本日は実際に施術した症例を施術内容や考え方の整理・復習と私がどういった治療をしているのかの紹介も兼ねてブログにしていきます!
📝主訴・副訴
⚫︎ 主訴:首の右側の痛み
⚫︎ 副訴:左腰の痛み、軽い頭痛
患者さんは2週間ほど前から首の後ろ側に痛みが出ており、横を向いたり傾けたりすると強く痛みが出るとのことで鍼施術を希望されました。
痛みのせいか軽い頭痛もあるとのことです。
安静時や夜間の痛み、手のしびれや感覚障害、巧緻運動障害は認められませんでした。
整形外科を受診された際には画像所見で異常は認められずストレートネックからくる「筋肉のこわばり」と診断されています。
腰については、左腰に痛みがありましたが、発症のきっかけとなる明らかな出来事は思い当たらないとのことでした。
首の痛みについても同様です。
📝評価(動きの確認)
⚫︎ 頸部の前後の動き(屈曲・伸展):異常なし
⚫︎ 横に傾ける動き(側屈):左・右側屈ともに右頸に痛みあり
⚫︎ 後に振り向く動き(回旋):左回旋で痛みあり
⚫︎ 最も強い痛み:右側屈+左回旋
これらの動作の筋力検査では異常は認められませんでした。
💡その他気になったポイント
⚫︎ 胸椎の回旋、股関節の内旋に左右差(右>左)
⚫︎ 問診中ずっと背中を丸めて顔が前に出る姿勢
📝考察
今回の症状は、関節運動を起こすと痛みがあり、関節運動を伴わない筋力検査では痛みがなかったことから筋肉ではなく頸椎の右椎間関節の障害が原因と考えました。
なぜ頸椎の椎間関節に負担がかかっていたのかを考えると、まず姿勢に着目します。
問診中から気なっていた座る姿勢ですが、腰が丸まっており頭部が前方に出た姿勢。
問診で伺ったところ、仕事中もこの姿勢(下図)でいることが多いそうです。
この姿勢でいると下位頸椎は屈曲位(生理的湾曲が消失したいわゆるストレートネック)となり靭帯や筋肉は頭の重さを支えるために常に張力がかかった状態に、上位頸椎は伸展(過伸展)となり靭帯や筋肉は短縮し骨構造は接近し、ぶつかりやすい状態になります。
また、脊柱は正しいポジション(下図)が最もストレスなく動かせます。
この正しい位置から少しでも外れるとわずかに動かしづらくなります。
それが1つ目の図のような姿勢だと、とても窮屈そうですよね、、、。
胸椎と股関節にも着目しました。
胸椎と股関節に可動域制限があり、本来分散されるべき動きが頸椎に集中し、負担が増えたと推測されます。
余談ですが、、、関節障害は「動きすぎる」ことで起こることが多いです。
⚫︎ 足首の捻挫 → 強制的な過度の動きで靭帯に負担がかかり損傷
⚫︎ 腰椎分離症 → 本来、回旋可動域が小さい腰椎が動きすぎることで負担がかかり発症
同様に、今回の胸椎と股関節の動かしずらさの代償として動きすぎて(+窮屈な姿勢で)負担がかかったと考えられます。
そのため改善には頸部だけでなく、胸椎・股関節へのアプローチが必要となります。
また、腰の痛みは左の腰腸肋筋に圧痛がありました。
腰腸肋筋は脊柱起立筋の中でも最も外側に位置し側屈の作用も持ちます。
胸椎の左回旋では側屈を伴う代償運動が見られ、日常生活でも同じ動作を繰り返すことで腰腸肋筋に負担が蓄積していたと考えられます。
さらに、この胸椎の回旋においても普段の猫背姿勢が関節の動きづらさを助長し、無理な動きを繰り返すことで負担が大きくなっていたと推測されます。
📝施術と経過
・鎮痛、筋緊張緩和目的の患部の施術
・胸椎、股関節の柔軟性改善を目的とした施術
・座位/立位の姿勢指導
・股関節、胸椎の柔軟性改善セルフケア
セルフケアと姿勢改善を継続していただいた結果、2週間続いていた症状は徐々に改善し、痛みの強さは最大10 → 3に低下しました。
📝まとめ
簡単にまとめると、?
⚫︎左股関節の内旋制限
⚫︎胸椎の左回旋制限
⚫︎不良姿勢
↓
日常生活での頸椎・腰への負担増
↓
痛みの発生
📝施術のポイント
今回のように日常生活での「ちょっとした負担」が積み重なり、あるタイミングで症状が出るケースは非常に多いです。ですので日々の身体にかかる「ちょっとした負担」を取り除くことを重要視しております。
首や腰の痛みは必ずしも患部だけに原因があることは少なく、多くの場合は他の関節や姿勢が大きく影響しています。
患部だけに施術を行うと一時的に良くなっても再発するのは、原因が残っているからです。
症状を改善するために全身の評価と調整が不可欠なので私は患部だけでなく体全体のバランスを整えていく施術をしていきます。
さらに体の使い方を改善し再発しにくい状態を目指します。
同じような症状でお悩みの方はお気軽にご相談ください!
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