揉み洗いし、水を流します。お米の表面に傷をつけると水をよく吸い、やわらかく炊き上がります。 |
3 | 清潔な大きめの容器に玄米をなるべく薄く広げ、30〜40度の湯を注ぎ入れます。 玄米を発芽させる適温はおよそ30〜37度、その状態を約4時間キープすると発芽モードになります。 ※最高温度は42度、最低温度は10度。それを過ぎると発芽できません |

浸水前と比べて表面が透き通り、先っぽが白く突起しています。
小さな突起している部分が芽になります。
4 | 浸していた水を捨て、かるく玄米を洗い、玄米一合に対して215ccの水を入れます。 |
5 | 玄米一合に対して塩ひとつまみ(三合なら3つまみ)と、昆布を1枚を入れます。塩は玄米のえぐ味を中和させるのに有効です。 |
6 | 炊飯器の白米モードで普通に炊きます。 玄米モードを使用すると、よりやわらかく炊き上がります。 |
浸水時間について
玄米の積算温度は100度が目安だそうです。
水温を30度にキープできた場合、約3.4時間で発芽する計算になります。(品種や季節によっても異なります。)
水温は気温とほぼ同じになるので、真夏であれば常温に放置し、室温が下がる秋〜冬以降はオーブンの発酵機能を利用したり、こたつの上に置くなども手段の1つです。ヨーグルティアを利用されている方もいるようです。
積算温度 水温 × 時間= およそ100度
<積算温度とは>
植物、特に農作物の生育に要する熱量を表す目安の1つ。生育日数の各日の平均気温の積算値で表します。
<浸水環境について>
20〜30度の水はセレウス菌や黄色ブドウ球菌など雑菌の繁殖が活発になる環境です。
特に夏場は容器を除菌してから発芽させるよう気をつけてください。
同様の理由から、長時間水に浸して発芽玄米をつくる方法には雑菌の問題が残ります。
発芽玄米を食べる注意点
食の恩恵を最大限に受けるためには、下記の3つが非常に大切です。
- 無農薬玄米を選ぶ
- 玄米を発芽玄米(発芽モード)にしてから炊く
- 発芽率ほぼ100%の玄米を選ぶ
玄米の糠層に含まれる農薬は、発芽玄米にしてもそのまま残ります。玄米同様、発芽玄米を食べるときも必ず無農薬玄米を選んでください!
市販されている発芽玄米について
市販されている発芽玄米は、発芽の際にカビたり腐ったりせず、管理を簡易化して商品化するため、ほとんどが水ではなく塩水につけて発酵させ販売されているそうです。
また1度発芽させた玄米が再び乾燥状態にさらされると、身を守るためにアブシジン酸を元々の水準以上に産生します。これを再び浸水してアブシジン酸を無毒化するためには、本来の玄米を発芽させる2倍以上の浸水時間が必要となるそうです。つまり市販されている発芽玄米には、普通に玄米として売られているお米の2倍以上アブシジン酸が含まれているということになります。
アブシジン酸の毒を無毒化する方法は、水に浸す以外に乾煎りする方法もあります。
その場合、200度以上の高温で焙煎する必要があるとされています。
水に浸した発芽状態にした玄米は「不活化」するだけで乾燥すると再び再活性化しますが、200度以上で焙煎された玄米は「死活化」し、再活性化することはありません。
ただし焙煎した玄米…残念ながら不味いです 

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かつて日本人は玄米を食べるとき、前日から十分に水に浸けてから炊飯していました。
人類は長い時間をかけて、無意識のうちに様々な食材を安全に調理する道を工夫してきています。
大豆をきな粉に加工する際にも焙煎工程があります。玄米を精米し白米を食すようになったのも、もしかしたらその知恵の1つだったのかもしれません。