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【ニューヨーク=松尾理也】

5年間の任期の折り返し点を迎えた国連の潘基文事務総長に対し、欧米メディアを中心に指導力への疑問を呈するケースが相次いでいる。

辛口の「通知表」を突き付けられている潘氏は、3日からのミャンマー訪問で民主化指導者アウン・サン・スーチさんらの解放を求める方針を示しており、その手腕が改めて試されることになる。

 英誌エコノミストは「あまりにも安易に、あまりにもしばしば責任逃れをしすぎる」と、指導力のなさを酷評。

英紙フィナンシャル・タイムズは「国連組織の内部や各国代表部からわき上がっている批判は、彼の再選に疑問を投げかけている」と伝えた。

 米外交専門誌フォーリン・ポリシーは、特に失策は犯していないものの、地球温暖化やテロ、金融危機など問題山積の中で有効な手を打てていないと論じ、潘氏側近があわてて反論に回る一幕もあった。

国連高官は、潘氏とスタッフの国連職員との意思疎通に不十分さがあることは自覚しており、改善に努めているとした上で、「何もしていないかのように描かれるのは一方的すぎる」と主張した。

潘氏は訪日前、気候変動問題への取り組みについて「私の就任時には限られた指導者しか感心のなかったこの問題が、今では世界の主要テーマとなった」と自賛。

1日には東京都内の東京大で対話集会に出席し、ミャンマー軍事政権に政治犯の釈放などを促した。

 しかし、ある国連関係者は「紛争解決など緊急の課題で、ほとんど実績がない」と述べ、欧州の外交団などを中心に不満が高まっており、通常なら問題なく実現するはずの再選も危うくなる可能性さえ出てきていると指摘した。

 一方で、「2年半前の選挙当時、ブッシュ政権は、イラク戦争をめぐり対立したアナン前事務総長への苦い思いもあり、事務総長に勝手にリーダーシップを発揮されては困るという考え方だった。

それがオバマ政権となり、明らかに180度変わった」とし、潘氏に同情的な見方も示している。