川口のコンクールについては特にホームページが無かったり、
速報的な情報が無いせいか、
このブログに検索で訪れる方が多いようです。

なんとなく気軽に自分の記録みたいに綴ってきたけど、
運営サイドの話は私個人のことでなく組織の話になってしまうので、
無責任に書かないほうが良い気がしています。

しかし、、、
今回のコンクールでとても心に引っかかっていることがあるので
最後に個人の感想として書かせて頂きます。

私は運営委員になって三回目のコンクールで、
最初から会場係です。
会場係、、、、当初思ってもいなかったけど、
結構嫌われ者系の係です
ホール内の何カ所かでにらみを利かし(?)
携帯を出していたりすると、
または演奏中にお話したりすると、
ささっと傍に駆け寄ってきて注意する、そんな係です。

普通の音楽会とコンクールのマナーの違いは無くて
ほとんど同じと考えて良いです。
演奏が始まるときには静かにしていなくてはいけない。

違うことと言えば、
例えばお友だちだったりお孫さんだったりがコンクールに出る事になり、
初めてこのような会に足を運んだというひとが多いところでしょうか。
幼い子どもさんにとっては初めて静かにしていなくては行けない場だったり、
カラオケ大会とか観劇のノリで来た方にとっては「クラシックって物音ひとつ立てちゃダメなのね、、、」とそれとの違いを知る経験であったり。

会場係としてホール内に立っていると、
皆さんマナーはご存知で、それぞれ静かにしようと努力されていることは伝わってきます。実際とても静かだと思います。
ただ、その中にたまにいらっしゃる「静かに話をしようとする」という行為をするひと、それはどんなに小声のつもりでもNGなので、どうしても注意をせざるを得ません。

ホールというのはよく作られていて、
小さな音やその微妙なニュアンスが日常の空間とは違う響き方で伝わる場所です。
なので小さな声で話すという行為、それは静かにしようとしていることにならないのです。

今回こんなことがありました。
お孫さんが出演されるのか、お二人でホールに入ってきて真ん中に座られたご夫婦がいらっしゃいました。
そのときホールの中は比較的空いていて、
そのご夫婦が座られた傍にはひとがいませんでした。

私は最初、少し前の方の席にお父さんと女の子2人が座っていて、
その女の子二人がちょっと騒がしいいなあ、、、と思っていたんです。
でも注意するか?と考えるくらいになるとお父さんが一生懸命静かにさせようとしてくれていたので、私が行くまでもないかなと。お父さんにお任せしようと思いました。

そしてしばらくするとそのご夫婦がひそひそと演奏中お話を始めました。

これね、他の会場係のひととも話て意見が一致したのですけど、
お話をするひとっていうのは何故か演奏が始まると話しだすんです。
普通のひとは合間に話すのだけど、ひそひそ話すひとって演奏が始まると話始める。
根本的に「聴いていない」ってことかもしれません。

で、悪い事に近くにひとがいないのであまり遠慮ない感じになってしまってるし、
大人のひそひそは子どものひそひそよりかなり響くんですね。

すっごく迷って2~3人の演奏の間様子を見ていました。
でも止める気配もないので思い切って演奏の間に近寄り
「すみません、お声が響いているので演奏中はお話なさらないようにお願いします」
もちろん低姿勢に言いました。言ったつもりです。

大概の場合、そうやって声をかけると「あ、すみません」そんな反応なのですが、、、、
思ってもいなかった反応が返ってきました。

私が言い終わると同時にご夫婦のご主人が「わしは帰るっ!!!」と怒りをあらわにされて立ち上がりホールから出て行ってしまいました。

私は持ち場に戻ってからあれこれ考えていました。
言い方が悪かったか?
前の女の子もうるさいのにって思ったのか?
ちゃんと目当ての子の演奏は聴けたのか?
注意しなかったらどうなったか?

(今思えば奥様は特に驚いた様子も無くホールに残られたので、
少々気の短いご主人だったのかも)

たぶん注意されたひとはそんなこと思いもしないかもしれませんが、
注意するのも迷ったり勇気が必要だったりするんです。
出来ればしたく無い、私たちが何も仕事が無いって環境が最高の環境なのですから。

現場ではささっと注意するのがやっとで(曲と曲のわずかなすき間にしていることなので)丁寧に説明したり、ときには話し方もつっけんどんになってしまうこともあるので、もしかしたら今までにも不満をもたれた方がいらっしゃったかもしれません。
今回、怒って帰ってしまった方に直接お話することは出来ないのだけど、
せめてこのブログに私たちがどう考えて会場係をしているか、
それを書いておこうと思います。

私たち運営委員は当日のお手伝いだけではなく、
年に何回も会議を重ね、
皆で良いコンクールにすべく知恵を出し合い意見交換しています。
一方先生として生徒をコンクールに出すという立場でもありますから、
何ヶ月も練習を積んで、さまざまなプレッシャーと戦いながら当日を迎えている、
自分の生徒以外の出演者も全員そんなことをくぐり抜けていて舞台に立っていると考えています。

そんな大事な瞬間を演奏に集中出来ないことや、
何か審査の妨げになるようなことの無いように、
努力したことが充分舞台で発揮できるように、
そんな状態を「守る」と思って立っています。

例えば携帯を出したとして、
ただ時計を見ただけ、
電源を切ったか確認しただけ、
それだけなのに注意されちゃった、、、そう思われるかもしれません。
でもこのコンクールでは撮影や録音が禁止されていて、
携帯や液晶画面をホールで見ていると、
その行為かと疑わずにいられないんです。
(実際こっそり、、、って方も過去にいました)

ひそひそ話も、そんなに迷惑?厳し過ぎない?
そう思われるかもしれませんが、
様子を見つつ止める気配が無いって場合にしか声をかけていません。
私が気になって見ていると大概回りのひともひそひそ声を気にして振り向いたりしているものです。
でも話しているひとってまわりの視線に気がつかない場合が多いです。
何より、話をして聴いていなかった瞬間も、
先にも書いた練習を積んできた子が緊張と戦いながら演奏しているんです。
やっぱりそれ、ホールにいる限りきちんと聴いて欲しいと思います。


今回昔こんなことがあったとお聞きしたこと。

よくバックなどに「鈴」をつけている方がいるのですけど、
つけている方は日常で音が麻痺してしまっているのか、
チリチリ鳴っているのに意外に気がつかなかったりするんです。
毎年何人もそういう方がいらっしゃり声を掛けさせてもらっています。

コンクールでは時間の都合で演奏を打ち切ってもらうことがあるのですが、
そのとき「ベル」が鳴るので鳴ったら演奏を止めて下さいと事前に説明されます。

あるとき演奏中に鈴を鳴らしながら動いたひとがいて、
その音を「ベルが鳴った」と勘違いして演奏を中断してしまった子がいたそうです。

この話を聞いて、その子のことを思うと本当に切ない気持ちになりました。



そういうことが起きないように、
皆がベストを尽くして演奏出来ること、それを願ってやみません。