▼夏炉冬扇(かろとうせん)」といえば役に立たないものの例えだ。試験でこれを「我慢くらべ」と書いた女生徒がいたと、旧知の先生に聞いた。夏
に火にあたり、冬にあおぐと類推したのか。珍答ながら、なかなかの想像力に感心したものだ
▼“夏炉冬扇”比喻的是无用的东西。然而一位认识的老师说,她的一个女学生在考试中写到“比耐力”。或许是从夏天烤火,冬天吹风推测出来的吧,虽然是奇怪的答案,却对这位同学的想象力感到敬佩。
▼季節はめぐるから、「冬扇」にも再び我が世の春はくる。東京は昨日、気温の割に蒸し暑かった。棚に突っ込んであった団扇(うちわ)に無沙汰をわび、風をもらって仕事をした。これからは大事な戦友だ。女生徒の迷答ではないけれど、「我慢」の夏が今年は待っている
▼季节变换,“冬扇”再次出现在了这个春天。东京昨天气温虽然不高,但是却十分闷热。在书架深处找到了久违的扇子,一边扇风一边工作。从今之后扇子就是我们最重要的战友了。虽然与女学生的答非所问不同,等待我们的今年夏天的主题便是“忍耐”。
▼政府は東京、東北電力管内の節電目標を、企業も家庭も一律15%にすると決めた。旗振り役の環境省はスーパークールビズと称し、Tシャツ、アロハシャツの着用を認めるそうだ。そう。お堅く我慢くらべする必要はさらさらない
▼政府做出决定,东京电力和东北电力管辖范围内企业和家庭的节电目标一律为15%。做出表率的环境省允许工作人员穿着T恤和夏威夷衫,称之为“超级清凉运动”。的确,目前的局面下,有坚强忍耐的必要。
▼思えばかつては、家を開け放つのが夏だった。外の音がいろいろ聞こえた。いまは閉め切って室内を冷やし、代わりに戸外へ熱風
を噴き出す。どこか現代人の心の姿に、通じるものはないだろうか
▼回想起来,过去人们都是大开着家门度夏的。可以听见外面的各种声音。而如今却是房门紧闭,在室内制冷却把热气排到室外。总觉得,这里面与现代人的心态也有关。
▼その熱風で、都会の夏は夜
もほてり、人はいよいよ閉じこもって牙城(がじょう)を冷やす。団扇
でも扇風機でも、風の開放感が懐かしい。〈ふるさとの板の間にをり扇風機
〉岩城久治
▼由于排出来的热风,城市的夏季的夜晚仍然闷热,人们只能呆在家里在自己的领地独享清凉。扇子也好,电风扇也好,这种开放的风让人怀念。岩城久治有这样一首诗:怀念家乡电风扇。
▼人工の冷気ばかりが「涼
」ではない。すててこ、打ち水、青すだれ――レトロなものたちが甦(よみがえ)る夏になろうか。昨今ほとんど見ない陶枕(とうちん)や抱き籠(かご)はどうだろう。汗だくの我慢は長続きすまい。現代と伝統の知恵を取り合わせて涼しい風を吹かそう。
▼其实并不见得只有人造的冷气才有“凉”意。大裤衩、泼凉水、竹帘,这些具有怀古情调的东西或许将在今夏复苏。现如今几乎绝迹的陶枕以及抱笼你觉得如何?忍耐汗流浃背恐怕不会太长久。只要我们利用现代和传统的智慧,令其融合,就一定可以制造出凉爽的清风。