食物不耐症とは「非アレルギー性食物過敏症」ともいい、特定の食物を消化することが困難な病気です。
アレルギーと不耐症の違い
食物不耐症は食物アレルギーとは異なり、免役反応を誘起しません。
食物不耐症は特定の食物を分解する消化酵素が不足・欠如分していたり、添加物や食物に自然発生した化合物などの化学物質を、身体が処理できなかったりすることなどが原因になります。
食物アレルギー | 食物不耐症 |
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免役反応が原因 | 酵素不足などの消化異常が原因 |
少量でも発症 | 少量だと発症しない場合がある |
すぐに発症 | だんだん発症(数時間後〜数日後) |
死亡など生命を脅かす症状 | 生命を脅かす症状は出にくい |
食物不耐症と似た症状が出るアレルギーに「遅延型」食物アレルギーがありますが、食物不耐症は 「酵素不足、欠如など消化異常を原因」として、セリアック病やアレルギー(即時型・遅延型)とは明確に区別されます。
食物不耐症の約8割の人がigGの反応を持っているため、「遅延型」食物アレルギーに用いられるigG検査がそのまま不耐症のチェックにも使われることが多いです。しかし食物不耐症でも残りの約2割は検査結果に反応が出ないそうです。
先天性と後天性の場合がある
オランダやイギリスで行われたアンケートとその後の追加調査によると、約20%の人が何らかの食物不耐症を持っているとされています。
特に日本では、遺伝的にアルコールを分解するアルコール脱水素酵素(ADH)が弱い人が5%程度存在し、 これは他国と比較しても多くなっています。
また、全世界の75%の人々において、成人以降、 乳糖不耐症の原因であるラクターゼが減少すると言われていて、食物不耐症は生まれつき酵素が欠如している先天性の場合と、成長とともに減少していく後天性の両方があると言われています。
発症は男性より比較的女性の方が多いといういくつかの研究結果が存在します。
食物不耐症の症状
症状は多岐に渡ります。原因の分からない慢性的な疲労感も症状の1つですし、下痢も良く知られています。
他には、膨満感・胃痛・腹痛・胸焼け・吐き気・頭痛・偏頭痛・発汗・動悸・息切れ・乾燥肌・発疹などなど…
※不耐症をもった食品を摂取した場合、食後30~40分間はとても調子がよく、その後にエネルギーが極端に低い状態に陥ることが多いそうです。
中枢系 | 疲労感・頭痛・偏頭痛・発汗・動悸・呼吸困難 |
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消化器系 | 膨満感・下痢・胃痛・腹痛・胸焼け・胃けいれん・吐き気 |
全身系 | 皮膚の乾燥・発疹 |
食物不耐症の種類
硫黄にも通じますが、添加物に対する拒否反応も食物不耐性と定義されています。
食物添加物、合成着色料、保存料、乳化剤/安定剤、充填剤、香味料、人工甘味料に対する反応は、健康に大きな影響をおよぼす可能性があります。
添加物の中には、安息香酸、トラガカント、エチレンジアミン4酢酸、アスパルテームなど山のように種類があります。
日本は特に食品添加物が多い国として知られています。
こういった添加物に敏感な場合、湿疹、頭痛、呼吸困難、認識機能障害、疲労などの、免疫システムを介在しない症状が現れることがあるので注意が必要です。
乳糖 (ラクトース) |
牛乳・ヨーグルト・アイスクリーム・バター・チーズ・加工食品など ※日本人の80%以上が乳糖不耐性。痙攣性腹痛や下痢 |
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グルテン | 小麦・大麦・もち麦・押麦・ライ麦・セモリナ粉など |
卵白 | 卵の白身・練り物系の惣菜など |
クエン酸 | 野菜・果物・食品添加物 |
レクチン | 野菜・果物・豆類・ナッツ類・穀物類・キノコ類・牛乳など |
アルコール (ADH) |
酒類全般 |
カフェイン | 珈琲・紅茶・緑茶など |
カカオ | チョコレート・ココアなど |
ヒスタミン | 発酵食品・保存食・干物・ワイン・塩漬けなど |
果糖不耐症 (フルクトース) |
野菜・果物など ※ 食べ過ぎると下痢や嘔吐だけでなく死に至る場合がある |
硫黄 | 保存剤、防腐剤、漂白剤、発色剤、酸化防止剤として食品添加物に多い ※サラダバーにはこういった添加物が多く使用されている(サラダバー症候群) |