テニスプレイヤー:ジョコビッチ選手の著書【ジョコビッチの生まれ変わる食事】によって認知度の高くなったセリアック病ですが、セリアック病とは、グルテンを原因とする自己免疫疾患です。
※ジョコビッチの家族は元々はピザ屋でしたが、今はグルテンフリーのレストランを営んでいるそうです。

 

昨今まで日本人にはかなり稀な病気と言われていましたが、信州大の発表では人口の0.7%(87.5万人)に発生が見られるそうです。

最近の日本人の食生活はかなり欧米化し、特に若い世代には朝昼晩の3食をパンやパスタ・ラーメンなど小麦原料の主食で過ごしている人も多いと思います。

日本では認知度の低さから検査をする人も少ないため、日本人には稀ということになっているのかもしれません。

 
 

月見 セリアック病とは

セリアック病とはグルテンの断片が原因となる自己免疫疾患です。

セリアック病の人が小麦・ライ麦・大麦などの穀物を摂取すると、外敵の侵入を防御する役割を持つ小腸の内壁が破壊され、その結果、腹痛や下痢が起こります。

またそれが長期間続くことで小腸の栄養吸収をする大切な絨毛が萎縮し、栄養吸収障害に陥ります。体重が減り、タンパク質(アミノ酸)、脂肪酸、ビタミンB12、葉酸、D、E、K、鉄、亜鉛など様々な栄養が不足して、栄養失調にもつながります。

セリアック病の患者さんの約50%が腹痛、下痢、体重の継続的な減少という典型的な症状を示しますが、実は栄養吸収障害により、様々な病気や症状にも関連しているそうです。


※グルテンは小麦に含まれるたんぱく質ですが、その他の植物、特に穀類にはグルテン(グリアジン)に近い成分で、セリアック病の症状にも深く関わっている可能性の高いたんぱく質があります。

  • トウモロコシにはゼイン(zein)
  • ライ麦にはセカリン(Secalin)
  • 大麦にはホルデイン(Hordein)

これらのたんぱく質はセリアック病を引き起こす、またはセリアック病の症状を悪化させる可能性の高い素材であることが確認されています。


 

月見 代表的な症状例

  • 慢性の下痢
  • 腹部膨満感と痛み
  • ガス
  • 悪臭を放つ便(脂肪便)
  • 体重の急激な減少や増加
  • 顔面蒼白
  • 貧血(赤血球数の低下)
  • 骨あるいは関節の痛み
  • 骨粗鬆症
  • 筋肉の痙攣
  • 疲労感
  • てんかん症状
  • 脚部のしびれ感
  • 口腔内の痛み
  • 痛みと痒みを伴う湿疹
  • 歯の変色あるいはエナメル質の欠損
  • 無月経
  • 成長の遅れ(子どもの場合)

 

 

月見 セリアック病の原因

セリアック病は「突発性スプルー」や「グルテン過敏性腸疾患」とも呼ばれ、遺伝的な要因が大きいとされています。家族の中に1人セリアック病患者がいる場合、その他の家族や親族の10人に1人はセリアック病の可能性があります。

しかしその他にも乳幼児期の過ごし方が後天性のセリアック病の原因の1つと考えられています。具体的には、 腸が十分に発達していない生後3ヶ月以内に大麦や小麦を摂取させた場合、 セリアック病にかかる確率が5倍以上高くなり、 ロタウィルス感染やアデノウィルス感染などの感染症もセリアック病の原因の1つと考えられています。

 

 

ヒヨコ 検査方法

セリアック病は血液検査で診断が行なわれます。

例えば小麦の場合、グルテンの成分の1つでもあるグリアジンに対する抗体が血中に発見出来ます。また小麦の成分は、破壊された腸の内壁自体の成分、すなわちトランスグルタミナーゼや筋内膜などに対しても抗体を作らせます。

診断には腸の筋肉に含まれるこの2つのタンパク質に対する抗トランスグルタミナーゼ抗体と抗筋内膜抗体の検査も行なわることが多いです。

通常は腸管に生息する害のないバクテリアも、その生成物質を血液に送り込み、別種の異常な炎症や免疫反応を引き起こすので、問題が大きく広がりやすいと言われています。

 

 

ヒヨコ 治療方法

治療法は厳格なグルテンフリー生活で改善することができます。投薬治療はほぼ行われません。

1度発症すると、グルテンに対する反応が消えることはないため、グルテンフリー生活は生涯を通じて行う必要があります。

 

 

ヒヨコ セリアック病の増加

数年前までセリアック病は数千人に1人の珍しい病だと考えられていました。またセリアック病は白人に多く、有色人種(黒人や黄色人種)では少ないとされていました。
しかし、現在では患者数が増加し、以前想定されていたよりも、かなり多くのセリアック病患者が存在すると言われています。また様々な症状や病気につながっているために、診断に至っていないケースも非常に多いものと考えられています。

 

欧州では約300万人程度(アメリカの人口の約1%)がセリアック病と言われています。
特に2歳半〜15歳までの有病率は子ども1000人中・3人〜13人とされています。セリアック病の発生率は、近親者では4.5%、腸疾患の兆候がある人は17%に達します。

ヨーロッパ全体でも300人に1人の割合でセリアック病を発症しているとされ、 イタリアにおいては潜在的な患者も含めると800万人いるともいわれています。

このようにセリアック病が増えてきた背景には、『小麦の品種改良が関わっている』いう意見が多数あります。
小麦の品種改良については小麦の歴史に書きましたので、興味のある方はそちらも合わせてお読みください。