訪問日:2024年10月14日

 

 

 

美保関の風に吹かれて

 

暦上ではすっかり秋だというのに、残暑が居残り続ける10月中旬。松江市は美保関灯台を目指し、車は走り出した。

 

地名や土地を感じられるものが大好きなので青看板はついつい撮ってしまう。

 

松江市街地から美保関までは約30キロ。できてまだあまり経っていないような真っ直ぐで、新しいコンクリートの上を走っていく…

 

すると一車線ずつの道へと変わっていく。島根半島の東端は近づいていく。

途中で境水道大橋の股を潜る。この橋を渡った先、境水道を挟んだ対岸は鳥取県、境港市だ。

 

 

県境という、目に見えない境と風を感じる。

 

 

途中で車を止められる場所があったので降り立ってみる。釣り人で賑わっており、魚が釣れる度感嘆の声が上がった。

 

少し離れたところに「境港防波堤灯台」が見える。向かい側に見えるのは弓ヶ浜半島の端だ。

自分がどんどん半島の端へ向かっているのを感じる…大した事ではないはずなのに、何故か世界の果てへ向かっているような心持ちだ。

 

 

海面のきらめきは、星の瞬きににている。もしかしたら、海は墜ちた星の墓場なのではなかろうか、と思いついてはつまらないものだと忘却しようとする。

漁船らしき小舟がいくつか浮いている。これが港町の日常風景なのだ、羨ましい。

 

 

また、遠くには霊峰・大山の輪郭が浮かび上がる。大分遠くにあるはずなのにこの存在感、まさに霊峰と呼ぶに相応しい御山だ。

 

半島の最果て・美保之碕はすぐそこだ。

 

歓迎されている。この古風な絵からもわかるように、美保関は神話にまつわる地でもある。(というか出雲国域が、と言っても過言ではないだろう)今走っているこの道も、「神仏の通ひ路」という名前が付けられているほどだ。

 

 

今回は降り立たなかったが、美保関の町が見える。美保神社や青石畳通りを中心とした、こぢんまりとした港町である。老舗旅館が歓迎してくれるかのように建っている。

 

上写真の真ん中からすこし左側に映っている石灯籠は「神光照海常夜灯」。神光などという神々しい名前が付いているこの常夜灯はもう稼働していないようだ。。。

 

 

ここから山道を上がっていくと、「大山・隠岐国立公園」の立て看板が見える。山頂まで、もう少しだ。

 

駐車場の端の展望デッキから。期待が高まる…

 

さあ、灯台を目指し歩こう。

 

 

山道を通り抜けて見えた、背が低めの灯台。

 

 

明治31年に「地蔵埼灯台」として生まれ、127年間神域の海を照らし続けている、この白亜の塔こそが、山陰に初めて設置された灯台、美保関灯台だ。

この美しい石造りの塔は、設置されたときのものが変わらずそこにある。

 

日本海側には「角島灯台」や「出雲日御碕灯台」など、背が高くて登れる灯台にもなっているザ・灯台という風貌の灯台があり、少し影が薄くなっているような気もするが、美保関灯台は先述したようにも山陰最古だったり、歴史的価値が大きくある。

 

「世界灯台100選」「日本の灯台50選」「Aランクの保存灯台」「登録有形文化財」「国重要文化財」…この灯台が持つ肩書を羅列してみたが、大分凄い灯台であることがわかる。

 

周りを散策していく。

 

 

灯台の横に隣接する赤い屋根の建物は旧退息所、現在は灯台ビュッフェというレストランに改装されている。

私が行った日には臨時休業していてレストランでランチすることは叶わなかったが、中には設置当初に使用されていた第一等フレネルレンズが展示されているらしい。いつかこの目で見たいものだ…

 

レストラン入口のドア。6日後には一般参観ができたようだ…色々と惜しいタイミングで来てしまった。

 

 

塀の裏側まで回る。灯台の右側に見えるのは「美保関地ノ御前島照射灯」、海の上に浮かぶ、美保神社の飛び地境内である地ノ御前島を照らしている。

 

なんだか2つの眼に見つめられている気分だ。(最も、彼らの眼差しの先は日本海だが)

 

地蔵埼の突端にある鳥居。ここから地ノ御前・沖ノ御前を望むことができる。

 

灯台の裏側に、日本海を向いて休憩できるベンチがあったのでそこに座る。今日は晴れていたが隠岐の島を見ることはできなかった。それらしきものが見えた気がしなくもないが、きっと先入観から生まれた幻の島だろう…

 

只ひたすらに紺青が続いていく海を眺めながら、風を浴びる。この日は暑かったが、

潮風のおかげでいくらかは涼しく感じた。

 

レストランが開いていたらもっと長居できたかななどと思いつつ、景色を堪能したので駐車場へ戻る道を辿る。自然探勝路という名前が付いているらしい。

 

茂る木葉の隙間から、対岸の弓ヶ浜と大山が見える。やはり大山は美しい…

 

因みに、弓ヶ浜からも美保関灯台を見ることができる。夜、海岸から島根半島を見ると、一定の間隔で輝く閃光が観測できるはずだ。(皆生に泊まったときのお話 いずれ記事になるかも)

 

美保之碕の由来の看板 日本神話では、島根半島東側は現石川県・珠洲市の方から引っ張ってきたとされているそうだ。奇遇にも、珠洲市には美保関灯台とよく似た形状の禄剛埼灯台がある。

 

これで美保之碕を目指した旅路は終わり。最後に、かつて地蔵埼を訪れた与謝野鉄幹が詠んだ歌で締めるとする。

 

    

地蔵埼 わが乗る船も 大山も

 

沖の御前も 紺青の上

 

 

美保関灯台、すべてが紺青の潮騒に還る道へ。 終

 

 

おまけ:境港まで走る

行き途中で見上げた境水道大橋を渡り、鳥取県へ渡る

 

 

海岸通りにある境港指向灯 沿岸にイカ釣り漁船が沢山泊まっている。

 

 

境港駅にあったモニュメント これが境港灯台だと知ったのはこれから随分先のことだった。桜が綺麗らしいので、春に訪れてみたい。

 

駅前の広場にいた目玉おやじ。かわいい

 

蟹圧がすごい。

 

 

 

訪れた場所

・美保関灯台 〒690-1501 島根県松江市美保関町美保関

・境水道大橋 〒684-0017 鳥取県境港市岬町1−2−3 4 一般国道431号

・境港駅 〒684-0004 鳥取県境港市大正町

・大漁市場なかうら 〒684-0046 鳥取県境港市竹内団地209