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『訪朝日本に警戒心』 キッシンジャー元米長官
2009年8月10日 夕刊

 【ワシントン=嶋田昭浩】キッシンジャー元米国務長官は、九日付の米紙ワシントン・ポストへの寄稿で、米国人記者解放をもたらした先週のクリントン元米大統領の北朝鮮訪問について、核問題をめぐり、米国が六カ国協議の枠組みの範囲内でなく、米朝二国間協議で解決を目指そうとしているとの警戒感を日本に植えつける、として強く批判した。

 キッシンジャー元長官は「数百万人の米国民が国外で暮らしたり旅行をしたりしている。(元大統領の訪朝は)冷酷な組織や国が人質を取って、米要人との象徴的な会談を要求する前例とならないだろうか。もし、北朝鮮の核開発能力を理由に今回の訪朝が特別な事例だと主張するのなら(他国やテロ組織への)核拡散の動機づけになるのではないか」と指摘。

 さらに「(ヒラリー・クリントン)米国務長官の夫である元大統領の訪問で、北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記は、自国民や他国に対し、北朝鮮が、国際社会に受け入れられたとのメッセージを発信できるようになる」と負の側面を強調した。

 その上で、元長官は「他国は(六カ国の枠組みを維持するという米国の)約束が変更される可能性に備えて、対策を講じる気になるだろう。特に、総選挙を控え、拉致問題で十分な支援を受けていないと感じている日本はその思いが強いのではないか」と述べた。


[新世紀人コメント]

キッシンジャーのこの発言は、北朝鮮と米国の緊張関係の維持と継続を主張する内容となっている。その筋書きで日本に対して気を使った発言となっているのだが、
彼は何故、この発言を行ったのであろうか?

オバマの背景には彼がいる。彼が指南をしている考えてよいだろう。
では、オバマ批判と受け取れる発言の裏は何か?

オバマのクリントン氏派遣による自国記者二人の帰還の成功に対して日本国内でオバマ政権への不信感が左右を問わず国民一般の中で高まることについて危機感をおぼえてのキッシンジャーのオバマとの合意の上での「役割分担」としての発言である可能性がある。
そうであれば、敢えてオバマを批判したと言う事だ。日本国民をなだめる為に。

もう一つ考えられるのは、オバマ自身が日和見を行い、それに対して批判をしたと言う可能性もある。
つまり、オバマは北朝鮮との緊張関係の緩和を模索し始めてそれを実行し、この事がキッシンジャー達を怒らせた可能性があると言う事だ。
もしそうであれば、それはかつてのカーター大統領の事例のようなものだろう。
カーターはイランとの緊張関係を終わらせようとしてイランに囚われている人質を救出しようとしてイランに海兵隊の特殊部隊を降下させようとしたが、部隊の前進基地で爆発騒ぎが生じて失敗し、カーター政権はそれがきっかけで終了に向かった。
これと似た事例であるかも知れない。

何れにせよ、キッシンジャーの考えは北朝鮮との「戦争状態の終結」を獲得する事により核兵器の拡大を阻止するというものではなく、緊張関係の継続と存続を図りかつ造りだす事により米国帝国主義覇権の衰退過程に於けるあくまでもの継続を狙うと言うものである事が読み取れるのである。


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