日本で受けることができるアレルギー検査についてまとめてみました。

 

 

病院 血液検査(igE抗体検査)

アレルギーが疑われた場合、まず受けることの多いのが特異的igE抗体検査です。
特異的IigE抗体検査はアレルギー疾患の原因物質(アレルゲン)を明らかにするために使われます。
医療機関によっては卵・乳・大豆・ダニやハウスダスト・カビなど、ありがちなアレルゲンをセットにして検査項目としているところもありますが、そのセット内容は病院によって様々です。
この抗体検査ではigE抗体の有無だけではなく、0─6の数値によってアレルゲンの強さを判定しています。
各数値の目安を以下に紹介します。
 
クラス0陰性(アレルゲンではない)
クラス1擬陽性(アレルゲンの疑い、可能性がある)
クラス2〜6      陽性(数値が高いほど症状が強くなる)
 
特異的igE抗体検査ではクラス1が出た時点で、その人の血液中に対象アレルゲンのigE抗体が存在しているが、量は少ないことを意味しています。
 

クラス1~2程度の人はアレルギー症状も軽く、自分がアレルギーだとは気がついていない場合が多いそうですで。検査を受けてみて自分のアレルギーを初めて自覚する人も多く、無意識下での症状の悪化の要因になっています。

 

クラス4以上では既にアレルギー症状が自覚されていることが大部分であり、あらためてアレルゲンを確認するきっかけになります。

 

またスギ花粉でクラス2の陽性反応が出ていた人が翌年クラス3になっている場合は、アレルギー反応の悪化を意味しており、反対にクラスが減少していることは改善されていることを意味します。

 

<注意点>

igEの存在は、アレルギー反応をおこしている状態を意味しているのではなく「アレルギー反応をおこす体制が体の中でできている状態」という意味だそうです。

そのため食物の場合は数値が高くても症状が出ないことが割とあり、また逆に、明らかに症状があるのにigEが検出されないこともあるそうです。

また抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を服用している場合、使用を中止してから3日以上経ってから検査をしないと信頼性が低くなるそうです。

 

※血液検査では特異的igE抗体検査以外に、実際に血液中にアレルゲンを混入させてヒスタミンの反応を調べる「ヒスタミン遊離試験」もあります。

 

 

病院 皮膚検査

皮膚検査はアレルゲン(小麦や小麦の成分)を直接肌に付けたり、皮下に注入することで、その反応を見るという検査です。その部分の肌が腫れあがって蕁麻疹のようになったり、のどの違和感やくしゃみなどのアレルギー症状が出るかを調べます。
 
この検査は、実際にアレルゲン物質を体内に取り込むため、その場でアナフィラキシーを起こす可能性もあるので、必ず専門医の監督のもと、医療機関で受けることが大切で、その検査を行う場合は検査入院をさせる医療機関もあるほどです。

 

 

病院 皮膚を引っ掻くスクラッチテスト

特異的igE抗体検査と同じく、検査するアレルゲンを先に特定してから行います。例えば「小麦」であれば小麦のエキスを肌に塗った上で軽く皮膚を引っ掻きます。
 
そのまま15分~1時間程度放置してから、皮膚の腫れや赤みなどを調べて、反応があれば陽性と判断します。igE抗体検査よりも信頼性が高いとされています。
また反応の強さも重要であり、薄い赤みでは症状が軽く、腫れが酷い場合は重症と判断されます。中には検査によってアナフィラキシーショックを起こす危険性もあることから、予め点滴などの対策を行うこともあります。
 
 
 

病院 パッチテスト

パッチテストは即時型のアレルギー検査ではなく、症状が遅く表れる「遅延型アレルギー反応」の検査で使用されることが多い検査法です。検査は絆創膏のようなものにアレルゲンを付着させて、肌に貼り付けてその反応を調べます。
絆創膏は2日程度貼り付けることが多く、その間定期的(2日後、4日後、1週間後)に皮膚の腫れや赤みを測定することでアレルゲンを特定します。

 

 

病院 アレルゲンをあえて食べる食物経口負荷試験

「誘発テスト」「除去テスト」とも呼ばれる検査方法です。
どのくらいアレルギーに耐えられか、あえてアレルゲンを食べてその反応を見るのが「食物経口負荷試験」であり、実際のアレルギー症状を医師が確認することでアレルギー反応の強さを検査します。
 
血液検査などからアレルゲンと疑わしい食品を食事から除くことを1~2週間ほど行い、その後また1~2週間ほどかけて除去した食品を食べる負荷テストを行い、症状の経過を確認するものです。
 
長期的にかかる検査であることと、アナフィラキシーの危険性を伴うため、きちんとお医者さんの指示の元で行うことが重要な検査方法です。
 
このほかにもX線を使ったもの、抗原誘発テストなど様々な検査方法があります。
どの方法のアレルギー検査を行うかは、その症状や状況によって異なってきます。
専門の医療機関でお医者さんに相談し、どの検査を行うのかを確認してみるといいかもしれません。
 

 

病院 アレルゲンコンポーネント検査

食べ物には様々な種類のたんぱく質が含まれています。その中でも特にアレルギーの原因(アレルゲン)となりやすい特定のたんぱく質を「アレルゲンコンポーネント」と呼びます
この「アレルゲンコンポーネント」に対する特異的igE抗体の値を測定する検査を「アレルゲンコンポーネント検査」といい、最近実用化が進んでいます。
「アレルゲンコンポーネント検査」を行うことで、その食物を食べたときに症状が出るかどうかを予測しやすくなり、より正確な食物アレルギー診断の一助となると考えられています。
現在は、卵白・小麦・牛乳・ピーナッツに対するアレルゲンコンポーネント検査が保険適用されており、今後のさらなる実用化が期待されています。
 

 

 

病院 血液検査(igG抗体検査)

igG抗体検査は遅延型のアレルゲンを調べるのに有効とされています。
食物アレルギーでは摂取してからアレルギー反応が出るまでに時間がかかることも多く、その原因にigG(免疫グロブリンG)が関係していると疑われているのです。
igE抗体検査と同様に、血液中のigG抗体を調べることで、対象のアレルゲンを見つけることが可能になります。
 
「アンプロシア株式会社」が販売している「IgG96スタンダード・フード・パネル(日本)」は、igGの抗体を調べるアレルギー検査キットです。日本人が一般的に食べている96種類の食品をまとめて測定依頼でき、結果は受領後2〜3週間で郵送されるようです。
 

  

 
※2015年2月25日
米国や欧州のアレルギー学会および日本小児アレルギー学会では、食物アレルギーにおけるigG抗体の診断的有用性を公式に否定しています。
 
「igG抗体は健常な人にも存在する」「負荷試験の結果と必ずしも一致なしない」などが否定の理由として述べられています。
もともとigG抗体はその食べ物をたくさん食べることで作られる抗体であり、アレルゲンと言うよりは摂取が多い食品だと言うのです。
 
病院で行われる検査と異なり、igG抗体検査の有効性は自己判断と考えたほうが良いのかもしれません。