打ちっぱなしから間もなく二人でラウンドに廻ることになった。


ワクワクしかなかった。


どんなウェアで来るのだろうか、ゴルフの後はどうなるのだろうか、ひとりでただただ妄想を膨らませる日が続いた。


初めてのコースデビューで恥をかかないよう一人で打ちっぱなしに毎日通った。




ついにコースデビューの日


ゴルフ場に待ち合わせより2時間早く着き、準備万端の私だが、イレこんでいるのを悟られないように、つい数分前に着いたばかりとカッコつけてしまった。


ゴルフのスコアは想像に難くないものだったが、なにより一日中沙紀と過ごせたことが何より疲れさえ忘れさせた。


ラウンド後は沙紀がごはん食べて帰ろうと誘ってくれた。

私は内心嬉しくて仕方がないのに、素っ気ない感じで、沙紀が行きたいならみたいな雰囲気を醸し出していた。


私は昔からシャイでなかなか素の自分を出せない。

好きで好きで仕方ないのに好きって言えないし、さも好きじゃないかのように振る舞ってしまう。

そんな自分が嫌いなんだけど、歳をとるにつれ、それも自分だから仕方ないかと思い込むようにしている。


ごはんはやきとりになったのだが、その後が気になり、焼き鳥の味は全く覚えていない。

私も男なのだから許してほしいが、女性と二人でご飯に行ったら、期待するなと言われても期待してしまう。一発イケるのではないかと。



当然私が勝手に期待しているだけで、ダメだった。

やきとり食べて、各々まっすぐ家に帰った。