本日、敬愛する指揮者の岩城宏之先生がご逝去されました。

先生とは、2001年にNHK大河ドラマ「利家とまつ」の
メインテーマの指揮をしていただいて以来のお付き合いですが、
初めての訃報に接した時
なんとも言えない悲しみがこみ上げてきました。

この何年間は病気との闘いで
幾度もの手術を重ね乗り越えられてきた超人的な方だけに、
とても信じがたい出来事です。

先生と最後にお会いしたのは、昨年の4月、
NHKのドラマ「ハルとナツ」のメインテーマの録音で
N響を指揮していただいた時です。

録音の合間に、
一昨年の暮れの31日に行われた
ベートーベンの交響曲の全曲演奏会で
何曲か指揮をされた話をしながら
今度は、自分ひとりで全曲を指揮する
と仰るのを聞いて驚かされましたが、
昨年の暮れに見事にそれをやり遂げられました。

冗談交じりに
「ギネスブックに載ることになるかも。」
というようなお話もされていましたが、
考えてみると先生の人生は何事かに挑戦し続ける人生でもあったようです。

現代音楽の初演の回数の多さも群を抜いていますし、
現代音楽を積極的に世の中に紹介されました。

また、音楽についてクラシックもポピュラーも分け隔てなく愛され、
水木一郎という芸名でポップス・コンサートの指揮などもされる
柔らかな心をお持ちの方でした。

私が作曲の委嘱を受けている「ドラム・コンチェルト」を
9月の初演で指揮していただき、
その後10月にメルボルンでも指揮していただく事になっていただけに
本当に残念でなりません。

一緒にメルボルンへ行き、
旅先でワインでも飲みながらまた色々な貴重なお話を
聞かせていただきたかったと思われてなりません。

心からご冥福をお祈りいたします。