誘いのシルエット番外編
『4月の桜雪-Encounter-②』
真壁行人
それどころか、その金色の眼差しはずっと探していた記憶すらない父と母の温かなそれのようであった。そして勇樹を覚醒へと導く小さな炎を心に灯したのだった。
「ユウキ、私が怖いか?」
「ううん、怖くないよ。もしかして、さっきの・・・」
言葉を遮るようにその犬は話だした。
「わが名は、ガルダス。土をまとい戦うものと生きるが我が宿命。ユウキ、縁(えにし)ある人の子よ。この日より十(とお)の春が過ぎし穀雨の日に再び会おうぞ」
強い風が吹き、辺りの桜の花びらが一際に舞い上がった。
ハラハラと舞い落ちる花びらが幽かな光を掠めた。
近づいてみるとそれは拳ほどの丸い玉で不思議な光りを放っていた。
その玉を手に取り俺は「ガルダス・・・」と呟いた。
【奈良のとある学校の校庭】
ダダダダッ・・・・
「よっしゃ~追い詰めた!もう逃がさんぞ!!」
「ガルダス、一気に片付けるでな!」
「ユウキ、気をつけるのじゃ。この闇はいつものよりも大きい。」
無数の黒い闇が蠢く中、少年は右手で玉をギュッと握りしめ、渾身の力をこめてその手を地面に押し付けた。
「目覚めよ!土たちよ!我が目の前の敵を駆逐せんことを命ず!!」
「羅芭(ラバッ)!!」
握りしめた玉が眩い光りを放った。
その瞬間、地面はうねりを上げ大きな裂け目が現れた。土埃は竜巻のように渦を巻き、そして無数の黒い闇に絡み付く。
ギュルル、ギュルルル・・・・
大きな裂け目は闇を飲み込むと消え去り、いつもの校庭を静寂が包み込んだ。
あの日から十の春が過ぎ16になった勇樹の横には、金色の目をした精霊ガルダスがいるのだった。
終わり

