今回の震災の被害のあまりの大きさに言葉を失っています。

このような時に、自分として出来る事は何かを考えさせられます。

音楽家は、音楽を通して何か出来ないかなどと考えることがありますが、今は、まだ音楽が役に立つ時期でないと考えています。

今、必要とされている事は、原発の事故を解決する事、少しでも多くの生存者を救出し、避難されている方々に必要とされる物資を一刻も早く届けることです。そして、失われた生活環境を復興させるための資金を作り出す事です。

そのために今、私たちが出来る事といえば、適切なところへ寄付することが何よりのことだと考えます。

今の時期、例えば、アーティストの方々でしたら、チャリティーコンサートなどでお金を集めるより、コンサートへ行った思いで入場料に値する金額を直接寄付してもらうように御自分のファンの方々に呼びかけるほうが、無駄なくより多くの金額を被災地に届ける事が出来るのではないかと考えます。

被災地のためにコンサートを開いたという熱き思いは、今の時期、被災地にとって重要とは感じられません。今は、ただただ救援物資を必要としているのです。

ただし、寄付する先をよく見極める必要があります。
確実に無駄なく提供したお金が使用されなければなりません。

私たちは、こういう状況の中でも自分がやるべき仕事に真面目に向き合い、それを確実にやり遂げるために全力を注ぐ事も必要です。

私は、大学で教える立場ですから、4月から電力の供給がどのようになるのかとても気になります。

数時間でも停電になれば、その間、電力を使用する必要がある窓のない教室は、使用できなくなりますし、録音系の授業などが出来なくなります。学生のことを考えると、そのような事態を乗り越えるための方策を考える必要があります。

こんな事柄は、今、被災されている方々の事を考えると、とても小さな事柄ですが、私たちは、自分にしか出来ない事を真面目に粛々と行っていくことが大切だと考えます。

そしてこのような緊急時であってもその事に支障が出ないように全力を尽くさなければならないと思います。そして経済的に日本が落ち込まないように全力をあげることが、被災地の復興に最も役立つ結果になると考えます。

作曲家としては、例えば自分が関わるドラマなどに音楽を書くときに、どこかで常に今回の辛い経験を頭に置き、被災された方々の想いはもちろんの事、今後、大地震がまたいつ起きるかも判らない中で、ある種の不安を抱えて生きていかなければならない日本に住む私たちのことを考えながら作曲していくことが、するべきことだと考えます。

今回の事で言えば、音楽が役に立つ時期は、被災された方々の衣食住がある程度確保され落ち着いた頃だと思います。体がある程度楽になったときでも心の傷は、簡単には癒されないと思います。

そのような時、音楽が役に立てるかもしれないと感じます。

今後、テレビや映画などの番組を企画する時にもそのような事を考えていく事になるでしょう。
また、そのような時期にアーティストがボランティアで出向いて音楽を披露するなどすれば、きっと大きな力になる事でしょう。

明日からも計画停電が行われる状況の中、各家庭で少しでも節電してこの緊急事態を乗り越えようと誰もが努力している事と思います。

今晩、我が家は停電になりませんでしたが、必要最小限の薄暗い明かりの中で夕飯を食べました。

いくらか不自由になることを受け入れて、本当に大切な事を守らなければなりません。

素人目に今の状況を考えると、当分の間、相当な努力をしない限り、計画停電を免れられないだろうと思います。

そうなると、あらゆる分野での仕事に大きな影響が出て来るのは、間違いありません。
想像できない深刻な状況です。

皆で最大限の努力と知恵を出し合ってこの危機を乗り切らなければならないと思います。