あの子は成績優秀な優等生。あいつは抜群の運動神経。歌が上手い子。

私には飛び抜けたものは無かった。


私は落ちこぼれだ。だが、私のクラスで相対的にという話で私は至って普通で平均なのだ。なのに周りが優秀なせいで、劣等生と烙印を押されてしまった。親からは

「あなたは人より能力が低いんだから、人一倍努力なさい」

と言う。私はその言葉に心底絶望した。

親は子供の世界の全てだ。だが私の中でその世界は崩れそうになっていた。


そして訪れた崩壊の時、世の中の全てが空虚なものだと感じ、生きること以外全てやめた。

まだ生にしがみついている私は少し希望を持ちたかったのかもしれない。救ってくれるなら神様でも悪魔でもよかった。この身や魂だって捧げてもいいと思えた。


10月31日、ハロウィン。私は光る『なにか』を見つけた。探していた希望かもしれない。そして離れていく『なにか』を私は無我夢中で追いかけた。

気がつけば白い天井が見えた。病院だ。

看護師から

「親御さんから電話です」

と言われてけたたましい着信音が鳴るスマホを置いて病室を出ていった。

そのスマホが誰のかはわからないが取り敢えず電話に出ると、

「どこに行ってたの!?早く帰ってきなさい!」

と親の怒号。

気が遠のくのを感じた。



原作↓