日光東照宮での森山直太朗君のコンサートは終わりましたが、このコンサート、未だに私の心に深い余韻が残るコンサートとなっています。

そして森山直太朗というアーティストの心の深い部分を感じるコンサートでもありました。

本番1日目の直太朗君は、歴史的、文化的、宗教的に価値の深いこの場所にどのように向き合えば良いかを模索しているように感じられました。そして,彼はトークの中で「歴史や自然に向き合う時に自分がいかに小さな存在であるかを感じさせられた。」というような事を正直にぽつりぽつりと語りながら、大きなものに向き合っている事への緊張感を持ちながら一つ一つの作品をいかに丁寧に表現して行くかに全力を注いでいるようでした。

おそらく、この1日目のコンサートでは、気温の低さも含めて普段のコンサートでは感じる事の出来ない様々な事を体験し考える事になったのだろうと想像します。非常に内省的なムードのただようコンサートでありました。

そして、2日目の本番を迎えた訳ですが、ここでは、色々な雑念を乗越えてその場所で歌う機会を得たことにただただ感謝して歌う彼の想いだけを感じました。

どのような場に身を置いても、与えられた機会に感謝し、謙虚な心を持って聞きに来て下さった聴衆の方々に最高の音楽を届ける事こそが、大切な事だと心から感じているかのようでした。

人は,成功して行く過程でついつい天狗になって、真実を見失ったりしがちです。

例えば、今回のコンサートは、天気予報の予報に反して非常に天気に恵まれましたが、こういう時も自分が晴れ男、晴れ女だからなどと思わず、そのような運命の流れにいさせていただける事に,ただ感謝すべきだと私は思います。個人の力など、自然界と比べれば本当に小さなものです。長い歴史の中で現代という機械文明の発達した便利な世の中にいる私たちは、こういった当たり前の事を忘れがちです。

地球温暖化の本当の原因は判りませんが、少なくとも人間は自然界に対してもっと謙虚な生き方をして行くべきでしょう。

このような、大きな舞台でコンサートをした時にどのような想いで向かい何を感じるのかは,アーティストによって様々でしょう。

物事にまじめに向かい自分の心に正直で,決して高慢にならない森山直太朗というアーティストを、私は心から好きになりました。