第二十八話 part3




「ナイトスマッシュ!!!」


アオがそう叫び
剣を振ると


鋭い閃光が闇の炎をまとって
放たれた


が、
勇者はなんとか
片方の巨刃で防御した


「魔王の炎か・・・クククッ・・・
面 白 い !!!」


勇者がそう言って
剣を空へ向けると


二つの巨刃も
空を向き、重ね合わせた


「デスデビルメテオ!!!」


さらに
勇者が唱えると


後方から
悪魔の炎が出現し


一対の巨刃を呑み込み
業火をまとわせた


「・・・・!!?」


「やるからには正々堂々だろ?」


そう言うと
勇者は再び剣を構えた


「 行 く ぜ ェ !!! 」


勇者がそう叫びながら
剣を振り下ろすと


業火をまとった巨刃も
地に振り下ろされた


コンクリートがえぐれる衝撃と
炎をまとった爆風が
辺り一帯を焼き尽くす


だが、
その中からまた
闇火をまとった閃光が放たれた


「ナイトクロス!!!」


閃光は二つの巨刃の間を抜け
勇者を直接貫いた


「クッ・・・」


勇者はギリギリ
手持ちの剣で防いだ


だが、全ては防ぎきれなかったのか
少し傷を負っている


「やるじゃねぇか魔王!!」


勇者がそう叫ぶと

アオを挟み込む巨刃が

刃の向きを

アオへ向けた


「なっ・・・!!」


「・・・クククッ・・・」


すると
巨刃が物凄い速度で
アオに斬りかかった


その時


「アッパーブレイズ!!!」


アオが剣を振り上げ
閃光と闇火で
挟み込む巨刃をなんとか跳ね上げたが


的を外した巨刃は
両サイドにあったビルを

一瞬で焼き崩した


「オラオラァ!!
ちゃんと食らわなねぇと・・・
全部壊しちまうぜェ!!!」


すると
勇者は再び巨刃を持ち上げた


やばい・・・


こんな状況じゃ
どうやっても街を壊してしまう・・・


でも、ここで終わったら
何も救えなくなってしまう・・・


どうする・・・


どうすれば・・・


アオが頬に冷汗を
一滴垂らす


「アオ!!こんなの無理よ、逃げて!!!」


レイア達が心配して
俺に声を投げかける


「レイア・・・」


「さぁて・・・
次は受けてくれよなァ!!!」


勇者は
そう叫ぶと同時に


宙に浮く二つの刃を
思い切り振り下ろした


「と、止めれな・・・!!」


「アオーーーーーーー!!!」


次の瞬間

巨刃はアオへ振り落とされ

巨大な爆風と衝撃が
辺り一帯に広がり


大きな砂煙を上げた


「ア・・・アオが・・・そんな・・・」


レイアがその光景に
泣き出しそうになった


その時


「・・・・!!?」


吹き上がる砂煙の中で
何かが一瞬光った


次の瞬間


業火をまとった二つの巨刃が
瞬く間に消滅していった


「な・・・なんだ・・・?」


薄くなった煙のなかには
腰を落としたアオと


勇者から守るように
アオの前に立つ謎の影・・・


「お・・・お前・・・」


煙が晴れると
その姿がはっきりと見えた


黒髪の短髪に
眼鏡と制服を着て
真っ白に光る剣を持った少年・・・


彼方 佑


「佑・・・なのか・・・?」


すると
アオの方を振り向き
答えた


「あんな可愛い女の子を泣かせるなんて
カッコ悪いぜ・・・蒼!!」


そう言って
見せたやんちゃな笑顔は


まさしく
俺の最愛の友


彼方佑だった。





第二十九話へ続く。