今日はハイネの詩集にも歌われた”ローレライ”について。
なじかは知らねど 心わびて
昔の伝説(つたえ)は そぞろ身にしむ
寥(さび)しく暮れゆく ラインの流れ
入日に山々 あかく映ゆる
美(うるわ)し少女(おとめ)の 巖頭(いわお)に立ちて
黄金(こがね)の櫛とり 髪のみだれを
梳(す)きつつ口吟(くちずさ)む 歌の声の
神怪(くすし)き魔力(ちから)に 魂(たま)もまよう
漕ぎゆく舟びと 歌に憧れ
岩根も見やらず 仰げばやがて
浪間に沈むる ひとも舟も
神怪(くすし)き魔歌(まがうた) 謡(うた)うローレライ
こんな歌もありますね。
現代語にするとこんな感じ。
なぜだか良くは分からないけれど
私はとても悲しい気持ちだ
古い昔の物語が
心に深く響いてくる
風は冷たく、あたりは暗くなった
そして静かに流れるライン河
沈む夕日を浴びながら
山の頂きは輝いている
美しい少女が座っていた
あそこの岩の上に
黄金の櫛を手に持ち
黄金の髪を梳いている
そして歌を歌っている
それは不思議な
魂が惑うような調べ
小舟に乗った船乗りは
その不思議な歌に聴き入ってしまう
水底の岩には目もくれず
彼はただ上を見上げる
波間に沈みゆく人や舟をも
不思議な調べで ローレライは謡う
だいぶ意訳も入っていますが御容赦を。
実際には水底に大きな岩があり、その岩に舟が衝突して
事故が多発するといういわゆる”難所”だったわけですが
昔のドイツ人は見目麗しい少女が謡っていて
その歌に聞き惚れていたから岩に気付かない、という物語を
作ったわけです。
船乗りを眠らせる話としてはハイウェイ・ヒュプノーシスの語源になった
夢魔ヒュプノスの話もありますがそれはまた別のお話。
(機会があったら書いてみます)
ローレライにはもう一つの名があります。
こちらもメジャーな名前ですが
”セイレーン”
物語やゲームにもよく登場しますね。
歌で相手を眠らせるような半人半鳥の姿で描かれることが多い。
で、このセイレーンのほうは”サイレン”の語源となってます。
”SIREN”と綴ってみればイメージしやすいでしょう。
セイレーンのほうはどちらかというと眠りを誘う静かな調べを連想しますが
サイレンというと甲子園の試合開始とか、どちらかというとにぎやかな
イメージをもちます。
元は同じなのに真逆のイメージになるなかなか面白い例です。
オマケ:)もっと元ネタのドイツ語バージョンはこんな感じ。
Ich weiß nicht was soll es bedeuten,
Daß ich so traurig bin;
Ein Märchen aus alten Zeiten,
Das kommt mir nicht aus dem Sinn.
Die Luft ist kühl und es dunkelt,
Und ruhig fließt der Rhein;
Der Gipfel des Berges funkelt
Im Abendsonnenschein.
Die schönste Jungfrau sitzet
Dort oben wunderbar;
Ihr goldnes Geschmeide blitzet,
Sie kämmt ihr goldenes Haar.
Sie kämmt es mit goldenem Kamme
Und singt ein Lied dabei;
Das hat eine wundersame,
Gewaltige Melodei.
Den Schiffer im kleinen Schiffe
Ergreift es mit wildem Weh;
Er schaut nicht die Felsenriffe,
Er schaut nur hinauf in die Höh.
Ich glaube,die Wellen verschlingen
Am Ende Schiffer und Kahn;
Und das hat mit ihre m Singen
Die Lore-Ley getan.
なじかは知らねど 心わびて
昔の伝説(つたえ)は そぞろ身にしむ
寥(さび)しく暮れゆく ラインの流れ
入日に山々 あかく映ゆる
美(うるわ)し少女(おとめ)の 巖頭(いわお)に立ちて
黄金(こがね)の櫛とり 髪のみだれを
梳(す)きつつ口吟(くちずさ)む 歌の声の
神怪(くすし)き魔力(ちから)に 魂(たま)もまよう
漕ぎゆく舟びと 歌に憧れ
岩根も見やらず 仰げばやがて
浪間に沈むる ひとも舟も
神怪(くすし)き魔歌(まがうた) 謡(うた)うローレライ
こんな歌もありますね。
現代語にするとこんな感じ。
なぜだか良くは分からないけれど
私はとても悲しい気持ちだ
古い昔の物語が
心に深く響いてくる
風は冷たく、あたりは暗くなった
そして静かに流れるライン河
沈む夕日を浴びながら
山の頂きは輝いている
美しい少女が座っていた
あそこの岩の上に
黄金の櫛を手に持ち
黄金の髪を梳いている
そして歌を歌っている
それは不思議な
魂が惑うような調べ
小舟に乗った船乗りは
その不思議な歌に聴き入ってしまう
水底の岩には目もくれず
彼はただ上を見上げる
波間に沈みゆく人や舟をも
不思議な調べで ローレライは謡う
だいぶ意訳も入っていますが御容赦を。
実際には水底に大きな岩があり、その岩に舟が衝突して
事故が多発するといういわゆる”難所”だったわけですが
昔のドイツ人は見目麗しい少女が謡っていて
その歌に聞き惚れていたから岩に気付かない、という物語を
作ったわけです。
船乗りを眠らせる話としてはハイウェイ・ヒュプノーシスの語源になった
夢魔ヒュプノスの話もありますがそれはまた別のお話。
(機会があったら書いてみます)
ローレライにはもう一つの名があります。
こちらもメジャーな名前ですが
”セイレーン”
物語やゲームにもよく登場しますね。
歌で相手を眠らせるような半人半鳥の姿で描かれることが多い。
で、このセイレーンのほうは”サイレン”の語源となってます。
”SIREN”と綴ってみればイメージしやすいでしょう。
セイレーンのほうはどちらかというと眠りを誘う静かな調べを連想しますが
サイレンというと甲子園の試合開始とか、どちらかというとにぎやかな
イメージをもちます。
元は同じなのに真逆のイメージになるなかなか面白い例です。
オマケ:)もっと元ネタのドイツ語バージョンはこんな感じ。
Ich weiß nicht was soll es bedeuten,
Daß ich so traurig bin;
Ein Märchen aus alten Zeiten,
Das kommt mir nicht aus dem Sinn.
Die Luft ist kühl und es dunkelt,
Und ruhig fließt der Rhein;
Der Gipfel des Berges funkelt
Im Abendsonnenschein.
Die schönste Jungfrau sitzet
Dort oben wunderbar;
Ihr goldnes Geschmeide blitzet,
Sie kämmt ihr goldenes Haar.
Sie kämmt es mit goldenem Kamme
Und singt ein Lied dabei;
Das hat eine wundersame,
Gewaltige Melodei.
Den Schiffer im kleinen Schiffe
Ergreift es mit wildem Weh;
Er schaut nicht die Felsenriffe,
Er schaut nur hinauf in die Höh.
Ich glaube,die Wellen verschlingen
Am Ende Schiffer und Kahn;
Und das hat mit ihre m Singen
Die Lore-Ley getan.