小学6年生のときの授業参観は体育であった。なぜか砂場で相撲をとらされた。なぜか女子2人を相手に男子1人という変則的な取組みである。男子は男子と、女子は女子と対戦するのが道理であろう。教諭の奇妙なエゴを押し付けるのはやめてもらいたいものである。
ぐんじとほりっぺが私の対戦相手だった。女子相手にむきになって勝とうとするのもダサいと思ったので、あっさり負けた。
「先生が呼んでるよ」などと日頃から嘘ばかりついている2人組で、人の好い私は何度も煮え湯を飲まされたものだった。ぐんじは給食中、「一生懸命食べてる」などとからかって来る女の子だった。ほりっぺは卒業を前に、「思い出ノートを書いて」と手渡して来た女の子だった。当時はそういうファンシーグッズが流行っていた。
凝ったものを書いてやろうと時間をかけていたので、痺れを切らしたほりっぺは「早く書いてよ」と催促をして来た。幼稚で未熟だった私は「捨てました」と吐き捨てた。ほりっぺは泣きこそしなかったが、ショックを受けている様子だった。私の哀しい失敗である。